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変化した光景

 女子との会話はスムーズに終わった。

 ゴーレム狩りの話題についてだけど、まずはゴーレムの事を探りつつ、女性陣のレベルを上げてからと言う話に落ち着いた。何があるか分からないから、10台後半のレベルは欲しいしね。



 さて、遠征に使った時間だけど、拠点から目的地への移動で2日。逆もまた同じ時間なので移動に使ったのは4日。遠征先に居たのが、到着日と出発日も入れて4日。なので、遠征していた期間は合計6日になるかな。

 約1週間かぁ……長い様で短かった間だったけど、収穫した物や情報の密度を考えるとかなり濃いと言える遠征だった。

 だからかな? かなり体が悲鳴を上げている。まぁ、帰宅して直ぐに話し合いをしたってのも有ると思うけど。


 と言う事で、今から俺や春野さんや冬川さんは、各自の部屋にて就寝タイム。おやすみなさーい。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 夜に起きて夕飯を食べる事も忘れそのまま熟睡したためか。朝になって自分のお腹が「ぐぅ」と鳴く音で目が覚めた。

 どうやら相当疲労していたらしい。食欲よりも睡眠欲って相当だよねって思う。


 少し気怠い体に鞭を打ち、よっこらせっと起床。すきっ腹に「もう少し待ってね」と訴えながら、朝の支度をして行く。

 顔を洗い、着替えをし、水を一杯飲んだ後にうーん! と伸びをしてから朝食の準備をする頃、女子達も起きたのか少し賑やかな音が聞こえて来た。

 パタパタと駆ける足音。キャーキャーと騒ぐような音声。何やら、「恥ずかしい!」と言うワードが聞こえて来た。


「あー……声的に春野さんか。って事は、目覚めに俺と一緒でお腹が鳴いたか」


 彼女達も疲労でぐったりと寝てしまったのだろう。恐らく、夏目さんや秋山さんが「夕飯だよ」と声を掛けても起きなかったって事なんだろうね。

 ただそれも仕方が無いよ。だって、俺達は雨を凌ぎながら急いで帰ってきた訳だしね。うん、幾らテントのシートを使って屋根にしたと言っても、横から降られる雨を全てガード出来る訳じゃない。だから、少し濡れた体のままと言う状況で、雨が止んだからと拠点への帰宅を強行した。そりゃ、体力奪われるよね。


「ま、風邪を引かなかったからオッケーなんだけどな」


 帰宅後直ぐに着替えをして、濡れた体を拭いた。そして、焚火で暖まりながら、温かい飲み物を飲みつつの会話だったので、暖をしっかりと確保出来たのが良かったんだろう。……現状、ポーションは有れど風邪に通用するか分からないから、なるべく病気にはなりたくないもんな。

 病気に効く薬のレシピはまだ無いし。とりあえず、それを早く見つけたいよね。


 そんな事を考えながら朝食を用意していると、なにやら目を輝かせた冬川さんが俺の方を見ていた。


「……朝食?」

「朝食だな。ほら、手を洗っておいで」

「……あい」


 てってってーと水場に駆けて行く冬川さん。

 何というか、この光景ももう慣れたな。遠征中とか、常に食事は全員分用意をして、皆で食べるのが当たり前になっていたし。

 少し前であれば、俺は別で用意して勝手に食べていたんだけどなぁ……と思い返しながら、随分と変化したなぁと実感。


 以前であれば、誰かと一緒に食べるなんて……と絶対に拒否していたんだけどな。慣れと言うか、この環境と言うのは人を変えてしまうと言う事なんだろうね。



 そんな事を考えていると、冬川さんが手を洗ってきた後に皆に声を掛けたらしく、女子が全員揃って移動をして来た。


「えっと、良かったの?」

「んーまぁ慣れたし。それに、皆でこっちに移動している最中とかは一緒に食べてたしね。今更かなぁって」

「ストレスになって無いのなら良いのだけど。でも、5人分用意するのは手間じゃなかったかしら?」

「それも慣れかな。ほら、冬川さんに用意させるのは……ねぇ?」

「……心外」


 約一名以外、全員納得と言った感じで頷いている。

 こればかりは俺よりも彼女達の方が詳しいのは間違いが無いけど、俺も自分の身で味わったからな……遠征中に出されたダークマターと化した何かを。あれは、間違いなく、食べ物では無い。


「✖を2つ付けた料理人の称号を与えたい」

「あ、それ分かる」

「え、えっと……何を言っているのか分からないわね」

「え? どういう事?」

「……拒否する」


 あ、これ春野さんだけ分かっていないパターンだ。秋山さんも分からないと言っているけど、言葉が泳いでいるから絶対誤魔化している。

 ただ、どんな理由で誤魔化しているのかは分からないけど。冬川さんの事を考えて分からないと言っているのか、ゲームそのものを知らないよと誤魔化しているのか。表情がみれないけど、今頃思いっきり目が泳ぎまくって、汗もだらだらと零していそうだよね。


