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ぽこっとするのは島だけじゃない

 新しい離島をぽこっと生み出したことで、世界の情勢は随分と変わった。

 落ち着いた地域も有れば、そうでない地域もある。ただコレばかりはどうしようもない話だし、俺たちが〝選んだ場所に離島を創り出している〟という事さえバレなければオールオッケー。現状だと、島の発生は〝自然現象〟というのが世界の共通認識だしね。

 なので、表向き世界はとても平和です……海中の事とかから視線を逸らせば。




 さて、そんな〝生み出された〟という繋がりなんだけど、島でもちょっとした事件が起きた。

 と言うのも、島の設定を皆が本土へ戻った頃に変更したという話を1度、クラスメイトやその親達に伝えた。そう……1度だけだ。そして、人って忙しいと1度しか言われていない、それも随分と前の話ともなるとどうなるだろう。そんな話を覚えている人は居るだろうか? うん、大半の人が忘れていると思う。事実、俺自身がすっかり忘れてしまっていたから。

 そう……そうなんだ。皆が皆、頭の中からすっぽりと抜け落ちていた。

 いや、親達側なら別に問題は無いのだが、クラスメイト達はね……ほら、島にいる間にさとても仲が好くなった男女も居るわけで。


「……ヤレば出来る」

「彼は随分と大変な目を見るでしょうね……」


 まさに、やれば出来るだね。

 きっと島での2年間ほどの間、全く生命の誕生というのが兆候すら無かったから安心していたのだろう。そして、説明は受けていたというのに、先程も言ったように忙しさとか家族の事とかで頭が埋め尽くされていたんだろうね。……まぁ、それでもヤルことはヤッていたって事なんだけど。

 そしてその結果がご懐妊のご報告という訳だ。


「それも、1人や2人じゃないんだよなぁ。あいつら猿じゃん」


 普段男子チャットとかで「ハーレムがー!」とか、俺に「ソレ系の人形は作れないの?」なんて言っていた奴らが、なんとなんとって話なんだよなぁ。うん、七海さんが言うように、彼らには〝お猿さん〟の称号を与えるべきじゃないかな。


「そして、一番苦労するであろう彼に至ってはねぇ」


 絶対正義マンだったクラスメイトだが、どうやら彼も〝父親〟になるらしい。……それも複数の。うん、現在男子チャットでは「もげろ」コールで溢れている。

 まぁ、複数だからね? そりゃ、色々な人から反感を買う訳で。いや、クラスメイト達の方はまだ良いんだけどね? 何せ彼自身も頑張ってリーダーとして皆を引っ張っていた訳だから。ただ、相手の親御さんとかが……ね。

 何せ、彼のパートナー達はある意味で島の被害が小さかった人達だからね。仕方が無くとか、ソレ以外に道が無いなんて娘達じゃないんだよなぁ。


「ブラスミさんの所とか、姫ちゃんの所は逆に両方の親がプッシュして居るんだよね」

「彼らの場合は他に相手が居ないもの。むしろ、下手に他の相手を用意でもしようものなら、用意された人の首が飛びかねないわ」


 随分と丸くなったんだけどね? バーサーカー娘も姫ちゃんも。だけどそれは、バーサーカー娘にはブラスミさんとか、姫ちゃんにはずっとついて来ていた男子が居るからこそな訳で。

 他の人なんて信用ならん! というのが彼女達の本音だからなぁ。共闘した事がある俺ですら、バーサーカー娘には今だに警戒されているし。


 ただ、そんなブラスミさんや姫ちゃんの所では、全くその手の話は出てこないんだよね。当然と言えば当然なんだろうけど。


「島の2年間である程度平穏に過ごせていた人達ほどって感じだよね」

「島を管理する側の意見として、人口が増えるのはありがたい話なんだけどね」

「彼らの親からしてみれば、とても穏やかな心でいられるような話ではないわよね」

「……例外は居る」

「ブラスミ達のところは、逆に早く孫をつくれって尻を叩いてるじゃん」


 彼らの両親も、最初は色々と思う所があったみたいなんだけどね。でも、ある日を境に吹っ切れてしまった。

 色々と熟考したのだろう。きっと眠れない日々を過ごしていたんじゃないかな? でも、そこで気がついたらしいんだ。「あ、このままだと孫の顔が見れない」とか、そんな事を。

