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18話  信頼と実績

「演習場に行くだと?」

「でもアリアラ先生が許可出してないだろ?」


「うん!」

「先生がダメって言うなら他の先生を連れて行こうと思うの!」


他の先生か……担任のアリアラ先生が許可を出していないのだから指示に従うべきだと思うが

昨日メイアが帰り道に言っていた良い案というのはこの事か

まぁ変に生徒だけで動くよりは安全か


「そんな都合よく他の先生が動くのかね」

「私らEの面倒なんて誰が見んだよ」


「ちょっとミチェル、せっかくメイアちゃんが動いてくれたんだからそういう事言っちゃダメだよ」


「それがね居たんだよ、Eクラスの惨状を知った2年Dクラスの先生がね!」


2年Dクラスか、魔法評議戦でも特段印象には残らなかった

だがこんな状況で他クラスに力を貸す先生……少し危ういな


「なぁメイア君、そこまでして演習場を使わなくてもいいんじゃないか?」

「想定戦である程度までは出来ている、わざわざ魔法を使わなくても良い成果に期待できると思うのだが」


「それじゃダメなの!」

「せっかく魔法学校に来たんだから良い成果じゃなくて実績が欲しいの」

「私はEクラスに来て自分だけでも頑張ろうと思ってたけど魔法評議戦でわかった」

「このクラスなら他のクラスを倒して一番になれるって!!」

「だからこんな事で修練の時間を失いたくない……出来ることがあるならやるべきだと私は思うから」


「そうか……理解したよ」


メイアは止まりそうにない、ならばここは見守ろう

全ては経験により成長するそれは痛みによる苦い経験でも等価

その2年Dクラスの先生を見て今後の行動を考えるか


放課後

授業を終え生徒しかいないEクラス

元々最果ての教室なので通り過ぎる生徒も先生も皆無

その中1人の男が現れる


「こんにちはEクラスの皆さん」

「私は2年Dクラス担任の「ワリアス・ジュード」と申します」


ワリアスと名乗ったDクラスの担任

くせっ毛が激しい茶髪、丸メガネの向こうの細目がこちらを向く

名前は聞いたことがない……それに


「メイアさんの熱い説得を聞き本来であれば外出禁止なのですが私が特別に付き添いとして演習場を案内します」

「是非とも次の魔法決戦で活躍してください!」


ワリアスの挨拶に頭を下げるEクラス生徒

地図を開き今から行く演習場を指し示す


「先生…‥少しよろしいですか?」


「なんですか……えぇと………フィーラスさん?」


「私とユラさんは少し話があるので今日は欠席してもよろしいでしょうか?」

「できれば明日も休みたいのですが………」


「まぁ……私は一向に構いませんが」

「他の生徒さんは大丈夫なのですか?」


「すみません皆様……明後日には戻りますので」


ワリアスの問いかけに渋々頷くEクラス

突飛な言葉でメイアが断固反対すると思ったがユラ様が上手く合わせて頂き皆は了承

教室から出るワリアスとメイア達


「フィーラス様……学生寮に戻りましょうか」

「渡したい物があります」


何かを察したのか学生寮へ戻り受付前にある休憩スペースで待っているよう指示を受ける

俺はその間自室へ行き背負いバッグを持って待つ


「お待たせいたしました」


「ユラ様……それは」


ユラ様の両手に握られているのは鞘に納まった一振りの剣

肩に回すベルト部分を持っている……なぜユラ様が剣を持っているのだ


「これは私の剣なのですがフィーラス様にお貸し致します」

「母の聖剣ほどではありませんが私が初めて買った剣です、大事にお使いください」


何も説明をしていないのだが、全てを読み取った様子のユラ様の顔は真剣

そんなユラ様を前に自然と膝をつき両手で剣を受け取っていた


「必ずやご期待に応えます」


………


「やはりフィーラス様は騎士様なのですね」

「あの者は信用に足りませんでしたか?」


「はい、あの者の視線に少し違和感を覚え判断致しました」

「顔への視線が初対面にしては多すぎる……標的を見違えないようにしている証拠」

「思い違いならそこまで、ただ危うさはあります」


「そうでしたか、貴方様が動くとあらば事態は治まりますね」

「私の我儘わがままを聞いてくださり感謝しますフィーラス」

「どうかご無事で」


「はい」


受付で剣を貰い一度自室へ戻り窓から飛び降りて居住区へ向かう

ガラパの街をかけぬける

人目に触れないよう建物の屋根を渡り居住区へ行く大橋の上を飛ぶ

建物の路地裏へ到着、バッグに詰め込んだ黒服で変装


「やはりユラ様には敵わんな」


ユラ様が剣を渡した理由、それは剣聖の身分を隠すため

下手に魔法を使った戦法を取ると背丈と相まって足がつく、だが今は聖剣も無く適当な剣は持ち合わせていない

市場にある剣を使えば惑わせる


黒服に身を包む

この変装はもしもの時のために王都の防具店で特注した一点物

四元素魔獣「闇魔獣エンゴク」の魔皮と魔石を使ったローブとマスク

敵からは顔は見えないがこちらからは視認できあらゆる精神系魔法を弾く


「さて久々にやるか」

「剣も少し慣らしておかないとな」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ハルバード魔法学校 職員室


「アリアラ!いるかい!」


職員室に響く女声

その声の主は学生寮の受付を担当している老婆


「ここにいますが…こんな時間に何用でしょうか?」


職員室の時計が夜中の11時を指す


「あんたの生徒、メイア、ベルターがまだ帰ってきてないんだよ!!」


「な…、フィーラスとユラは!」


「2人は部屋で話してるから気にするなってさ」

「あんた……まさか外出許可を出したんじゃないだろうね」


「そんな………」

「ひとまず騎士団に連絡を入れる、2人を頼みます」

「私が探します」


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