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真昼の保健室に幽霊が出る。


噂が広がると誰も保健室には近寄らなくなっていた。

保険室は1階にあり、保健室へ行く廊下は心做しか薄暗く見えるようになった。

気のせいかもしれないが…。

「気味が悪い」「保健室に行くぐらいなら早退する」

本来であれば保健室は生徒達の憩いの場になっているはず。

今は幽霊の噂で忌み嫌われるようになってしまったのだ。

「昼に幽霊は可笑しいだろ、え…何、お前信じてんの?うわーないない、絶対ないから。」

「この学校って七不思議あったっけ?聞いたことないよな?誰かが面白半分で作ったんじゃない?」

「保健医が疲れて職務を放棄したいだけだろ。」

そう言って興味を持たない生徒も勿論数名はいた。


教員達の耳にも入っているはずなのだが、何か幽霊対策を考えている雰囲気は見て取れない。

幽霊対策と言ってもお祓い師を呼ぶのだろうか?

あとは何があるのかは知らない。

噂が立ち歩きしてるだけで、誰も幽霊を確かめようとする者は誰一人としていなかった。

幽霊と言ったらやはり丑三つ時か、逢魔が時のイメージを誰しも強く持ってるのではないだろうか。

真昼に幽霊?でも何かで昼の幽霊も危険とか何とかって聞いた事があるような、ないような…うーん。

俺は今日も机に片膝をつきながら、教室で幽霊の噂話をしている女子の会話を聞いていた。


「美香さー、昨日のお昼休み保健室の近くに行ったじゃん?その後早退してたみたいだけど大丈夫だった?」

「友絵に相談したら嫌がったから、覚悟決めてビクビクしながら頑張って行ったんだけど…」

「それでそれで?どうだった?」

「私…白いの見ちゃったかもしれない!!」

「えー!やばー!本当にいたんだーこわー。」

「それで、怖くなって気持ち悪くなって早退したの。」


どのグループも同じような話で嫌でも耳に入ってくる。

あ…自己紹介が遅れてしまった。

俺は太川晴陽(たがわはるひ)、普通科の高校2年生だ。

イケメンでもない、スポーツ万能でも成績優秀でもない、普通の男子生徒だ。

漫画ならモブキャラと言えるだろう。

でもちょっとだけモテる、ちょっとだけ…うん。

俺は噂を聞いてから密かに幽霊の正体が気になっていた。

女性なのか、男性なのか、それとも動物の幽霊なのか。

噂話では「白いの」しか聞かないから気になっていた。

学校に出るぐらいだから動物の幽霊ってことは無いか。

いや、もしかしたら数々理科の授業で解剖実験されてきた霊ってのも有り得るぞ?…ないか。

だとしたら余っ程の怨念だろうな。

トイレの花子さんはトイレだし…保健室に出る幽霊ってなんだろう?イメージが浮かばない。

夜の学校なら面倒だし絶対動こうなんて気持ちは働かないけど、昼なら動いても良いかなって思い始めてきた。

誰も確かめに行かないんだったら、俺が幽霊の正体を確かめてやる!

実は入学してから1度も保健室に行った事が無いからずっと気になっていた。

思えば小中も保健室の世話になった記憶が無い、お陰様で俺は体調に恵まれているようだ。

親に感謝の気持ちを心の中で言う。

次の授業ってなんだっけ…体育か。

テニス好きなんだよなー…でも幽霊気になるしなー…

体育のあと昼休みだし丁度良いんだよなー…うん、決めた。


「なぁ、大樹ちょっと良いかな?俺、お腹の具合が悪いから保健室行ったって先生に言っといて!悪い、頼む!」


そう友達に伝言を残し俺は教室を出た。


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