 でもその思いついた考えは正しい。だって彼女達を支えきれる人なんて、まず居ないから。それなら実績のある、今側に居るブラスミさん達に押し付けてしまうのが吉だ。


 そして、ブラスミさん達男子側のご両親はと言うと。


「陰キャな上に趣味人だから彼女なんて作れる訳がない。それなら、この話は実にありがたい」


 なんて、ブラスミさん達の前で言い切ったそうだ。……実に子供の事をよく知っていると言うか、思いっきり棘をブスブスと刺してくるような事を言うというか。

 実際、ブラスミさん達は少しの間、枕を涙で濡らしたとかなんだとか。


 ともあれ、そんなお膳立てがあっても手を出さないのがブラスミさん達らしいと言うべきだろうか。


「彼女達の精神的な面も考えると手は出せないと思うわよ?」

「だからこそ、ぬくぬくとしていた人の方が早いのはある意味で当然じゃん」


 程よい生命の危機と同時に、ある程度安全に過ごせる場所がある。コレにより、種を残そうとする本能が働く。そしてそんな状況下で、丁度良いパートナーとなれる相手が側に居る。

 そりゃ、そういう関係になるのも必然で……そこに加えて、最初に言っていた〝心の油断〟があった訳だ。どうせ出来ないから何ていうね。


「しかしこれは、おめでとうと言って良いのかどうなのか……」

「おめでたいんだけど、彼らの両親の事を考えるとねぇ」


 俺たちのおめでとうは、先程言ったように人口が増えるという島の管理者側の目線でしかない。いや、勿論だけどともに生き抜いてきた〝仲間〟に対する祝福の気持ちもあるけどね? でも、比率で言えば……げふんげふん。


「これは、どう配慮したら良いか悩ましいじゃん」

「私達の親に相談するのが良いかもしれないわね」


 ソレしか無いかなぁ。


 ともあれ、こんな事になったんだ。だから今一度、アナウンスをシステムさんにして貰おうかな。まぁ、状況は既に知れ渡っているから、以前と違うってのは既に皆理解していると思うけど。

 それでも、やはりダメ押しって事で、念の為に通知をして貰うのが良いと思う。うん、これ以降に同じ事が起きた場合は、本人達も理解した上でって話になるからね。言い訳はさせないよって流れを作ることが出来る。


「「出来ないと思っていた!」なんて言っている人も居るものね」

「ま、島で生活している以上は逃げる場所がないじゃん。だからどのみち、責任をしっかりと果たすしかないな!」


 他人事だからこうして話をしていられるけど、これが当事者だったら頭に血が回らないレベルなんだろうなぁ。

 男子チャットでも「どうしよう!?」なんてチャットが何度も飛んで来ているし。いやいや、そこは相手やその家族と一緒にしっかり話し合ってくださいって話なんだけどね。


「まぁでも、島の攻略時じゃないだけ良かったわよね」

「当時は島の機能に避妊とかそういう設定があるなんて思わなかったからなぁ……だというのに、何を考えていたのやら」


 いや、考えるよりも本能が勝ったんだろうな。彼らの場合は男女共に。

 ともあれ、俺としてはエールを送るぐらいしか出来ない。あ、いやまて、出来ることは有るな! 安全なベビー用品を作るという事が。


 よしここは、生産職仲間に話をして必要になりそうな物を作るとするか。……とりわけ〝おしめ〟とか〝ベビー服〟は早々に用意しておいた良いが良いかもね。

 あ、ブラスミさんや木工職人さんにはベビーベッドとかベビーカーをお願いしようか。うん、これなら必需品だしお祝いの品にもなるかな。

ブックマークに評価ありがとうございます!( *・ω・)*_ _))ペコリン

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