表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/827

森の中を歩こう~女子D(雪)視点~

 もっちーを先頭に、ボク達は森の中を進んで行く。

 何時もよく行く森の中。だけど、今回は理由が違くて……ボク達は2週間ほど、もっちーに関しては3週間以上使っていた拠点を放棄した。

 そして今は新しく安全に生活できる場所を探してトコトコと歩いている。ちなみに、ボクの手の中には渾身の出来である泥団子! ムフー。


「……ちょっとムカつく」

「雪はまた唐突な事を……」


 でもムカつくのは当然だと思う。

 だってボク達、あいつ等の所為でこうして拠点を移動するの2度目だよ? しかも、今回は皆で頑張って建てた建物を捨てる事になった。ムカつかない訳がないと思う。


「私達なら雪の言いたい事が理解できるわよ? でも、他の人には全く分からないのよ……何せ、何がムカつくのかを雪は言っていないもの」

「……難しい」

「ま、まぁ! 今はほら、話をしたように静かにしないと! ね!」


 そうだった。森の中には危険が一杯。そんな危険を察知する為にも、音はしっかりと拾っていかないと。

 うーん……耳に意識を集中して、頭上と足元を警戒って、うにゃ!!


「ゆ、雪……行き成り私に突っ込んできてどうしたの?」

「……警戒した」

「あぁ、意識をそっちに集中しすぎて前が見えてなかったんだ。あー……とりあえず、ツーマンセルでやっていく? 片方が上、もう一人が下をって警戒したら少しは楽かも」

「……お願い」


 これは恥ずかしい。まさか、前方不注意を犯してしまうなんて。ただ、目の前にいたエリカのお陰で、ボクは転ばずに済んだ。


「……ありがと」

「どういたしまして」


 なんだか周りからボクに生暖かい視線を感じるけど……きっと気のせい。

 だってほら、皆も上に下にと意識を動かすから、色々と見えて居なかったりする。……七海だけはパーフェクトな動きをしているみたいだけど、桔梗は時々足を躓いたりしているから、ボクの事は言えないはず。




 それにしても、もっちーは不思議だ。

 あれだけ、シマウマ? 違う、えっと……じゃがうま……らいうま……ウマシカ!! を発症していたのに、今はボク達と会話が出来るようになってる。気合でねじ伏せたのかな? それとも他に何かあったのかもしれない。


 以前のもっちーなら、この距離を背後で歩かれでもしたら深刻なダメージを負っていたと思う。

 でも今は、後ろにいる私達の気配も探りながら、最前と言う負担が一番多い場所を歩いている。それも、悠々と言った感じで。


「……プロ?」


 思わず口から言葉が漏れた。駄目だ! と慌てて口を片手で塞ぐと……桔梗がニヤニヤとしながらボクの事を見ていた。むぅ、桔梗はまださっきエリカへ突撃した事を考えてる。

 その証拠に、桔梗は私をみると地面に向けて指を指している! 2度も躓いて突撃なんてしないのに。


 ただ、言葉を発した事でボクの気が散ってしまったのも事実だから。この後しっかりと注意しておかないと。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 水やトイレなどの休憩をはさみながら森の中を突き進んだんだけど、思った以上に敵対する生物が居ないと言う事が分かった。

 ただ、それでも全くいないという訳では無くて、擬態して待ち伏せをしていたり、ものすごい勢いで突撃して来たりしたんだけど、スキルを使ってその全てに対して上手く対処して来た。


