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プロローグ

「タクマ様、私は、真実の愛に目覚めました。よって、婚約破棄をいたします」


 私はソニア、今日は、冒険者ギルドで、婚約者披露のパーティ、


 領主命令による婚約は断れない。婚約を受け入れて強引に破棄をするしか道はない。

 真実の愛は、貴族から庶民の間に流行っている演劇だわ。

 タクマも良く見に行くと聞く。


 真実の愛は口実だ。いたら迷惑がかかる。


「はあ?真実の愛の相手って誰だよ!浮気だよ!」


「恋は秘めるもの。言うことは出来ませんわ。

 どこかの誰か様みたいに、昼間から、獣人族の女の子たちを連れて見せびらかすのは浮気ではないのですか?私の方は、真実の愛ですわ」


「え~、タクマ!こんな陰気な女、別れて正解だニャー」

「そうだ!タクマ様は強いオス!この女がおかしい」

「え~、でも、ズーターみたいで気に入っているんだ。黒髪で、三つ編み貴重だよ」


 ・・・気持ち悪い。異世界人タクマはハーレムを作っている。

 猫族、犬族の獣人を従えているわ。

 今日は、私を婚約者としてのお披露目のパーティの日なのに、獣人族の女の子を連れてきている。


「誰だ!相手を言えよ!この始末どうするんだ!領主命令だぞ!」


「言えませんわ。始末は、お詫びに決闘をして、殺して差し上げますわ」


 領主はタクマにも人族の伴侶が必要と、よりによって、私を婚約者に指定した。

 父の仇であるこの男と婚約をしろと、


 ここで、名乗りを上げる。


「私の出自は、当ギルド、亡きA級冒険者ダンが娘、ソニアでございます。ダンの名を覚えておいでですか?」



「ああ、冒険者ギルドで僕にカラんできたおっさん冒険者だったか?君はその娘だったの?

 テンプレで、君の父上を殺したから、まだ、怒っているの?罪は償ったよ!だから、僕が幸せにしてあげるよ」


 ・・・怒りのエネルギーは、こいつを殺す思考に使う。思考が加速する。

 これは想定内だ。

 この三年間、こいつを殺す方法だけを考えていた。



「まあ、タクマ様は、私と決闘をするのが怖いのですか?

 タクマ様など、怖くはありませんわ。『じゅう』を持った臆病者です。現実に貴方様はかなわない相手には尻尾を丸めて、逃げ出したと聞きましたわ、みっともないですわ。ア~~ハハハ!!」


 ボリボリと頭をかくタクマは、豹変したわ。


「ああ?もしかして、僕を舐めているの?・・・そう、じゃあ、殺しちゃうよ。銃で!テンプレで言うと婚約破棄をした方は、どうせ、没落するし」


「有難うございます。決闘を受けて頂けるのですね。こちらは魔法【も】使いますが、ハンデは必要ですか?」


「馬鹿?遅い魔法相手にハンデはいらねえ。もしも、お前が、俺に触ったら勝ちにしてやる!」


 ザワザワザワ~~

「おい、止めろよ」

「お前がやれ」

「自殺願望があるのか?」


 騒ぎが起きたわ。見ていなさい。


「ギルマス、止めないよね!」

「では、訓練場をお使い下さい・・・」





 ☆☆☆ギルド訓練場、臨時決闘場所


 決闘の見物人は、タクマの取り巻きの獣人族と、見届け人のギルマスだけだ。


 祝いの席からの決闘、皆、とばっちりを避けて逃げたのね。



「開始の距離はどうする?このフィールド内限定だぜ!」


「そうですね。10メートルが良いですわね」


「はあ?銃相手に?」


 私は魔法杖を出した。

 魔法で戦うと、相手に印象づける。


「はあ、全く・・・」


 タクマはどちらを出す?ハンドガンというのなら射程10メートルは難しい。長い方を出すだろう。


 師匠の言葉だ。

『かの世界の銃大国では、ピストルの実戦の射程は、1メートルと揶揄されるくらい当たらない』


 タクマは、長い鉄の杖を出した。自動小じゅう?というものだろう。

 あれで、父を殺した。


「じゃあ、ギルマス、開始の合図を頼むよ」


「・・・分かりました。双方、位置について、これより、冒険者の流儀に基づき。決闘を行います・・・条件は、ソニア嬢が勝てば、タクマ殿が婚約を解消すると宣言する。

 タクマ殿が勝てば、ソニア嬢の死体をさらし名誉を回復する。ハンデは、もし、触ったら、ソニア嬢の勝ち・・でいいですか?」



「いいですわ」

「ああ、かまわない。どうせ殺しちゃうしね」



 ☆回想


『銃は、構える。狙う。撃つの動作が必要だ。中には、狙うを省いて、撃つものがいるが、命中率は格段に悪くなる。何故なら、弾はまっすぐには飛ばない。放物線を描く。少しのズレが大きくズレる。最低、近接戦闘でも、照門と照星をターゲットに合わせなくてはならないのが昨今の主流だ・・』


『ご師匠、照門と照星とは』


『64式7.62ミリ小銃なら、ここになる。銃口の先端についている突起物が照星、銃床部と機関部の境目にあるのぞき穴が照門だ。ここをターゲットに合わせて撃つ。小銃なら、50メートルなら、適当に撃っても当たるだろう。100メートルなら三連斉射で当たるだろう。200メートル以上なら、きちんと照準を合わせて狙撃をしなければ、まず当たらない』


『なるほどですわ。ボウガンにもついていますわ』


『そして、タクマのM4にはスコープがついている。スコープは、望遠魔法と考えていい。打つ際、必ずソニアを見るだろう。

 つまり、そのタイミングを計って、閃光を当てれば・・・』



 ・・・・・


 ギルマスがコインを宙に放ったわ。


 チャリン


 タクマは「じゅう」を構えようとする。ご師匠に比べると、騒がしくて遅い。構える前の構えをして、構える。

 そして、彼奴が「すこーぷ」を覗くその直前を予想して


【閃光!かの者の目をくらませ!!!】


 ピカッ!


「グワッ!目潰し、卑怯だ!」


 ダイヤモンドを仕込んだ魔法杖だ。閃光に特化した。強力だ。あたり一面は光に包まれたわ。

 私は目をつぶっていたから無事だ。

 ほんのわずか、刹那の時間、三年間の苦しみと師匠達の出会いが、走馬灯のように浮かんできたわ。


 走馬灯、死ぬときに浮かぶと云う。そうね、今日、私の死ぬ日だ。




 この因縁は、三年前に遡る。




最後までお読み頂き有難うございました。

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