一昔前ならソレの選択もあり得たと思う
「しかし、ロマンと言えば天空城じゃないのか? 様々な作品にも使われている事から分かるように、空に浮かぶ島こそ夢があると思うんだが」
海底都市や移動要塞について熱く語っていたら、鈴木さんからそんな質問が飛んできた。駄目だよ駄目。鈴木さんは俺達の掲げているロマンというのを全く理解していないみたいだ。
確かに天空城というのはロマンだ。男子チャットで何名かの男子もまた、空を自由に移動する島を! なんて事を言っていた。
でもね? 俺達が求めているのは実用性のあるロマンなんだよ。ソレを考えると〝空の居住区〟というのは選択肢に入ってこない。それこそ、宇宙まで行くなら別の話なんだけども。
「いや、制空権が取れるじゃないか」
「いつの時代の話をしていますか? 確かに制空権を取ることが出来れば有利に物事を進める事が出来るのは間違いないですが、だからといって其処へ〝住民〟を住ませるのは違うと思いますよ」
軍事拠点を作るというのならまだしも、空で生活基盤を築くのはデメリットだらけじゃないかな。
人にとって空の方が深海よりも挑戦しやすい空間だし、それにこれから異世界と融合されたら空のモンスターの問題も出てくる。
そもそも空は目視しやすいしね……そんなのここに居ますよ! ってアピールしているようなモノじゃないか。
だから現代の技術力を考えるとね。流石に空での生活は選択出来ないと思う。ロマンはたっぷり詰まっているけどね?
「なので時代は海底ですよ」
それも現代の潜水艦では到達不可能な深さで。
「しかし、海底にもモンスターは居るだろう? 後、水圧や地震などはどうするつもりなんだ?」
「水圧に関しては素材や結界術などで力技ですかね? 地震などはそれこそ移動要塞化してしまえば大丈夫かなっと。モンスターは人魚型の錬金人形達にって感じですかね」
海底で戦闘が可能な人間なんて居ないしね。あ、でも強化外骨格を水中戦仕様にしたらいけるかも? うん、これは少し考えてみるのがよさそうだ。……人魚スタイルのヒーローとかうけたりするかな?
ともあれ、海底都市だって移動出来るかどうかは別として要塞化はするからね。だから迎撃能力はしっかりと用意するに決まっている。
ただ水中戦仕様の装備だからね。銛とか魚雷とか機雷とかを使う感じかな? 後は水系の魔法で水流を操作するとか。他の属性魔法はなぁ……使えるとしたら闇ぐらいかな。あ、でも火系というか熱を操作して熱湯にするってのもありかもね。
「思いつきのロマン話かと思えば、結構しっかりと考えているんだな」
「少しも考えていなかったら口にしませんって。それに、男子の皆でワイワイと案を出し合っていますからね」
なのでこの話も、結構具体的なビジョンだけは出来ていたりする。うん、ビジョンだけは。
「残念なのは、どう考えても大掛かり過ぎて全く素材が足らないんですよね」
「それはそうだろうなぁ」
水圧に耐える事が出来るだけの壁を作るとなるとね……。素材パワーや結界術で壁を強固なものにしたとしてもだ。その壁が破られないなんて保証はない。となると、何重にも防御壁を作る必要がある訳で。
「2重3重って考えていくと、それはもう恐ろしい程の素材が必要になるわけでして」
「天文学的な数字になりそうだな」
モンスターや敵の侵入を阻止するのは当然だけど、海水の侵入も防がないといけないからね。そう考えると、防壁1枚なんてのはとてもじゃないけど安心が出来ない。
とは言え、鈴木さんと語っているように何重にも防壁を用意するとなるとソレはソレで問題があるワケで。
「だから現在はこの案も〝構想だけ〟という状態ですね」
他にも色々とクリアしなきゃいけない問題があるからね? 食物を育てるための擬似的な太陽が必要だとか、空気や水の循環だとか。これらを全て魔力で行おうと思うと、魔力もまたとんでもない量が必要になってしまうんだよね。
「なんというか、ある意味では安心したと言えば良いのか? そんなモノまで作れるようになったらまた世間が騒ぐからなぁ」
「技術だけで言うなら出来なくは無いはずなんですけどね」
「……その時点で色々とアウトだな」
不可能と可能だけどやれないでは全く話が違うからね。ただまぁ、不可能だとしても可能になるようにするつもりはあるけども。
「あ、ちなみに鈴木さんは移動要塞を作るとして、足はどっちが良いと思います? キャタピラ型か多脚型かなんですけど、男子の意見がバラバラでして、たまに荒れるんですよね」
「そんな事で荒れるのか……何方でも良いんじゃないか?」
「一応ですが、どちらにもメリットがありますから」
キャタピラ型ならどんな悪路でも一定のスピードを維持が出来るとか。
多脚型はその名の通りで脚だから、悪路どころか道じゃない場所でも進むことが出来る。ただその代わりにスピードがイマイチ。
ただどちらも安定性は抜群なんだよね。なので、この話は其処からスピードをとるのか、さらなる安定性をとるのか的な内容なんだけど。
「何方かというと、男子達ってもはや趣味の領域で殴り合っているんですよね」
「ミリオタならキャタピラ。虫オタなら多脚とかか?」
「そんな感じです」
一定以上の安定性が確保出来るならば、後はもう見た目で決めてもいいじゃない! 的なノリなんだよね。そしてそうなると、どちらの陣営も引くに引けない状態だったりするわけで……。
「ちなみにこの話をエリカさん達にしたら、おもいっきり引かれました。例外は雪さんかなぁ……彼女は多脚推しだそうです」
「普通は引くと思うぞ。それに、父親になる奴らも言葉で殴り合っているんだろう? そうなるとなぁ」
これだから男子は……的な視線が突き刺さるのも仕方がない。なんて言われるのも当然だろう? なんて鈴木さんが言う。確かに雪さん以外はそんな感じの態度だったかなぁ。
ただ、引かれはしたものの、それでも桔梗さんなんかは「キャタピラ一択ではないかしら? 逃げる選択肢が必要になった場合には少しでもスピードがある方がいいと思うのだけど?」と答えてくれたりしている。
その答えを聞いた雪さんが桔梗さんに突撃しそうになっていたりしたのは……別の話という事で。
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