双子の兄貴の彼女を好きになってしまった俺はどうしたらいいのか?
“双子の兄貴の彼女を好きになってしまった俺はどうしたらいいのか?”
俺は長い間ずっと眠っていたように感じる。
俺はふと目を覚ました! そこに居たのは、俺の母親だったんだ。
『調子はどう? もう目を覚まさないかと思ったわ!』
『えぇ!?』
『泉生は憶えてる? 香月と一緒に居る時に急に泉生が倒れたって!
香月に後で聞いて、、、。』
『・・・お、俺が?』
『そう、それが3日前になるの! それからずっと眠り続けていて、
もう目を覚まさないのかと心配してたのよ。』
『・・・ご、ごめん、心配かけたね。』
『もういいわ! こうやって目を覚ましてくれたんだから!』
『・・・ううん、』
『後で仕事が終わったら香月がお見舞いに来てくれるみたいだから、
ちゃんとお兄ちゃんお礼を言いなさい! 凄く心配してたんだから!』
『あぁ、分かったよ! 兄貴にちゃんとお礼言っとく! もう母さんは
家に帰りな! きっと父さんが寂しがってるよ。』
『・・・そうね、今日はもう帰るけど? 無理しないようにね。』
『うん、ありがとう!』
『じゃあね!』
『じゃあ、またね!』
・・・どうやら俺は3日前に、兄貴と一緒に居る時にそのまま倒れて、
この病院に運ばれずっと眠っていたようだ!
兄貴も母さんも父さんも俺の事を凄く心配してくれていたらしい。
でも? 未だに何故、倒れたのかは分からない!
あまり俺も憶えてないんだ! 兄貴と街をブラブラ歩いている時に、
急にふらっと倒れてそのまま、、、。
そこまでしか記憶にないから、それにそれまでの記憶も凄く曖昧で、
これは倒れた時に、頭の打ち所が悪かったらしく! 記憶が途切れ途切れ
で一時的に想い出されないのだと、ここの病院の医師が言っていた。
俺はその話を信じていたんだ。
*
『おっ! やっと目を覚ましたか? 凄く心配したんだぞ! 母さんから
電話がかかってきてお前が今日、目を覚ましたと聞いて直ぐに仕事が終わっ
て来たんだ! 本当に良かったよ。』
『・・・ごめんな、迷惑かけて、』
『なんだよ、気にすんな! “お前はオレの唯一の弟なんだ、心配するのは
当たり前だよ!”』
『俺が倒れた後、いろいろ兄貴がしてくれたって母さんが言ってたよ。』
『本当だよ! 直ぐに救急車を呼んでこの病院に入院になって、しかも?
お前がずっと目を覚まさないし、本当に家族みんなで心配してたんだぞ!』
『もう大丈夫だって! 俺の担当の医師が言ってたし......。』
『そっか、早く良くなればいいな。』
『“明日の朝、退院できるって!”』
『本当か? 良かったな。』
『あぁ!』
・・・兄貴が俺のお見舞いに来てくれた後、“兄貴の彼女の朱璃ちゃんが俺の
お見舞いに来てくれて。”
『・・・えぇ!? 目を覚ましたの?』
『今さっきまで、兄貴が居たのに! もう少し早く来てたら、兄貴に会えた
んじゃないの?』
『また後で香月には電話しとくわ! それよりもう大丈夫なの?』
『まあね、心配させてごめん。』
『別にいいわよ、誰よりも香月が泉生クンの事を心配してたわよ、
いつも冷静な香月が、あんなに取り乱して凄かったのよ。』
『えぇ!? 兄貴が?』
『そうよ、相当心配だったんだと思うわ!』
『・・・あ、兄貴が、』
『ちゃんと香月にお礼を言ってあげて!』
『“母さんと同じ事を言うんだな。”』
『えぇ!? お母様と? でも実際、そうなんだもの!』
『・・・・・・』
・・・俺は兄貴の彼女の朱璃ちゃんの事がずっと好きだ!
“俺と兄貴はどこの双子と比べても、瓜二つ!”
何もかも俺は兄貴とそっくりで、見た目も性格もクセまで一緒!
だから両親から見ても俺は兄貴とどっちか見分けがつかないらしい。
俺達の母親でさえ、俺と兄貴をよく間違えるほどだ。
だから兄貴の彼女もよく俺と兄貴を間違えるんだよ!
俺はそれが複雑でもあるのだけど、嬉しさもあったんだ。
何故なら? 俺は兄貴の彼女が好きだから!
俺と兄貴はよく似ている。
*
『母さん、アイツには何もバレてないよね?』
『勿論よ! あの子には何も言ってないわ。』
『“まさか? オレ達が双子ではなく、オレのクローンだとバレたら?
アイツ、本当に今度は自殺を図るかもしれないしさ。”』
『貴方が病気になった時の為の、クローンなんて! 絶対にあの子には
言えないわよ!』
『オレの体はこれから老いていくし、いつ大きな病気になるかもしれない!
癌になれば、アイツの臓器を移植してもらわないと生きていけないしね。
その為に高額なお金をアイツにかけたんだ!』
『そうね、その為に高額のお金を払って貴方のクローンを作ってもらった
んだから、バレないようにしないとね。』
『・・・それにアイツさ? オレの彼女の事を好きになってるらしいし、
双子なら見た目は一緒でも性格が違ったりするけど? アイツはオレの
クローンだから、何もかもオレとそっくりで、好きな女性のタイプまで一緒
なんだよな。』
『・・・まあ、いつかあの子は居なくなるわ、』
『その時は、オレの犠牲になった時だろうけど、』
『・・・そうね、』
『可哀そうだとは思うけど。』
『・・・えぇ、』
・・・俺は何も知らなかった。
“俺は兄貴と双子ではなく、クローンだって事も俺の記憶が曖昧だった
事も、何もかも、、、。”
俺が倒れたと母親に聞いたが、あれは全部嘘だった。
【俺はあの時、生まれたんだ!】 皆、グルだったんだよ!
母さんも父さんも兄貴も兄貴の彼女も病院の先生も周りに居る皆が、
俺を騙していた!
俺の記憶が曖昧なのも、俺の記憶が何もないのはおかしいから、
兄貴の昔の記憶を俺の記憶に植え付けた。
その記憶がたまに俺の記憶に想い出として浮かぶんだ。
兄貴の彼女の朱璃ちゃんも兄貴から俺の事は聞いていたらしい。
それを分かった上で、俺を兄貴の弟として見ていた。
そんな朱璃ちゃんをまんまと俺は好きになる!
“俺はいつか兄貴が病気にかかった時の生きた臓器のストックだ!”
兄貴の為に俺は死ぬ。
いつかそんな日が来たら? 俺はもうこの世には居ないのだろうな。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。