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遠征三日目

 遠征三日目。

 今日は杖や爆発物を作って行く。そして、テントの中では冬川さんがぐったりとお休み中だったりする。昨日の事もあって、彼女は一日養生させる事にしたんだ。

 不気味だという絡繰りが分かったとは言え、負ったダメージは直ぐに如何にか出来るモノでは無いから……とりあえず、様子を見る。


 とは言え、そんな相手が接触してくる可能性もあると言う事を考えると。


「タイムリミットは今日一杯かな」


 独り言をつぶやきながら作業。

 ただ自分で言ったように、早急にこの場を去った方が良いと思う。と言うのも……この場に居るメンツは圧倒的に交渉力が無い。

 先ずは俺だろう? これは説明する必要が無い。うん、そういう場だとお荷物以外何物でもない。

 次に冬川さん。彼女も寡黙に近い人物。ポーカーフェイスだから、相手に何を考えているか読まれないと言えば利点ではあるけど、未知の現象に弱いと言うのが発覚してしまった。

 そして春野さん。彼女は一番まともだけど、何処か抜けているし、冬川さんと並んでピュアピュアな心の持ち主だ。相手の言う事を疑う何てことしないんじゃないかなぁ。


 そう、どう考えても搦め手や口八丁で攻めて来る相手には弱い編成なんだよね。


「手法とかは分かるんだけどなぁ……」


 実際、俺が矢面に立てば……間違いなくフリーズして何も言えずに終わっちゃうんだろうな。漸く、女子4人に慣れた程度だし。

 それに、やられたから分かる手法と言うだけで、実際にやって来たわけじゃないからな。付け焼刃も良い所。なので、まともに遣り合えたとしても、会話では微妙にタイムラグが出来てしまう。考える時間が必要だから。


 本当、敵対すると言われていないだけマシだよなぁって思うよ。なんて考えていると、久しぶりな脳内戦争が。


『景……問答無用で力を見せつけるのです』

『待て待て! その話は前にケリがついただろう! 力で押さえつければ反乱を生むだけだって!!』

『しかし、悪臭になる可能性の元は断つべきです』

『まだ毒かどうかも分からねーだろうが……此処は様子見が一番だっての!』


 本当。この天使? は攻撃的と言うか直接的な解決が好きなんだよな。


『景、アナタの力はそんなも『おっと、そこまでなんだぜ!』ムグムグ!』

『ケっケッケ! 景は好きなように動きな! それは間違っていないって俺様が保証してやんよ!』


 悪魔に保証されるって言うのもなぁ。とは言え……。


「一度拠点に戻り、夏目さんや秋山さんも交えて会議をするって方向性は間違いないって事だよな」


 後はさらなるレベリングだろうか。俺はネズミでもレベルが上がりにくくなったけど、彼女達ならまだまだ上がる訳だしね。

 しかし次の相手はどうしよう……あのホーンラビットを狩るべきなのだろうか。敵対して来ないから攻撃しにくいんだけど、もしかしたら経験値効率が良いかもしれないと思うと。うん、これは悩みどころだ。

 で、確認している中で残っている相手といえば……。


「ゴーレムなんだけど、アレはどうやって倒せば良いのやら」


 とりあえず、一度確認して鑑定を掛けてみる必要があるかな。もしかしたら弱点とか解るかもしれない。そして、案外簡単に倒せる可能性だってある。

 結構な巨体らしいし、上手くいけばレアなアイテムもゲット可能かもしれない。……あぁでも、もしかしたら蜘蛛の時みたいにフィールドボスな可能性もあるよな。


 そんな事を考えていると、テントの中からもそもそと動く気配がした。


「……もっちー、おは」

「おはよう。朝食は準備済みだから、顔を洗ってきてから食べちゃって」

「……あい」


 ふわふわとした足取りで顔を洗いに行く冬川さん。実は結構なお寝坊状態だったりするんだよね。

 何せ、朝ごはんと言いつつもう少しで昼になるから実質は朝昼ごはんだ。


 ただあの雰囲気からして、寝た事で恐怖心が結構回復してはいるみたいだね。これなら、今日一日休めば明日には帰宅に向けて出発出来そうだ。


「……エリカは?」

「海を見に行ってるかな。もう少ししたら帰ってくると思う」

「……ん」


 モキュモキュと音を立てて朝食を咀嚼する冬川さん。……なんでモキュって音がするんだ? そんな音がする食べ物を用意なんてしていないはずなんだけど。


「一応今後の予定。俺は今日作れるだけ物を作る感じ。春野さんは採取と昨日と一緒。冬川さんは今日一日休んで、明日に備えて貰っても良いかな」

「……大丈夫」

「おけ。そしたら、明日は俺達の拠点に帰る予定だから」

「……終了?」

「だね。調査は終了かな。知るべき事は知る事が出来たしね。後は戻って皆で対策会議かな」


 「冬川さんのお陰で知る事が出来たんだよ」と言うのも付け加えておく。そして、その言葉を聞いた彼女は何かとっても満足そう。フンフンと言いながらココヤシに顔を突っ込んでいた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 昼が少し過ぎた頃、春野さんがバケツを二つ持ってテントへと戻って来た。


