改善点
森の中に入り、女子達に聞いた魔石が沢山転がっていたという場所に撒き餌をばら撒いておく。
そして、そこから少し離れた場所で息をひそめ観察してみると……なにやら「チュー」ではなく「キシャー!」と、実に可愛らしくない鳴き声が聞こえて来た。
鳴き声がじわりじわりと撒き餌に近づいていく。
因みに、今回ばら撒いた撒き餌は〝肉団子(血)〟なんだよね。なので個人的には一番期待が大きい撒き餌だった。そして、その期待通りに何かが釣れたという事みたい。
慎重に行動をしていたみたいなんだけど、辺りに何も居ないと思ったのか、その鳴き声の主は突然素早い動きをみせ、転がっている肉団子へと接近した。そして、その時その姿を目視する事が出来た。
鳴き声の主はその姿が女子達の言う通りで、爪が異常発達したネズミ。しかも普通のネズミよりもデカい。多分だけど、目測で40~50センチぐらいあるんじゃないかな?
とりあえず、姿は確認できたから次は鑑定だ。
――――――――――――――――――
爪鼠
最弱レベルのモンスターだよ♪ 最初のレベリングには良いかも。と言うより、数だけは無駄に多いから経験値狩りにはある意味最適! ただ、単純作業になりがちだから、戦い方は学べないかなぁ? 強い敵とも戦うのです! でないとPS的に成長できないぞ(^_-)-☆
特徴
群れる。とにかく群れる。
――――――――――――――――――
特徴が群れるって……それだけかい。
いやまぁ、確かに重要な情報ではあると思う。恐らくここで、一匹しかいないからと前に出て戦おうとすれば、隠れているのか後から来ているのか、他のネズミたちに集られてしまう。
なるほど。そうなると確かに特徴が見えると言うのは大きな情報源だ。
では、この餌に寄って来たネズミをどうするかなんだけど……先ずは安心させるのが先だろうか? もし隠れて見ている奴が居るのなら、今目の前にいる奴に、魔法で攻撃すると逃げられてしまうかもしれない。
うん、とりあえず様子見だ様子見。群れるなんて特徴が分かったんだ。なら、間違いなく他の奴等も安全と分かれば、あの撒き餌に群がってくるはず。
息をひそめ、周囲の音を聞き漏らさないようにしっかりと音へ意識を傾ける。
カサカサと小さくではあるが、何かが動く音が聞こえる。うん、ゆっくりとネズミたちが集まっているのかな。音がする方向からしても、俺の背後とか近くでは無いみたいなので位置取りはベストなんだろうね。
そんな感じで撒き餌を見守っていると、一匹、また一匹とネズミたちが最初の一匹へ合流し始めた。そしてなにやら「ヂュゥ」「ギィー!」と、何とも不快な鳴き声で会話? の様なものをしている。
あれかな? 「これは食べられるのか?」と言った感じの情報交換でもしているのかな。何せ奴等の目は肉団子に釘付けだし。
しかしここで一つ問題があると言う事に気が付いた。
その問題というのは、撒き餌の効果が絶大過ぎると言う事だ。
何せ、次から次へと集まってくるネズミ。まじで群れてると言うか……もはや恐怖すら感じるレベルで集まって来ているんだけど。
鑑定結果が群れと言うから、5匹から10匹ぐらいはいるのかな? なんて漠然的に考えていたけど、この場に集まった数はそんなレベルの話じゃない。あれよあれよという間に、20匹超えたんじゃないかな? と思えるネズミの群れによる塊。
どうしようか? これ、攻撃を仕掛けたらまずい気がする。
とは言え、これだけの数は経験値として考えたらとても美味しいだろう。魔石としても一気に集める事が出来る訳だし。
うずうずと、物欲やら経験値欲が壁から顔を覗かせて来る。あぁ、何やら物欲さんが手招きをして来る様な錯覚すら覚える。
だ、だめだだめだ。ここで下手に手を出せば返り討ちに合うのは自分じゃないか。
魔法が使えるとは言え、威力の高い〝アロー系〟は単体攻撃だし。基礎魔法は単体攻撃に毛が生えた程度の範囲があるかどうかだし……そもそも威力は低い。
な、何か手はないかな? こう、あいつ等を一気に殲滅出来るような手段が!
