3章:ルナの行き先
ルナはどうやら駅に向かっているようだった。
僕は大学進学を機に上京し、一人暮らしをしている。忙しく、ルナにあまり愛着がなさそうなおばさんの元にルナを置いておくのはかわいそうだと思い、東京に連れてきたのだ。
そういえばおばさんは昔変なことを言っていた。
「たまにこの子が怖い時があってね。何かこう目の中に怪物を飼っているような印象を持つことがあるんだよ。」
僕はおばさんの言っていたことが現実にならないよう祈りながら、走ってルナの後ろを追いかけた。
そうこうしているうちに最寄駅に着いた。
ルナは人間の文字は読めないらしく、どのホームに行けば良いか戸惑っていた。
「どこへ行くんだ?」
「わグァやま」
「えー、マジかよ。」
和歌山というと東京から新幹線と電車を乗り継ぎ、ゆうに四時間はかかる。
さらには和歌山のどこに行くかもわからないので、どうやら今日中に東京に戻れそうにない。
「早くイグおぉ」
「しゃーないなー。東京行きはこっちだ。」
僕はルナを抱っこし東京いきの電車のホームへ向かった。ーーー
ホームへ着き電車を待ち、来た電車に乗った。
通勤ラッシュは去った時間だったので電車は空いており、僕もルナも座ることができた。
「和歌山のどこに行くんだ?」
「ヴァしょはわかりゅが、ぢめいはわがらない」
「ふーん」
僕は話していてふと気づいたことがある。
今混乱で頭がいっぱいで気づいてなかったが、誰も電車で猫と喋っている僕をジロジロ見たりしていないのだ。
普通なら電車にペットを持ち込んでいるのはおかしい。
ましてやそのペットと話しているのだ。
「おい、なんで俺とお前が話しているのに誰も注目しないんだよ。」
「あー、それはヴォクが他のニンゲンにぼぐが小さいこどもぉに見えるようにしているからだよ。」
「は??どうやって?」
「たびゅん君にいっっでもわがらないだろうね」
「なんだよそれ」
よくわからないが、どうやらルナは他の人には小さな子供に見えているらしい。
「まあ移動しやすいしいいか」
そう自分を納得させていると、ちょうど東京駅に着いた。
外にはどんよりと曇った空気が漂っていた