「大漁だったよ! 見て見て!」

「……おー、お魚天国」

「これはまた、しかもボックスフィッシュもいっぱい居るな。これ、アイテムボックス作るのに数が足りるんじゃないか?」


 そう思うほどにバケツの中は魚でいっぱいだ。昨日の分と合わせたら、きっとアイテムボックスをもう一つ作る事が出来ると思う。


「そういえば、トラップは仕掛けたままだけど良かった?」

「明日出発する前に回収をすれば良いから大丈夫」

「了解っと、雪も元気になったみたいだね!」

「……ブィ」

「ぶーい! っと、午後はどうするの?」


 今日の午後をどうするか。俺はもちろん生産作業だけど、その前に……。


「はい、新しい杖。午後も採取に出かけるつもりだよね? だったら、こっちの新しい杖を持って行って。出来れば何処かで試してきて欲しいかな」

「おっけー! っと、以前の杖はどうするの?」

「こっちで回収しておくかな。もしかしたら何かに使えるかもしれないし」


 手に馴染んだ杖だから、そう簡単に捨てる事なんてできない。それに、俺自身最初に作った作品でも有るから、思い入れと言うモノだってあるし。


「はい、こっちは冬川さんの」

「……ありがと」


 そんな訳で、新旧の杖を交換していく。

 交換された後、春野さんと冬川さんは各自の杖を軽く振ったりしていた。


「うん。重さも丁度良い感じ!」

「レベルアップをして力も増しているからね。その分、少し重くしてみたりしたんだけど」

「……重い?」

「あー、冬川さんのはタクトだから余り変わりが無いかも」


 最悪、杖で敵の攻撃を受けたり、敵を杖で殴打出来る様にと硬くて重くしたんだよね。勿論、ステータスがどれぐらいアップしたかを判断しながらだけど。

 なので、以前使っていた杖よりも重くて硬いんだけど、使い勝手は以前と全く同じ。……と言うか、俺自身が感じていた事だけど、レベルアップをしたからか杖がやたら軽く感じる様になっていたんだよね。だからこう、物足りないと言うか、心許なかったりした。だからこそ、こうして新しい杖は改造した訳だけど。


「大成功だったみたいで良かった」

「後は魔法の威力だよね。私の場合はヒールと支援魔法かな? ちょっと掛けてみても良い?」

「……きて」

「よし、じゃぁいっくよー!」


 そんな掛け声とともに、春野さんは彼女自身も含めた俺達3人に支援魔法を掛けた。

 ふわっと何だか体が軽くなった気がする。心なしか、以前の支援魔法よりも力が向上している気がする。


「……おぉ」

「これは、杖の効果が出てるみたいだよね」

「ふむ、この状態で錬金術をやったら……」


 何だかワクワクして来た。

 スペックが向上して居る訳だから、錬金術にも何らかの補正が入るのでは? なんて期待が出てきてしまう。これは今直ぐ試さねば!!


「ちょっと錬金台に行ってくる。えっと、各自自由行動で」

「あ、うん。がんばってね!」

「……もっちーふぁいと」


 さてさて、支援を貰ってからの錬金術は初めてになるな。一体どんな結果になるのやら。今から楽しみで仕方が無い。

ブックマークに評価などなど、(人´∀`)アリガトーナノデス!



と言う事で! 方針が決まり、着々と準備が出来て言っております。

自分を客観視して何が最善かを考える事が出来るのも、また成長している証なのではないでしょうか。以前の景であれば女子に頼るでは無く、自分で出来る事だけを考えてさっさと逃げるって選択をしていたでしょうし。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ボックスフィッシュ当初のガチャぽい設定はどうなっているの? 最初の時以外、ボックスフィッシュの中身に対して何も分らないままただの食料兼アイテムボックス材料扱いに成っている。
[一言] 天使と悪魔がよく出てきますが、作者さん、まさかあのゲームをしてる(はずないよね...) 破壊神シヴァ「...((ヾノ・∀・`)ナイナイ」 もっちー成長してるだけじゃなく、悪ノリも増えてき…
2021/07/28 20:57 退会済み
管理
[気になる点] >名無死の権兵衛さん いえそこは天使さんを殺すんじゃなく、悪魔さんと合体させて事故らすべきでは。(女神転生並感) ワンチャンすげぇレベル高いのができるかもしれませんし(女神転ry) …
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