お友達
私の名前は、千景。ちかげ
高校一年生になったばかりなのに‼︎
私は、ベッドの上にいる…
今頃みんな入学式やってるんだ。
早く学校行きたいよー‼︎
私は、今入院中。
幼い頃から糖尿病で何度も入退院の繰り返しをしている。
あー、最初から勉強遅れる。
なんて思っていたら母親が高校の教科書を
どっさり持ってきてくれた。
とにかく一日が暇で読書がわりに教科書を
読むのが日々の楽しみ。
コンコン。
こんな夕方に誰だろう?
「はーい」
とりあえず返事をしてみると
知らない女性…
誰だろうって思ったら、
高校の担任の先生だそう。
女の先生だ!
よかったー。
実は、私ずっと担任の先生女性だったから
男の先生だったらどうしようって思ってた
んだよね。
優しそうな先生。
まだ二十代かな?
三十前半かもしれないな。
私のテーブルに沢山の教科書があるのをみ
て、先生は
「そんなに勉強熱心なら先生も応援するよ」
って言ってにっこりした。
で、次の日から一日おきにいろんな教科書のプリントを持って来てくれた。
終わったプリントは、先生が持ち帰って丸つけをしてきてくれる。
とてもありがたい。
勉強が遅れるって不安もなくなった。
で、無事に退院することができた。
二週間遅れで初登校…
どうしよう。
緊張する。
昇降口で一瞬立ち止まってしまった。
「ねぇ、もしかして入院してた子?」
えっ?
声の方を振り向くとひまわりみたいな笑顔
でこちらを見つめる女性。
「あ、そうです…」
「二組だよね。私も二組。名前は美加理よろしく。」
みかりさん…
一瞬美加理さんの元気さに圧倒されてしまったけどすぐに、
「私、千影です。よろしく」
ってにっこりした。
美加理さんの笑顔には敵わないけど。
美加理さんは、親切に校内を少し案内しな
がら教室に向かってくれた。
いい人。
しかも優しいし、明るい。
「もうすぐ教室だよ!」
「うん…」
ドキドキ。
ガラッ
「みんなー、おはよー。ジャーン!千影ちゃん。」
一斉にみんながこっちをみた。
「あれ、ぽっちゃりかと思ってたら意外とかわいいじゃん」
どこらかともなく男性の声が聞こえてきた。
「だれー、女子の体型なんて言ったやつ!私が許さないよー!」
美加理さんが私をかばってくれた。
「つえーな、美加理は。しかも地獄耳か!」
そう言いながら美加理さんの頭をぽんって
したあと、私によろしくって挨拶してくれ
たのは、秀君 しゅう君と言う男の子。
イケメン…
いいな。
美加理さん。
頭ポンポンされて。
私もされてみたい…
うっかりポーっとなってしまった。
いけない。
我にかえり秀君に挨拶をした。
よかったー。
美加理さんのおかげでなんか緊張が少し和らいだ。
それから、休み時間も美加理さんとその友達たちが気にかけてくれてすっかり一日で
お友達ができた。
一週間が経った頃、なんとなくクラスの雰囲気がわかってきた。
美加理さんは、クラスの女子の中では、ボ
スのようだ。
私は、このボスのグループに入れてもらっ
ているけどいいのだろうか…
そんな事を思っていたある日
だいたい休み時間は、美加理さん達はトイ
レに行く。
そこで髪や化粧直しをする。
でも、私はそんなにオシャレに力を入れて
ないから教室に残った。
そしたらクラスで結構大人しめの女の子
雪菜さんが私に
「大丈夫?」
って声をかけてくれた。
?何が大丈夫なんだろう…?
とりあえず、訳もわからないまま大丈夫だ
よって答えた。
あの大丈夫って言葉のだいたいの意味がわかるのは、
その数日後だった…
次の授業は、理科の実験だから移動しなく
ちゃならなかった。
なので美加理さん達と移動してたら、
「千景じゃん‼︎元気そうだね」
って一つ年上の入院友達一之介君が声をか
けてきた。
「あ、一之介君!同じ高校だったんだ‼︎」
二人でキャッキャしてたら、
「え〜、チカちゃんいっくん先輩とお友達な
んだ〜。いーなぁ〜」
って美加理さんが話に入ってきた。
チカちゃん⁈
私、そんな呼び方されてたっけ?
ま、いっか。
それから数日後
私がトイレに入っていたら
「千景は、使えそうだからまだ仲間に入れて
おくか。」
って美加理さんの声がした。
使えそう?
それって…
どう言う事?
私…
利用されてるの⁈
目的は、何?
続く。