きっかけ
平凡な生活を望んでいた僕は青春なんか関わることがないと思っ
ていた。そんなどこにでもいるような普通の高校生の僕と関わるこ
とがないであろう高嶺の花と出会ったことが、なんて事のない平穏
な生活の終わりが始まったきっかけだったのかもしれない。
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僕の名前は藤宮凛時和高校に通っている至って
普通の高校生二年生だ。
「凛、おはよう」
「彰人、おはよう」
今挨拶をしてきたこいつは神崎彰人、頭がよく
運動神経抜群、おまけに容姿も整っていて女子に人気がある。目だ
った特徴もない陰キャな僕にも有効的に接してくれる唯一の友達だ。
「なんか眠そうだな」
「昨日、夜遅くまで起きててあんまり寝てないから」
「冴えない顔してるとモテないぞ」
「別にいいよ、モテなくても」
「せっかく顔は……」
ガラガラ……
彰人が何か言おうとしていた時に教室のドアが開いた。
「花園さんが来たぞ!!」
「今日も美しい!」
「俺たちの天使だ!」
教室のいたるところから男子や女子の声が聞こえてきた。
今男子や女子が騒いでいる人物は花園麗華、雪のように美
しい銀色の髪に誰が見ても見とれるようなスタイルの持ち主、
あまりの美貌から男女ともに天使のような存在として扱われて
いる。花園財閥の一人娘で正真正銘のお嬢様である。
「相変わらず人気だな花園さん」
「うん、そうだね」
「不愛想な反応だな。 凛は花園さんみたいな女子好きじゃないの?」
「まぁ、そうだね」
僕は昔に女子にトラウマを与えられた後から女子に対して苦手意識を
持っている、だから女子に対して恋愛感情を抱くことはない。
ん? 今花園さんがこっちを見たような、いや気のせいだな花園さ
んがこっちを見るわけがない。
時は流れ下校時刻になったので僕は家に帰ろうと思ったところに
誰かがやってきた、彰人かと思って顔を上げるとそこにいた人物は
花園麗華だった。そして僕にこう告げた。
「藤宮くん、この後予定あるかしら少し用があるのだけど」
「え!?」
僕は訳が分からなかった。
この時からだろう、平凡な僕が関わらないであろう世界に引きずり込
まれたのは。