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チートアイテムの活躍

 世界のモンスター事情について、俺達が何もしていないわけではない。

 と言うのも、俺の手にはおじいちゃん達から受け取ったチートアイテムがある。そう、最近ではもっぱらフォゥの玩具となっている〝モンスター図鑑〟だ。

 恐らくだけど、異世界のモンスターは全て網羅されているだろうこの図鑑。ワールドマップと一緒に見ると、生息地まで確認ができるという代物。

 そしてそのワールドマップには、はっきり言って埋まっていない場所など無い。なので、おじいちゃんとおばあちゃんは異世界の全てと言っていい場所を旅したのだろうと言うのが分かる。

 であれば、それこそ新種とか2人でも行けなかった場所……海底とかマグマの中とか地中とか、後はダンジョンの隠しフィールドとかかな? そういった場所に居るかもしれないモンスターが抜けているぐらいだと思う。


 そんな訳で、俺はフォゥと一緒にモンスター図鑑を〝脱線〟しつつも、情報にあったモンスターが居ないかをチェックしている。


「んむぅ、まったく図鑑には載ってないの。みゅ! この子! 雪おねえちゃんの子にそっくり!!」

「あぁ、確かに〝ちゅりお〟そっくりだね」

 

 雪さんが召喚する〝ちゅりお〟は、見た目はクリオネな精霊だが元々はモンスターに同じ姿をしている存在がいる。

 なので、そんなクリオネモンスターを発見したからか、フォゥのテンションは一気に上がりクリオネモンスターの説明文を読んでいったんだけど……ある場所でフォゥの時はピシリと罅が入ったような音を立てつつ止まってしまった。


「あぁ、おじいちゃん達はこの映像を収めていたのか」


 何て事はない。写っていた映像は〝クリオネモンスターの戦闘シーン〟だ。そう……地球のクリオネも捕食時に見せる、あのトランスフォーム。

 頭をグバァと開き、バッカルコーンと呼ばれる触手をウネウネとさせながら獲物に襲いかかる姿だ。


「そりゃ、こんな映像を見れば固まりもするか」


 可愛い姿をしていたはずなのに、一瞬にしてとんでもないクリーチャーに早変わり。

 これ、雪さん以外の女子達は情報としては知っていたはずなんだけど、ちゅりおが戦闘した時にやはり固まっちゃったからね。知っていてもそうなったんだ。だったら何も知らないフォゥが完全にフリーズしてしまうのは、絶対に避けられるハズが無い内容で……。

 本来なら、読み進めるのを止めるべきだったかもしれない。何せこの姿は、子供の夢とかそういった物を破壊しかねない見た目だから……なんて思っていたんだけど。


「か、かっこいいの!」


 え、えっと……うちの子の感性が独特すぎるんだが? これはどう対応したら良いのだろう。


 はっ!? これはもしや、雪さんの悪影響では? 彼女はもふもふスキーという事以外にも、ポイズンクッキングや特殊なモノを好むという性質を持っている。世間一般的に苦手と言われる虫やおばけも平気だしね。

 食に関しても、都会っ子のハズなのに何故それを食べようと思った? と思える物まであるんだよなぁ。蜂の子とかザリガニとかタニシとか……なんならナメクジまで食べようとしたぐらいだ。そしてその時に「……寄生虫の処理にしっかりと熱を通す」なんて事を、キリッとした表情で言ってたからなぁ。


「フォゥちゃんや……ナメクジとか食べたいって思う?」

「ぅ? にゅるにゅるはにがてなの……アレを食べるぐらいなら、フォゥはお肉が良いの」


 よ、良かった。どうやらフォゥの精神は汚染されていないようだ。


 いや、サバイバリティーがあるという意味で言うなら、雪さんはある意味でパーフェクトと言える。あ、でも料理がポイズンな時点で少し減点か? でも、何でも食べられるってのは間違いなく強みだ。……悪食とも言うけど。

 いやまぁ、本人も好んで何度も食べるという訳ではないみたいなんだけどね? ただ、1度は試しておくべきと思ってはいるみたい。そしてそれは、この島に転移されてから更に強く思うようになったんだとか。

