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フィールドボスクラス

 間に合ったかと言えばそう言えるかもしれないし、間に合わなかったともとれる。

 と言うのも、よもやこの海域に塔フィールドのボスレベルモンスターが出るとは思わなかった。ヤツは船の周囲に居た錬金人魚やモンスターの数が減ったと察知し、そのタイミングで一気に行動を開始したらしい。


 海底から一気に海面へ。そして向かう先にあるのは異世界から来た木造の帆船。

 帆船はこれまでの戦闘により無数の傷が入っており、そんな状態の船に対してヤツは真下からの奇襲。そのような攻撃に船が耐えられるハズもなく……。


「本当、こっちも船を出して正解だった」


 海へと投げ出された彼らを救助し収容できるだけの船。これを出していなければ、今頃この異世界人達はモンスターの腹に収まっていたかもしれない。



 ちなみにそのボスモンスターなんだけど、救助している最中にこちらを何度も狙ってきた。狙ってきたんだけど、そこはサーフボードに乗ったバーサーカーちゃんと、変身した状態で船へ乗船してきたヒーロー君の頑張りで何とか無事に救助する事が出来た。

 特にヒーロー君は、船や要救助者にモンスターが近づこうとすると、船から「とぅ!」と叫びながら飛び出しモンスターの顔面にキック。そしてキック時に相手を踏み台にし再びジャンプをし船に戻ってくる。この動作を何度か繰り返していた。


 バーサーカーちゃんもバーサーカーちゃんで、サーフボードごと大回転しながらモンスターの横腹? あたりに連続で打撃を与えていたりと……うん、君ら2人とも曲芸師とかゲームのキャラかなにかかな? と思ったのは内緒。



 さて、そんな感じで救助の時間を稼いでもらえたのだ。なので当然だが全員を無事救助出来たワケで。


 救助された異世界人なんだけど、今はあちこちでタオルに包まりながら暖をとっている。そしてまた、物珍しそうに船をキョロキョロと眺めている。……それも全員が。

 これはアレかな? 鉄で出来た船に驚愕し、どうなっているんだ! って感じで見回しているのだろうか。


 そしたら、これをやったらもっと驚くだろうけど……ま、今は彼らの事よりもモンスターをまずなんとかする方が先だからね。存分に驚いてもらおう。


「フォゥ。そこのマイクに向かって「本艦はこれよりモンスターを迎撃しつつ、全速にて航行を開始します。ですので、不用意に動動き回らないようお願い致します」って感じで喋って」

「あい! わかったの」


 やったのは艦内放送である。

 彼らにとっては、どこからともなく巨大な声で語りかけられるワケで……あ、でもちゅん吉にスピーカーを持たせて話しかけたから、少しは耐性が出来ているかもね。


 とは言え、頭がまだ良く回っていないのだろう。スピーカーから流れる大音量の声に対してビクッと反応する人がちらほら。


 ただ、多少冷静になった人も居るようで……そんな人達は彼らにとって異常ともいえる状態に気が付き頭を抱えてしまった模様。

 そりゃそうだよな。帆船を使っている人達が、帆が無い船に乗っているんだから。え? この船どうやって動いているの!? と、頭に大きなはてなマークを大量に浮かべてしまうのも仕方がない話。




 だが、今はそんな彼らにかまっていられる余裕はあまり無いわけで。


「アル。航路はこの島をぐるっと一周する感じで。その一周する間にモンスターを討ち取る」

「了解しました。操船はお任せ下さい」

「船を囮にしつつ機雷爆雷で迎撃。フォローはヒーロー君やバーサーカーちゃんに任せるとして、皆は迎撃に回る? それとも操舵室や機関室の警護にする?」


 どちらも人が足らないといえば足らないからね。だからここは皆の意思に任せようと思う。……とは言え、多分返ってくる答えは予想通りなんだろうなぁ。


「私は勿論迎撃に回るわよ。土魔法を船内で撃つなんて真似は出来ないもの」

「私も同じかなぁ。弓を撃つなら断然外じゃん」


 桔梗さんと七海さんは外を選び。


「私はフォゥちゃんと一緒に居るよ」

「……ん。もふもふで護衛」


 エリカさんと雪さんはフォゥと一緒に居ることを選んだ。それぞれの戦闘スタイルを考えると順当かなぁって感じだね。




 各自配置について貰ったので後は全力で航行を開始。

 俺のやることは単純。何時でも切り札が切れるようにしつつ、上がってくる情報を全て纏めて……纏めて……うん、ちょっと情報が多すぎやしないかな?


