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限界

 女子達が拠点から狩りへと出発したので、俺は直ぐに跳ね橋を上げた。

 これで拠点は陸の孤島となる。拠点周りは堀が掘られているし、拠点そのものも他の場所より高い位置にあるからね。なのでこれで、鉄壁と言えるかどうかわからないけど、攻めにくい要塞になった訳だね。

 ただ、まだまだ拠点は改善するべきところがある。防壁は所々が木で出来ているし、防衛力としてはそこまで高くないから。だって、防衛用の兵器が作られてないからね……。

 現状、この場所での防衛といえば籠城しつつ魔法を撃つぐらい。もう少し色々と何か用意しておきたい。


 とは言え、現状問題があるかと言われたら、特に無いので今は違う事をやって行くに限る。


「で、ボックスフィッシュの中身なんだけど……」


 今まで手を出す事が無かったボックスフィッシュの箱からゲットできるアイテム。

 手を出せなかった理由は単純で、時間がなかったからなんだけどね。だって、最初のうちは環境を整える錬金術で手一杯だったし、アイテムチェストを作った時は旧拠点から移動する時だった。そりゃ、塩漬け案件にもなるよって話。



 とまぁ、そんな手を付けなかったことの言い訳はここら辺にしておくとして。



 先ずは箱の中身がどんなものだったのかを整理して行くんだけど、その前にどれだけのボックスフィッシュを手に入れていたか。これは、箱の数で分かるかな。


「箱が26個だね」


 因みに、アイテムチェストに必要な箱の数は全部で10個。10個も使うとか必要数多いよと思っていたけど、この便利さを考えると逆に少ないかも? と思わなくもないよね。


 さて、そんな26個ある箱の内訳なんだけど空箱だったのが割と多くて、なんと15個もあった。

 恐らくアレかな? 半数以上は空という感じなのかもしれない。きっと簡単にアイテムが手に入ると思うなって事なのかもね。

 そして残りの11個の内、5個がカスアイテムで石ころとか貝殻とか。そして残り6個の内3個が海藻だった。


「カスと言いつつ、石ころも貝殻も使い道があるけどね。で、海藻は……これ、増やせるのかな? 見た目が昆布とかワカメだけど」


 数が少ないだけに、食べるとか調理して使う前に増やす事を考えてしまう。

 とは言え、養殖しようにも海は遠いし、海まで行けたとしても海の中は危険すぎる。何かこう、いい方法でも有れば良いんだけど。


 海藻自体使い道が沢山ある。出汁とか出汁とか、後は昔に何かで見たけど火薬になるとか、薬になるとか……確か肥料にもなったはず。鶏のエサにするのも良いかも。

 ただそれって、数を用意出来たらって話なんだよねぇ。だから、養殖出来たら最高なんだけど……どうしたら良いんだろう。


 とりあえず。今は思いつかないのでやっぱり海藻は塩漬け案件かなぁ。


「と、今はアイテムの内訳だった……残っているのが3つなんだけど」


 問題はその残っている3つ。

 そしてその3つの内の2つが、所謂魚を食べられなくしていた原因で、その原因と言うのが……。


――――――――――――

 神経毒入りの瓶(普通)


 特性:猛毒!


 口にしたら死んじゃうよ? いいね、死んじゃうんだからね。

 舌がピリピリするのが良いとか、根性試しに! とか言って馬鹿な真似は絶対にしない様に!!

――――――――――――


 システムがなりふり構わず忠告して来ているよ。って事は、これって相当やばいって事だよね。

 しかし、この文の内容的にフグ的な感じなのかな? テトロドトキシンだったっけ。恐ろしく毒性が高くて、サスペンス物とかでよく聞く名前だけど。


「こんなのどうしろって言うのさ……使い道が分からないよ」


 てか、瓶で密封されているはずなのに、どうやってボックスフィッシュは全身にこの毒を取り込めたんだろう?


「って、あの食べられないボックスフィッシュ……テトロドトキシン漬けだったって事だよね。そっちも処理をどうしよう」


 とりあえず! これも現状は塩漬けだろうか。使い道が分からなさすぎる。



 さて、最後の一つ。これはちょっと今までと違って毛色が違う。と言うのも……。


――――――――――――

 魔蝶貝の真珠(普通)


 特性:水属性


 錬金素材。

 海中に居るモンスター貝のマチョウガイによって生成された真珠なんだけど、魔石でもあるよ!

