小さな望遠鏡から得た情報は大きな内容でした
おばあちゃんのレシピから使えそうな物を幾つかピックアップし、天体望遠鏡サイズの魔導具を作成。そして、その鑑定の内容はこちら。
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魔導望遠鏡・小(最高品質)
特徴:疑似魔眼(鷹の目・サーチアイ等)
遠くの物や見えない物を見る為のスコープ。光ではなく魔力による情報を可視化しているから、本当に目で見えないものすら写してしまう……そう、見えない世界の住民すらも((((;゜Д゜))))
これらの性能はある意味で魔眼のようなモノなのよね。だから特徴にも〝疑似魔眼〟と書かれていたりするわ。ただし、魔眼には種類があるの。そして、この疑似魔眼では石化や光線を放つような攻撃は出来ないわよ。
……以前に作った凹レンズの魔導砲は、ある意味で攻撃用魔眼みたいなモノかもしれないわね。
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ふむふむなるほど……魔眼ねぇ。今の所、危険な魔眼持ちには出会っていないような気がする。
ともあれ、この望遠鏡は鑑定結果にあるように、支援型の魔眼を擬似的に再現していると考えて良さそうだ。……ただ、これでサイズが小なんだよなぁ。これ、もっと小型化出来たら良いんだけどね。主に眼帯のようなクラスの物で。
「鷹の目を外せば可能なのでは?」
「アル君や。これ、筒の中には色んな魔導具が入っているんだよね……それらの小型化からやらないといけないから、ちょっと厳しいかなぁ」
この魔導具。複数の機能を持たせる為に複数の魔導具を仕込んでいるんだよね。そして、それらの魔導具を魔導回路で繋げる事で、接眼レンズから覗いた時に映像で情報が見えるようになっているんだ。
だから、何かの機能を眼帯クラスのサイズで再現するというのはかなり難しい。
「私達の目のサイズなら問題が無いのでは?」
「それはデータを処理するAIが優秀だからねぇ……望遠鏡にはAIが入っていないんだよ」
この望遠鏡を錬金人形にしてしまえば、確かにもっと小型化が出来るかもしれないけど……流石にそれは無駄が多すぎるんじゃないかなぁ。
それにこのレンズ。映像を見るという事だけならアル達よりも優秀だからね? 何せ遠くを見るというだけでも錬金人形の数倍以上の性能は叩き出せるから。
「そんな訳で、この魔導望遠鏡であの黒い塊を覗いてみるんだけど……さてさて、何が見えるかな?」
接眼レンズから見える映像はどんなものになるやら……っと。
「うーん……これはどうなんだろう? 見た感じ、ただの黒い塊って訳じゃないのは分かる。なんか薄っすらと光っぽいモノが幾つか見える場所があったり、なんか、こう……奥行きみたいなのが薄っすらと確認出来るかなぁ」
肉眼で確認した場合は、どう見てもただの黒い塊なんだけど。どうやら、やはり魔力の情報で見た場合は違う結果になるみたいだ。
そして、多分だけどこの奥行きがあるという事からして、やはり異世界間トンネルという可能性が一気に高くなったと考えて良さそう。ただ、そうなると……。
「問題はこの光だよなぁ……なんの光だろうか? 魔力情報を可視化してみているって事を考えると、何かの魔力だってのは分かるんだけど」
異世界から流れてくる魔力だろうか。もしそうなら、あまり問題視をしなくても良さそうだが、もし違ったら? そうだね、たとえば……。
「この光がモンスターだとしたら?」
「……モンスターですか?」
アルも一緒に魔導望遠鏡を覗いて情報を確認している。なので、一緒にこの映像から読み取れる情報を共有する事が可能だ。
「そう。モンスターである可能性もあるんじゃないかって思う。そして、その考えが正しかった場合……」
「……光は複数あります。大小様々ではありますが。しかし、それらが全てモンスターだとすると、空から大量のモンスターが襲撃してくる事になるのではないでしょうか」
そういう事になっちゃうよね。
後、光の大小ってのだけど、。トンネルの中を通っているモンスター達と地球の距離を表しているのならまだ良いけど、もしモンスターの強さを表しているなんてパターンだったら……大きめの光って結構な数があるんだよなぁ。
「そうだ。先ずこの望遠レンズで他のモンスターを確認しよう。そうすれば、この光の正体がモンスターかどうかってのが分かるはずだ」
「奥行き等も考えると……海の中でも覗いてみますか? それなら、両方同時に確認が出来るかと」
ソレが良いかもね。最近だと海の中も異世界と繋がりやすくなっていて、いつの間にかに異世界のモンスターが流れ込んできていたりするしね。
さて、そうしたら先ずは魔導望遠鏡を海中へと向けて覗き込んでみるとしますか。
あぁ……これはある意味で最悪な結果かも? 海中にはモンスター以外に錬金人魚達も居る。そして、それら全てが魔力を保有しており、その魔力が光って見えるんだけど。
これ、味方と敵と中立で光りの色が違っている。そして、光の大きさは距離と強さどちらも表しているようで。
「厄介な事になったなぁ。あの黒い塊から見える光の色は全て敵の色なんだけど……」
味方も居なければ中立も居ない。全てが敵ってどういう事よ。そしてまた、大きさ的に海の中で確認したモンスター達よりも大きな光を放っているモノの幾つか居るわけで。
これ、クラーケンとかシーサーペントとかよりも強いのが居るって事になるんだよね。そうなると、間違いなく島の戦力を出す事になる気がする。
はたして、各国の軍はどれだけ強くなったのか? それと、異世界帰りの人達は何処まで戦えるのか……ただ、異世界帰りは数が少ないから流石に厳しいかな。
異世界の移民の人達も全てが戦闘職じゃないだろうしなぁ。本当にどれだけの人が戦えるだけのレベルになっているのやら。これは畠山さんにしっかりとお聞きしないとだめな内容だ。
そして、そんな彼の返答次第では、ホバーシップのお披露目にヒーローショーの開演を考えないといけない。やれやれ、かなり頭が痛くなりそうな情報を得てしまったもんだ。
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