「大丈夫。称号はシステムが勝手に決めて与えてくるから。自分の意志では拒否出来ないんだよね」


 そう。あの〝称号・もっちー〟とか。うん、彼女に呼ばれるようになったから付けられた称号だからな。ここらでちょっとお返しをしておこうかな。

 ただ、システムが気に入るかどうかで判断されるから、称号にならない可能性も高いけどね。


「さて、今日からの予定だけど、昨日言っていたような感じで良い?」

「そうね……ゴーレム退治の為にもレベル上げは必須だから良いけど、でもそうなると望月君が拠点待機になるのだけど良かったのかしら」

「ゴーレムの調査は必要だけど、そっちは皆がお休みの時にやるから。とりあえずレベルアップ優先で」


 現状ある、他者とのアドバンテージはレベル差。それを維持する為にも女子達には頑張ってもらう必要がある。

 そして、更にそのアドバンテージを維持もしくは開く為にも、必要なのはゴーレム狩り。きっとあれは、次のステージに突入する為のフィールドボスに違い無いから。……鑑定するまでは、確かな情報とは言えないけどね。


「俺自身のレベルはかなり上がりにくくなってるからね。火力を上げようと思ったら、どうしても皆にがんばって貰わないと」

「確かに、私達もイノシシではレベルがもう上がらないのよね。だから、相手によってレベルアップの上限みたいなのが有るのは分かるけど……其処まで上がらないのかしら?」

「だね。なんとか21になったけど、20を超えてからはネズミが相手だと効率が悪い」


 どれだけ倒しても、レベルアップ音が鳴らないんだよね。


「ホーンラビットはどうなのかしら」

「アレはなぁ……こう、保護欲に駆られると言うか、手が出しにくい」

「……分かる」

「あの子達は攻撃出来ないよね」


 うんうんと頷く彼女達。秋山さんも苦笑いを浮かべながら「確かにそうかもね」なんて言っている。


 分かってはいるんだけどね。効率とか素材の事とかを考えたら、可愛いからと狩らないのはどうなんだろうって。きっと、秋山さんも同じような感覚なんだと思う。

 とは言え、どうしても手が出しにくいんだよなぁ。あの憎きチュートリアルウサギを考えると余計に。そう、同じウサギだと言うのに、この可愛さの差がどうしても引っ掛かってしまうんだよね。


 ただあの角とか、武器に出来そうだなーとか思わなくも無いんだよ。

 槍の先とか、矢に使う矢じりにとか、実に使い勝手が良さそうなんだよね。だから使ってみたいと言う気持ちが無い訳じゃないんだ。……うん、全ては可愛いが悪い。正義だけど悪だ。


 ただまぁ、現状だとホーンラビットを狩らなくても問題が無いと言う状況だから、無理をしてかる必要も無いかなとも思っている。

 何か素材として必要であれば狩るで良いよね。と、棚上げしておくのが精神的にはベストかな。


「ま、冬川さんが召喚の為に叩いて倒す必要があるって言うなら話は別だろうけど」

「……あえてスルー」


 だよね。


「とりあえず、今日の話なんだけど。俺は集めた素材を弄るとするよ。ほら、特にボックスフィッシュから取れた物があるしね」

「あー……あのランダムアイテム」

「そうそう。なんだかんだで手を付ける事が出来ていなかったからね」

「……まさか食べれないとは思わなかった」


 そう、身全体に影響を及ぼすとんでもないモノを箱内に秘めていた奴もいたんだよね。最初に鑑定でそう言うのも居るって書かれていたから知ってはいたけど……まさか本当にこの目で見るとは思わなかった。

 一応、そんな魚の身も確保はしているけどね。それはそれで使い道がありそうだから。


 なので今日もまた錬金日和になりそうだ。楽しいから良いけどね。

ブックマークに評価などなど(人´∀`)アリガトー♪



食卓を共にする。それがどれだけ大きなことか……。

昨今だと、家族ですら食事を共にしないのは良くある話だそうで。一家の団欒と言えばと、最初にあげられるだろう代名詞であるのにと思いつつ、私も一人で食べているなーなんて。

昔から、〝同じ釜の飯を〟なんて言葉が有りますからね。なので、彼等がそれを普通に出来る様になったのは実に微笑ましい事でしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 順調やねー マーボーカレーだけは作れるようになった小説なりダン超好き
[一言] ん? 錬金術と言えば化学であり、料理の基本も化学である以上、もしかして錬金術でちょっと美味しい料理が作れたり、もしくは完成した料理に一工夫して更に美味しく出来る可能性もワンチャンあるのか? …
[一言] ちびっこに残念料理人称号付くのが先か誰かさんにオカン的称号付くのが先か… なにげに冬川さんすぐ胸に飛び込むからバストダイバーの可能性も…(このコメントはバーサークもっちーに粛清されました
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