ジョブ選択
ともあれ、何も選択しないという判断だけは無しだろう。
こんな状況だ。使える物は使う必要がある。なので、とりあえず選択できるジョブは何があるのかを確認してみる事にした。
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戦闘系
魔法系
生産系
特殊系
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最初に出て来たのがこの四つだ。あぁ、なんかそれっぽいなぁと思いながらスマホをタップしてみる。
とりあえず、確認で今すぐ選ぶわけでは無いのだから、上から順番に見て行けばいいだろう。
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戦士
いろんな武器がつかえるよ☆
近接から弓までバランス良く戦える為に、初心者には使いやすい。
勿論、無手での格闘も可。
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うん、説明が大雑把すぎるだろ!! 確かに、何んとなく言いたい事はわかるけど!!
もっとこう、詳しいデータとかなんだとかは無いのか……無いんだろうなぁ、だってこれ以上は戦士の欄に項目がないもの。
とは言え、武器が無くても戦えるのはかなり……と言うか、普通に今の状態でも戦えるよな? という事はだ、このジョブと言うモノには何らかの補正が掛かると考えれば良いのだろうか。
とりあえず違うジョブも確かめてみるか。
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剣士
剣を使った戦闘が得意♪
剣は得意だけど他がからっきしダメ。だから中級者向けかも
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剣士……物語とかだと主人公的な扱いのジョブなはずなのに。
この説明文だけ見ると、選択する気にはならない地雷にしか見えない。
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狩人
弓を使った遠距離専門❤
さぁ! 遠距離から一方的に敵を射ぬこう。ただ、場所取りが悪いと……中級者向けのジョブ。
動物との相性が良いという噂も?
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説明よ!! 相性ってどういう事だよ。てか、相性も何も狩人なんだから狩る側だろうが。
とは言え、確かに位置取りは大切だよな。いうなればスナイパー的な存在なのだろう。となると、FPS等でよくやる、撃ったら場所を移動するみたいな行動が必須なのかもしれない。
他のジョブも見て行く。
うん、基本的に戦闘系と言うのは武器や体を使ったモノらしく、格闘家だの騎士だのといったお約束のモノがあった。
違いはお察しの通り、使う武器が違うというモノの様だ。……もしかしてゲームとかの様に専用の技とかがあるのかもしれない。
「さて、戦闘の次は魔法かね」
ピッと一旦ジョブ選択画面を最初にもどしてから、魔法系を選択してみる。
すると、ババっと画面に出て来る魔法職一覧。ただ、それを見る限り……どうやら、魔法職と言うのは……。
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炎術師
火が使えるよ! ドーン! と一気に敵を燃やし尽くそう☆
ただ、火事には気を付けてね。
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他にも……。
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風術師
風を操るよ。 使い道はたくさん! 遠くの臭いや音を集めるなんて事も!
攻撃力は、残念だけど炎よりは無いかも。ただ、使い方次第かな?
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とか。
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回復術師
ヒーラーだよ! 怪我や毒の回復が出来るかも。
でも、攻撃手段が無いの。個人に能力が無ければ他の人に頼もう。
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などと言った感じで、万能と言う訳では無く特化系と言うことらしい。
ただ、よく見ると魔法系を選択する場所に書かれているが「一応他の事も出来るけど、出来る事は初級ぐらい」と描かれている為、全く出来ない訳ではないようだ。
恐らくだけど、最高レベルが10だとしたら、炎術師を選んだ場合だと炎は10まで育つが、風や回復などは3とか5までしか育たない。そんな感じだろうか。
「うーん……強くはなりそうだけども、微妙ではある?」
パーティーを組んでいるのであれば強力だろう。だけど、おひとり様な俺にとってみれば……特化は下手をすれば弱点になりえる話でもある訳で。
選ぶメリットよりもデメリットが多くなる可能性が大いにある訳で。選択するのは少し怖いところ。
「となると、生産系か?」
ピッと操作をして生産系を調べてみる。すると出るわ出るわ、生産職の数々。
鍛冶職人・木工職人・細工職人などなど……中には必要なのか? と思われる宝石職人なるものまで。
いやうん……まぁ、確かに生産職だけどさ。こんな世界で初動に必要か? と思われるものの数々。
確かに後々あれば便利だろうがと思うのだけども、生き残りを賭けた状態を考えるとどうしても選択するには……と思えてくる。
「これは無いな。後でと思いはするが今はなぁ……料理人とかは思うところが無い訳では無いけどさ」
美味しい料理は明日への活力だからな。もしかしたら、料理人を選択すれば毒を持つ食材かどうかを見極める事が出来る可能性だってある。
あるけど……料理人じゃぁ戦えない。欲しいジョブではあるけども! けども!! 何があるかわからんからね。
ご丁寧に戦闘やら魔法職なんてモノが選択できるんだ。絶対に命を奪い合う戦いが起こる事は必須だろう。
「……これは、特殊系をみるか」
期待できないよなぁ……と思いながらも、特殊を見てみる。
大体、こういったモノでの特殊なんて、その殆どが大器晩成型だからな。そうである以上、生産職と並んで選択するのが悩ましいものばかり。
ただ、それでも何かあるかも? という事で確認をしてみると……。
「まぁ、ここら辺は予想通りかなぁ……」
欄に出て来たのが、アイドルだのバードだのダンサーだの……まぁ、本当に特殊だわと言いたくなるものの数々。
ただ、中にはちょっと目を引くものもあり、その項目をぽちっとチェックしてみる。
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トラッパー
罠師だよ! さぁ、沢山罠を仕掛けて獲物を確保しよう!!
でも、大型相手には大型専用のトラップが必要。相性の悪いトラップは簡単に破壊されちゃうかも。
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いやいや、これかなり便利でしょう。
確かに専用の罠を作る必要があるし、その罠を作るための素材も必要だろうけど、安全かつ一方的に攻撃出来ると言うのは大きい。
なのでこれは選択肢の一つだ。
そして、そんなトラッパー以外にも。
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テイマー
動物を調教しよう! とらえる事が出来れば、お供にペットにと出来るよ!
ただ、捕えるまでが大変。必ず戦闘職の人に手伝ってもらおう。
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うん、まぁ、惹かれるけど無いな。お供を作るために怪我をするってもう確定情報だしな。
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サモナー
特殊なアイテムをゲットして召喚しよう! 召喚した存在は時間経過で消えるから時間の管理はしっかり。
一応、初級の魔法は使えるけど、過信はしないように!
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戦えなくはないけどもと言う事らしい。確かに、召喚した存在が戦ってくれるとなれば、戦力的には大きいだろうけど、その特殊アイテムの入手率がどれぐらいかで変化するだろうな。
これまた惹かれるけど、選択するのはどうだろうか? と思う。
「ソロご用達と言うのが無さそうなんだよなぁ……」
そんな事を口にしながら、俺はシュっと画面をスクロールして、あるジョブの場所で指を止めた。
もしかしたら、このジョブならソロでも大丈夫なのでは? と、少しの期待を胸にジョブをタップして詳細を読んでみる事にした。