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初戦は……

 飛び交う魔法。数によるゴリ押しの上陸作戦。

 どうやら相手は、一定のラインを超えた辺りで一気に攻め込むという戦法だったらしい。


「モンスター側の強みは、やっぱり飛行型モンスターが居るって事だろうなぁ」

「……ん。普通ならそう」


 雪さんの言う通りで〝普通〟ならね。そう、異世界の〝普通〟であれば。だけど、この島は彼らにとっては普通ではない。


 高空であれば飛行タイプの錬金人形が、低空であれば雪さんがペット化したモンスターミツバチ達が居る。しかもミツバチ達は天敵が今まで居なかった上に、俺達の保護下でぬくぬくと〝レベリング〟をしていたからだろうか? かなりモンスターとしては高レベルになっていたりするんだよね。


「毒針を使わずモンスターを撃墜してるなぁ……」

「相手の方が大きくても関係が無いって感じだよね」


 勿論ミツバチ達に被害が無いわけじゃないけど、先に少しでも攻撃を受けたら引くようにと女王に言っておいたからだろうか? ミツバチとしての戦い方としては異質とも言えるヒット&アウェイな戦闘を見せ、被害をかなり抑えていたりする。

 それに、怪我をして戻って来た子達であれば幾らでも治療が出来るからね。こんな時の為に〝モンスター専用ポーション〟も用意しておいたし。


 その様な感じで、現状の空中戦はお互いに押しては引いてと引き分けと言える状況ではないだろうか。




 では地上及び海上は? というと。


「強化外骨格を着けた獣人って異常すぎない?」

「センスなのかなぁ……特に腕の使い方が上手だよね」


 仕込み手甲とでも言えば良いだろうか? これは1人1人にリクエストを聞いて、武器なり防具なりと特殊なギミックを積み込んである。

 獣人だからかな? 基本的には〝爪〟を仕込む人が多い。そしてその爪は〝ドラゴンの爪〟を〝ミスリル〟でコーティングしてあるかなり強い武器だったりもする。


「あ、地面に爪を突き刺して加速したりしてる……」

「砂浜だからなぁ。普通に駆けるよりもスピードが出るのかもね」


 本当、面白い使い方を思いつくなぁ……。あの手の武器って人で言うなら、見た目のまんまな〝手甲鉤〟とか〝ジャマダハル〟的な使い方をするのが普通だと思うんだけどね。

 やはり〝爪〟としての使い方とか接近戦となると、獣人は俺達よりも一枚以上上手なのかもしれない。



 ではエルフ達は?


「エルフには足らない筋力を強化外骨格でカバーして、魔改造したロングボウを軽々と扱っているよね」

「弓自体は木材がベースだけど、これもミスリルコーティングとかをしてあるんだっけ?」


 弓の方はミスリルじゃなくて属性魔鉄かな。こっちは魔法弓としても威力をブーストさせたいからって事で、属性特化弓にとオーダーを受けたんだよね。

 そして、特化する属性は主に〝風〟が多かったんだけど、中には〝火〟だったり〝土〟だったりと、なんだかエルフっぽく無いオーダーもあったりするが……まぁ、趣味なんだろうなぁ。


「矢を風魔法でブーストは七海も良くやっているのだけど……アレだけ巨大な矢が大量に飛んでいくのは壮観とも言えるわね」


 バリスタの矢とか槍みたいな矢が、渦巻く風を纏いながら飛んでいく。そして、モンスターにその矢が命中すると高速で回転しているのもあってか貫通するモノがあったり、矢が停止すると渦を巻いていた風魔法が爆発するように周囲へと衝撃を撒き散らしたりと……アレはかなりチートな魔法矢なのでは? と思う。

 ぶっちゃけ、あんなのは風魔法の炸裂矢じゃん。これは爆弾を更に付け加えたら更に威力が強化されるのでは?




 ともあれ、エルフ達による遠距離攻撃。そして、その遠距離攻撃を掻い潜って来たモンスター達を獣人達が討伐。これにより、上陸を現状は防ぎきっている。


 そして勿論だけど、クラスメイト達も負けては居ない。


「エルフや獣人の特化した動きと比べると一段は落ちるんだろうけど、道具の使い方とかは一日の長があるしレベルは皆の方が高いから」

「ヒーロー君や詩麻ちゃんは規格外だけどね……」


 ただ問題があるとすれば、妊娠出産などにより以前のPTメンバーが揃っていない事から、上手く連携が噛み合っていなかったりするという事だろうか。

 PTを再編成したりして活動をしてはいるみたいなんだけど、練度がまだまだ足らないという事なんだろうね。まぁ、以前と比べると〝必死に生き残る〟といった必要が無いから仕方がない話ではあるんだけど。

 でもまぁ、体に染み付いた動きや戦闘への慣れがあるからね。その分の貯金が有るから、問題と言っても些細なモノではあるかもしれない。




 さて、そんな評価? の様な事をしている俺達は何をしているのかというと。


「左舷の戦力が少し前に出過ぎかな。雪さん、精霊を送れる?」

「……ん。ちゅー太に行かせる」

「中央奥。大きい一撃を入れたいから七海さんヨロ」

「了解! アロレを打ち込んでいくよ!」


 飛行タイプの錬金人形から送られてくる情報を整理し、手を加えるべき場所へと戦力を送ったり援護射撃をしていたりしている。

 ……下手に指示は出さないほうが良いからね。特に獣人って戦闘中は気分が高揚していると一気に戦力が強化されるみたいだから。水を差すよりも、そっとフォローした方が良いんだよね。


「アル、海中からの攻撃は?」

「バレないようにしつつ上手く襲撃ができていると思われます」


 よしよし。これなら上手くモンスターの数を削れているんじゃないだろうか。なんて思うんだけど……なんだろう? 目視だけだと全くモンスターの数が減っていないように見える。いや、寧ろ黒い影が増えていないか? とすら感じる。


 んー……これはもしかして、気配を消した最初のヤツが、モンスターを次から次に召喚でもしているのだろうか。

 だとすると、少し厄介だぞ? 持久戦になった場合、エルフや獣人の体力が持つかどうか……これは交代制にでもして休憩を挟みながら戦闘を行ったほうが良いかもしれない。


 とは言えなぁ。先程言ったように、獣人に水を差すのはなぁ……エルフ達はこの提案をすんなりと受け入れてくれる気がするけど。獣人の場合は〝まだまだ行ける!〟とか言い出しそうだしね。

 うーん……上手く何かで釣るのが良いだろうか。アレだけ楽しそうに戦っているのを見るとなぁ。良い釣り餌が思い当たらないんだが、いったいどうしたら良いだろう。

ブックマークに評価ありがとうございます!((。・ω・)。_ _))ペコリ

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