『逃げる言葉と追うプレスマン』
プレスマンが逃げ去っていこうとする言葉をとらえようとして、追いかけていきました。プレスマンは決して捕まるまいとして、必死になって逃げましたが、プレスマンは、先端近くにばねが入っていて、足が大層速いので、とても逃げ切れたものではなく、まさに追いつかれようとしたそのとき、言葉は振り返って、プレスマンに言いました。
「俺は、お前が怖くて逃げているんじゃない。お前の持ち主である速記者が、どんなに速く逃げても俺を捕まえて書きとめてしまうので、それから逃れるにはどうすればいいかと思って、日ごろから走る訓練をしているだけだ。お前一人で俺を書きとめることなどできまい」
教訓:言葉って、書きとめられるの、嫌なんでしょうかね。