 そして今、少し開けた場所を発見したから、そこでテントを張って寝る準備をしようと言う話になったので、皆で色々と準備中。


「夕飯は私達でやるとして、テントは望月君がやってくれているけど……」

「……意味不明」

「早いわよね。後、あの草? は何に使うのかしら……出入口の前に沢山放置しているけれど」


 もっちーのやっている事を横目に、ボク達は淡々と夕飯の準備。

 ただ、準備と言ってもやる事はそう多くない。アイテムボックスから食材を取り出して、それを切り分けてから皿の上へと盛り付けるだけ。


「燻製肉は焚火で炙るとして……あぁ、胡椒が欲しいかなぁ。無いから塩だけなんだけど」

「確かに胡椒は欲しいね。七海、これって胡椒の代わりにならないかな?」

「ん? それってレモン?」

「さっき見つけて望月君に鑑定して貰ったんだけどレモンとは違うんだって。見た目は緑色のレモンだけど、中身が……」

「中身が何?」

「山椒っぽい何か」


 ピリリと辛い香辛料。確かジャパニーズ・ペッパーなんて言われてもいるって聞いた事がある。


「……良い物」

「だ、だけどこれ大きさ的に使えるのかしら? と言うか、どうやって使えば良いのよ」

「粉にするとか? あ、でもどうやって粉にするんだろう……」


 ボク達はお互いの顔を見つめ合う。それは恋に落ちる……訳じゃなくて、ただ仕事を押し付け合うという牽制行為。

 だって、これの使い道が全く分からないもん。


「肉にぶっかけるとか……」

「どうやってよ。と言うか、冒険なんてしない方が良いんじゃないかしら? 下手に使って大変な味にでもなったら絶望よ」

「……先延ばし」

「そ、そうだよね。素材として取っておいて、拠点が決まってから使い道を研究した方が良いかも」

「……錬金で粉にして貰う」


 ボクがそう言った瞬間。皆の顔が「あっ」と言った感じで停止してしまった。

 あぁ、皆もっちーの錬金術の事を忘れていたんだ。鑑定は直ぐに思いついたのにね。


「あー……全くなんて事なの。一気に物事が動き過ぎて大切な事を忘れてしまっていたわ」

「桔梗でも忘れちゃっていたもんね……割と精神的に疲労しているのかも」

「森の中を歩くのも、狩りをしている時と違ってかなり集中していたから。やっぱり普段と違う場所を進むのは心労が絶えないや」

「……思考停止」


 「あぅ……」と三人がダメージでも受けたかのように崩れ落ちた。

 うんうん、ボクに対して注意散漫と言ったのに、自分達も思考が停止しているんだからこれぐらい言っても良いよね。


「なんか雪がムフーってドヤ顔してるんだけど」

「桔梗が散々揶揄ったから……」

「あ、アレは揶揄ったんじゃなくて、気を付けないと! って教えていただけで!」

「その割にはニヤニヤしてたじゃない」


 むっふっふー。今度は僕がニヤニヤとするターン。って! なんだかボク達に向けて望月君が「やれやれ」と言った表情を見せている。


「……もっちー!」

「え? もち? あぁ、望月君がどうしたの……って、あぁぁ、見られてたんだ」


 もっちーの目はあれだ。「お前ら本当に仲が良いな」と言った感じの視線だ。……まぁ、もっちーの目は私達の〝近く〟を見ているだけなんだけど。やっぱり直視はまだ辛いのかも。


「……もちゃー!」


 片手に泥団子を持ったまま、ボクはもっちーに向かって両手を上げて威嚇してみた。


 ビクッ!? と動く……エリカ達。あれ? もっちーが吃驚するところじゃないの? なのに、当の本人はと言うと……あ、今「クス」って吹いた。

 ふむ、驚かせるのは失敗したけど、笑わせる事には成功した。うんうん、良かった。


「も、もちゃーって……しかも、抑揚が無いし……」


 何かブツブツと言っているみたい。

 うん、「もちゃー」ってのは〝もっちー〟にやるから「もちゃー」なんだよ? それと、ボクってそんなに抑揚が無いかな? あるよね。


「無いわね」

「無いよ」

「無いかなぁ」


 ……親友の3人が辛辣すぎる。ボク、これでも精いっぱい表現しているのに。


「……もちゃぁ……」

「さっきと変わらないわね」

「どう違うのか、なんとなくは伝わるんだけど……声だけ聴いても同じに聞こえると思う」


 むぅ……悲しみの「もちゃぁ」だったのに。さっきと一緒ってどういう事? さっきのは威嚇だよ。


「てか、何で望月君で威嚇や悲しみを表現してるの?」

「……なんとなく?」


 気分だよね。うん、それに何だか可愛いと思ったし。って、それよりもご飯だどうするんだろう? レモンモドキな山椒は保留になったけど、やっぱり肉は塩だけになっちゃう?

ブックマークに評価等、いつもありがとうございます!!(*- -)(*_ _)ペコリ



雪ちゃんはどう頑張っても雪ちゃんなのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 女子がツーマンセルという言葉を普通に使ってるのは違和感がある……
[一言] トラウマの勘違いをいくつかさらに考えてみました 虎熊(名字にあります)虎縞 リラックマ。スマトラ(インドネシアの本島) この中で一番女子Ⅾの雰囲気にあいそうなのはリラックマだけど 流石にな…
[気になる点] もっちーが前なのは……直視出来ないのとステ考慮を除くと何が残るかなぁ……んー躓いて勢い余ってラッキースケベしない対策?w [一言] AエリカB七海C桔梗D雪って覚えるまで脳内ループしと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