インターバル中に覗いた異世界人たちの様子~雪視点~
ぴょんぴょんとちゅー太たちが船の中を駆け回る。理由は? それは異世界の子たちのメンタルをケアするため。
やっぱり、どうしてもジッとしていられないのに動けないのは苦痛。そんな表情を見せる子が増えてきた。
「だから、ちゅー太達を向かわせたの?」
「……ん。監視にもなる」
何を言っているのかは分からない。分からないけど、表情で読み取れるモノもある。それに遠くやカメラからでは分からなかった行動のチェックを近くで出来る。
それを、子供のメンタルケアを理由に全てを行える。実に美味しいクエスト。
……ただ。何体かはガシッと子供に捕まってしまいチェックなんて出来ないけど。
「……精霊なのにドジっ子」
「子供には勝てないって事だね」
傷つけられない相手には弱い。鬼と一緒? 泣いた子に対して太刀打ちが出来ない的な。
それで、船内の様子をちゅー太たちの目を借りて見たんだけど、やはり大人は子供に比べ現状を理解出来る……んーん、出来てしまうから、皆その表情が暗い。中には絶望すら覚えているのだろうと思える人も居る。
要注意? 流石にこれだけ身内が居る中で暴れたりはしないと思うけど、後でこっそりと自傷されたりでもしたら面倒くさい。この事はもっちー達に言って、相手の代表に伝えてもらおう。
逆に子供たちは状況を理解していない。彼らの場合はやはり動けないストレスの方が大きいみたい。
中にはお絵描きに夢中で、ここが船だなんてことすら忘れている子も居るけど。……お? 将来〝画伯〟なんて言われそうな子が居る。うん、とてもユニークな絵を描いてる。
異世界人を観察していると、どうやら彼らの代表達が大人達に何かを伝えた。
あ、とても難しい顔をしている。んー……いったい何を話しているんだろう? ただ、かなり難解な問題にぶつかったように見える。
あぁ、何か声が大きくなり始めてる。少し子供たちがビクッとしているのが見えないのだろうか。もう少し場所を考えて欲しい。
そんな風に彼らの様子を見ていると、こちらも桔梗たちが帰ってきた。
「……おかえり」
「ただいま……はぁ、疲れたわね」
おや? もっちーが居ない。もしかして何か伝え忘れたモノでもあったのだろうか。
ただ、その事については七海が桔梗たちに聞いているから、ボクは相手の観察を継続することにした。……もちろん、桔梗たちの会話にも偶に入るけど。
それにしても、異世界人の大人たちは子供を怯えさせたい? 代表者から話を聞いた人のほとんどが何か叫んでいる。それだけ混乱したのだろうと理解は出来るけど、こんな時に大人が子供の前で狼狽えてどうするのか。
もっとどしっと構えて欲しい。そんな調子じゃ不安がどんどん感染してしまう。あ、ほら、子供の1人、目が潤んで来てる。
よし、ここはもふもふの出番だ。泣きそうな子の前で毛並みアピール。……って、また尊い犠牲が出た。1体のもふもふが、ガシッと抱きかかえられる形に。
むぅ、大人たちよりも子供たちの方が理性的? 子供たちは情緒が不安定になりかけている子にもふもふを優先的に抱えさせている。
中には叫んでいる大人に向かって「もふもふ抱っこする?」なんて言っているツワモノも。……大人の立つ瀬がない。もう少し大人になろう? って、アレ? これはなんだか言葉に違和感しか無い。
後、叫んでいる人たち。もしこれがゲームや物語だったら、ソレは死亡フラグだから。開幕にやられちゃうタイプの行動だから。落ち着くのは大切。
それにしても、本当にいったい何を伝えたのだろう。もっちーたちが戻っていたら会話の内容を訳してもらえたかもしれないけど、今はこの場に居ないからどうしようもない。
なんて考えていたら、部屋の扉が開く音が聞こえた。どうやらもっちーたちが戻ってきたみたい。って、アレ? もっちーの調子が凄く悪そう。
エリカが声をかけると同時に回復魔法を飛ばした。……いや、どう考えてもメンタル的なモノから来ている体調不良だろうから、回復魔法は意味が無い。
むむむ……何とかしなくては。あ、でもメンタルケアに使えるもふもふたちは全員が出張中。これではもっちーのケアが出来ない。
いったいどうしたものか。……はっ! ここはボクがもふもふになれば良いのでは? こう、ぴょんぴょんともっちーの周りを飛び跳ねて、スリスリとマーキングみたいな事をすれば……うん、いける!
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