「やべ、錬金人形達全ての情報までこっちに来てる。てか、船を追っかけてこなかった雑魚達は港を今度はターゲットにしたのか……」

「た、大変な状態になってるね。でも、海岸って陸タイプの錬金人形を配置してたよね?」


 そう。そして、その錬金人形達から次々と報告が上がってきてるんだよ。上陸を阻止した! とか、今夜は魚介料理をたらふく食えます!! とか。


「それ、一々報告しなくてもいい気がするモノが含まれている気がするんだけど」

「……海鮮料理。じゅるり」

「きょうはお魚さんのごはん!」


 わーいわーいと小躍りをする2人は……まぁ、放っておくとして。


「人魚タイプからも〝タコワサがー〟とか〝イカ飯がー〟ってワードがちらほら……いや、クラーケンでイカ飯はちょっとサイズが大きくなりすぎだろって思うんだけど」

「そういう問題じゃないよね……」


 そうなんだよね。今この状況で話すような内容じゃないと思う。でも、報告を見てると何度も目に入っちゃうんだよな。


「お、ヒーロー君は救助する対象がもう海にいないから、メイン武器をカノンに戻したみたい。それで、桔梗さんにバラつきが激しすぎるってダメ出しされてる」

「……ん。アレはダメダメな撃ち方だった」


 正面に敵の大群が居るっていうだけなら問題ない撃ち方ではあったと思うけどね。ただ其処に、フォローする対象が大問題だったんだよね。それで、今もまた同じような撃ち方をしていたのだろう。

 こんなダメ出しをするチャンス。桔梗さんが逃すはずもない。


「ダブルカノン同時撃ちは反動こそ激しいけど、命中率は一気に上るからなぁ」

「乱射さえしなければ良いんだよ」


 フィールドボスクラスのモンスター相手に、命中すらしない弾を撃つとかね。それも、相手のサイズだって相当大きいというのに。


「えっと、それでそのボスクラスのモンスターだけど……見た目が鱗とヒレを持つタイプの海坊主で良いのかな」

「……魚人。ただ、無駄に大きい」


 アレをみてパッと思いついたのが〝北尾政美の夭怪着到牒〟に出てくる海坊主。

 確かに魚人といえば魚人だね。ただ、その海坊主が襲っていたのは小舟だったはずなんだけど……うん、サイズが違うなぁ。こっちの海坊主さん大きすぎるよ。


「あ、そうか! 東海道五十三対の海坊主も混ざっているって感じか」

「景くんが何を言っているのかわからないよ……」


 東海道五十三対の海坊主はなんか巨大な人の影みたいな感じの海坊主だからね。うん、その両方の特徴を持っていると考えたら……アレは間違いなく海坊主でいいだろう。


「……1人で悩んで1人で納得してる」

「周りを置き去りにして自己完結とか、これだからMADタイプの生産者は……」


 いやほら、あのモンスターの呼び方を1つにしておかないとね。なにせこの状況だと鑑定が出来ないからさ。


「って事で、仮称だけどアレは〝海坊主〟って事で」

「なんだかなぁ……うんでも、呼び方については分かったよ」

「……海坊主は美味しそうじゃない」

「アレは食べられないとおもうの」


 いや、流石に海坊主を食べようとか……食べられるのか? うーん、どうなんだろう。

 鑑定出来ないからなぁ。討伐後に調べたら分かるかな? でも、見た目的になぁ……切り身とかで出されても、元の姿を知っているとなると。うん、食欲が少し失せる気がする。

ブックマークに評価ありがとうございます!(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜

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― 新着の感想 ―
[一言] 異世界のモンスターに対して異世界人が全く対応できてないのなんか違和感。 そんなに危険なモンスターが蔓延ってる海に当たり前に航海できてるのはなんでだろ。 システムさんがいじってるのかな
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