 水属性の杖とかを作るのにも使えるけどぉ……今の君だと錬金術のレベルがたらないかも( *´艸`)

――――――――――――


 何気にレアアイテムをゲット。

 とは言え、システムが挑発して来ている。レアアイテムをゲットしたのに、今の俺にはどうしようも出来ないって。


 うーん、初級錬金とはなっているけど、それでもスキルレベルはカンストしたんだけどなぁ……これって、中級以上にしろって事だよね。え? どうやって中級以上にするのさ。



 ん? 少し待って……今日は錬金術を使ってボックスフィッシュのアイテムをあれこれと弄ろうなんて考えていた。

 でも、この結果はどうだろう。塩漬け案件が6個で、15個はそもそも物が無かった。で、残り5個が……。


「カスなんだよね。使えなくはないけど、錬金術をやるにしてもさくっと終わってしまう」


 あれれ、これは今日の予定が大幅に狂ってしまったよ。どうしよう、他に何かやるなんてこと考えていなかったから、時間が無駄に余ってしまう。


 遊ぶか? 遊んじゃうか? 錬金術で色々と。


 例えば、このフグ毒と思われる物に漬かっただろうボックスフィッシュを無毒にする実験とか。

 たしかフグって毒抜きをしたモノがあったよね。えっと、確か塩漬けして、糠漬けして……って、糠が無いな。あ、そもそも錬金術で分けてしまえば良いのでは?


「錬金鍋にボックスフィッシュと竹筒を入れて……そこから」


 魔力を杖に送りながら混ぜ混ぜ。身を侵している毒を全て竹筒の中へ移すイメージをしつつ。

 結構長い時間、魔力を送りながら混ぜ込んでいると、何時もの様に鍋から溢れんばかりの光。これは成功したか! と期待を胸に、魚の身を鑑定してみる。


――――――――――――

 ボックスフィッシュ(毒)


 特性:毒属性


 錬金術により猛毒ではなくなった。けど! 錬金術のレベルが足らないのかなぁ? まだまだ毒が残っているみたい。あ、錬金術を重ねてやっても意味が無いからね。やっても良いけど、魔力を無駄にするだけだよ(´ー`)

――――――――――――


 おっふ、またレベルが足りませんかぁ。

 ただ毒のレベルも下げる事は出来たと言う事なんだけど……まぁ、意味が無いよね。


「てか、瓶入りだけじゃなくて竹筒入りの猛毒を増やしただけだったって事かぁ」


 使えないアイテムを増やしただけと言う、何とも悲しい結末に終わってしまった。

 因みに、竹筒にはでかでかと〝猛毒〟の二文字が輝いている。


 とりあえず、これらのアイテムは誰の手も届かない位置に保管しておく必要がありそうだ。

 間違って飲んだり使ったりしてしまったら、その時点でその人がアウトだからね。


「ネズミ狩りの毒団子みたいに、ゴーレム相手とかに使えたらいいんだけど……毒は効かないだろうからなぁ」


 相手は無機物のモンスターだからね。毒なんて通用する訳が無い。

 とは言え、ネズミに使うとなればオーバーキル過ぎる毒。あぁ。実に頭が痛くなる不良在庫を抱えてしまったよ。

 これを使ってシャボンボムを作る気にもならないしね。何せ解毒剤が今のところ無いし。



 うーん、これはとりあえず……違う物でも作っておくとしよう。色々と前倒しになってしまうけど。


 しかし、現状の錬金術だと限界なのかぁ。これ、今後も出来ない事が増えて行くのかな? だとすると、ジョブを上のランクに早くしたいんだけど。何かヒントをください。

ブックマークに評価、いつもありがとうございます(o*。_。)oペコッ



景はテトロドトキシンだと考えたようですが、さて、この地でそれはありえるのでしょうか? と。


とりあえずテトロドトキシンは青酸カリの1000倍以上の毒です。実に恐ろしい話ですね。例え物語の中とは言え薄めて使おうなどとすら思えない代物です。

そんな毒を無効化する日本人の拘り……これまた実に恐ろしいw


因みに、システムが言っていた「舌が痺れるのが良い」と言うのは、実際にあった話だそうですよ? 痺れるのが高級の味だ! みたいなノリがあったとかなんだとか。実に恐ろしい話ですわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白く読んでるけど、錬金術師の中級への条件て、普通に考えて鑑定レベルを上げることだと思うけど。 主人公は能力高いわけですし、漫画知識もあるのに、それを思いつかないのはシナリオに操られてるな…
[一言] 舌が痺れる毒とか高級山椒のノリで使ってたのかな? 麻婆や鰻食べる時山椒沢山かけるからある意味分からなくも無いんだけどね
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