とりあえず考えよう。まずはアイテムの事だよね。
まずもってきているのが、撒き餌シリーズ。とは言えこれでは攻撃など不可能かな。確かに毒入りもあるけど、今からそれを出してどうするの? って話になるかな。
他にあるのは……シャボンボムの毒かな。あれなら確かに攻撃にはなるけど、毒が回るまでの時間が問題になるかも。毒でネズミがダウンするまで、あの群れの数から逃げ回れるかどうかって話になるよね。
ボムベリーシリーズもあるんだけど……カエンタケと合わせた焼夷手榴弾だと火事が問題になりそうだし、乾燥ベリーによる爆弾だと威力が微妙。
あれ? これ、数の暴力に対して出来る事が少なくないかな。
これはあれかな、毒入り肉団子を何処かに仕込んでおいて、こそこそと撤退するのが吉かも。
そして、戻ってから女子達に群れるという情報を共有して、そこから範囲攻撃が出来るような道具を考えよう。
それにしても……よく夏目さんは一体から攻撃をされただけで済んだよな。
例え一体一体の攻撃力が低いからと言って、群れで集団リンチに遭えばそのダメージは無視できないレベルになっていたと思うし。
もしかしたら、一体が攻撃を仕掛けてきた時に直ぐ撤退をしたのが良かったのかな? 検証する気にはならないけど、とりあえず彼女の運が良かったのは間違いないと思う。
さて、そしたら持って来た撒き餌を上手く使って、奴等の意識を逸らす方向で行こう。
先ずは、血入りの角切りの肉にスライスの肉が入った竹筒を、ちょっと遠くに投げ飛ばして奴等の移動を誘導しよう。……上手くいけば、群れが別れてネズミを狩れる数になるかもしれないしね。
あ、竹筒を投げる時はしっかりと蓋も開けておかないと。
後は毒入りを適当に撤退しながらばら撒いておくとして、音をたてないようにしつつ森の中からすたこらさっさと逃げないとね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
拠点へと戻って来た俺は、早速女子達へとこの情報を提供しておく。
彼女達もまだ狩りに出ていなかったようで、今出発しようとしている姿を見るになんとか間に合ったと言った感じかな。
「……これは危険」
「群れね。となると、色々と対策が必要かしら?」
「でも、桔梗の魔法でなんとかなるんじゃない。私の弓は単体に強いけど、群れとなるとちょっとつらいかもしれない」
「それもそうだけど、雪がモンスターを叩けないんじゃないかな? なんとか一匹だけ残すとかそういう方法ってあると良いけど」
俺から情報を手に入れた彼女達は、再び作戦会議を開始し始めた。これはまた長くなるぞ。何せ、今の今まで彼女達はどうするか? と言う話をしつつ準備に時間を掛けていたのだから。うん、俺が調査に出て帰ってくるまでの時間でって話だしね。
「それにしても、血入りの肉団子の効果が絶大だったのよね? なら、血入りじゃなくて何も入っていない肉団子を使うのはどうかしら。後、望月君に聞きたいのだけど、血の量を調整して釣るモンスターの数を操作できるかしら?」
「それはやってみないと何とも……でも確かにそれが出来れば狩りが楽になるか。ちょっと錬金に集中してくる」
秋山さんから面白い案を貰えたか。よし、ならさくっと色々試してみよう。
肉団子の作成はもう慣れたからな。だから後は上手く血の量を調整するだけで何とかなると思うし、この調整も出来ない事は無いと思っている。だって濃度の調整が出来るようになっているしね。だから、血の濃度を変えれば良いだけじゃないかな。
しかし……やはり人が多いと思いつかない案を貰えるのは大きいね。ことわざに〝三人寄れば文殊の知恵〟なんてのがあるけど、正にその通りだと思ったよ。
ブックマークに評価などなど(人´∀`)アリガトー♪
と言う訳で、女の子の準備が長いと言うのは世の常。とは言え、男の子は決して彼女達を焦らすような事はしない様に(*'ω'*)
イラッとしても、そう言うモノだと思うのです。なんならゲームでもしながら待ちましょう。
そして優秀過ぎる撒き餌。これ、ネズミ以外でも使えそうですね(≧▽≦)
とは言え、このままでは集めたネズミに対して対処が出来ないという事で……要改善です。