 何時、何処でまた、どんな場所に飛ばされるか分からないから。そんな事を彼女は言っていた。


 確かにその考えは正しい。正しいんだけどなぁ……それでも、やっぱり、苦手なモノは苦手だ。流石にナメクジやゴキブリは食べたいと思えないよ。



 おっと、ヤバい。このままでは本題から思いっきりソレていってしまう。


「脱線を修正しないと……えっと、やっぱり〝メジェド神〟とかの情報は載ってないなぁ」


 名前でのサーチでも引っかからなかった。と言うか、そもそも名前自体が図鑑に載っているのは〝異世界基準〟なので、地球のワードでは載ってはいないみたいだ。

 何せ〝スライム〟の名前も全く違う名前で記載されていたりするからね。多分これは、そもそも俺が〝異世界に飛ばされた後に使う〟という事を想定しての図鑑だからね。そりゃ、地球での名称で載っているハズが無いんだけど。


 ただまぁ、この呼び方が違うって事自体は余り重く見る必要がないかな? 世界が融合し世界の情報が修正が行われた後、言葉と同時に誰しもがわかるワードになっているだろうからね。だから、今だけの問題ってところかな

 ま、どっちの言葉になるのかは分からないけど……地球がベースであるなら、地球で使われているワードになるんじゃないかな。なので、スライムはスライムになるみたいな? うん、何だか意味が余計に分からなくなりそうだから、この話はこの辺でやめておこう。



 ともあれ! 今の時点で図鑑に載っている名称は異世界基準って事だけ分かっていれば良い。

 そして、そうなると〝名前〟でのサーチができないから、1ページごとしっかりと姿をチェックしていかないといけないんだよね。なので時間がかなり掛かる作業だったりする。

 更には、今までのやり取りを見て解るように……かなり脱線をしながらなんだよね。


「みゅ! パパ! この、ふわっふわでもこもこなのがかわいいの!」

「かわいいもこもこ? あ、あぁ……そいつか。それ、パパは遭遇した事があるけど、かわいいだけじゃないぞ?」


 いつぞやに出会った10cmから30cmぐらいのサイズな、空を飛ぶケセランパセランみたいなやつ。名前は〝しらたま〟だ。

 そしてそんな〝しらたま〟だけど。奴らに触れると爆発してダメージを受けてしまうという鬼仕様。しかもだ! 1体にちょっかいを出したら、仲間に何してくれとるんじゃ! と、わらわら群がって来て更なる爆破祭りが行われるという……ね。

 そして、勿論だけどその生体も図鑑にはしっかりと記載されている。


「……これはひどいの」

「かわいいモンスターには棘以上のモノがあるんだよ」


 クリオネといい、このしらたまといい、可愛いからと言って安易に触れてはいけない。いや、近づいてもいけない。それだけモンスターと言うのは恐ろしい存在だ。

 と、また脱線してる……うん、まぁ、フォゥが色々と興味を持つから仕方がないけどね。


「んー……あ、このモンスターだと可能性はあり?」

「みゅ? なんだか鏡みたいなの」


 鏡タイプのモンスター。そして、そのモンスターは頭や心の中にあるモノを幻として映し出すらしい。


 もしかして、このモンスターが作り出した幻影を皆は見たのではないだろうか? そう考えれば〝神話の神〟を見たという情報も〝全くの嘘〟では無かったと言えるんじゃないかな。

 ま、可能性の1つだけどね。ただ、限りなく高い可能性じゃないかなぁとは思う。それこそ、地球の神が顕現したと言われるよりはね。


「一応このページのモンスターを紙に写して、鈴木さんから畠山さんに渡して貰おうかな」


 割と危険なモンスターっぽいしね。

 どうやら幻を見せ、対象を引き寄せた後に鏡の中に取り込むんだとか。そして、鏡の中の世界で幻を見せつつ魔力を搾取するらしい。


 今のところ、出てきた存在が存在なので接近した人は居ないそうなんだけど……もし映し出された幻が、その人にとって大切な人やペットとかだったらと思うと。実に恐ろしいモンスターだよ。

 これは被害者が出る前に、こいつの存在を広めないといけないとおもう。なので、鈴木さんには至急という文字を付けてメールを飛ばしておこう。

 後の事は、畠山さんにお任せだ。国同士の交渉材料にするのも、無償で情報を提供するのも国の方針次第。ま、俺達はいつもながら、国に対して恩を押し売りするって感じかな。


 さてさて、いったい今はドレぐらい恩の貯金があるだろうね? 銅とか外交の壁などの事で色々と返しては貰っているけど、多分まだまだ貸しの方が多いハズだ。

 ここらでもう1度、何か返してもらう方法を話し合うべきだろうか? 個人的には銅とかがもう少し欲しいなぁなんて思うけど、そこら辺は鈴木さんの交渉力に任せるとしよう。

ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ

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― 新着の感想 ―
[一言] 一部の人は「幻でも嫁に会えるなら!」と血眼になって探しそうだねw
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