来たよ(*´ω`*)
島民全員のレベリングが結構捗っている。
最初のメンバーとも言えるクラスメイト達は最終フィールドである神殿へと足を踏み入れ、第2陣であるクラスメイトの家族や知り合い達はストーンサークルフィールドの1つや2つをクリア。これならば、もう護衛もモニタールームによるフォローも必要無くなるだろう。
やはり攻略方法が分かっていると実に素晴らしいペースだね。……いい訳をさせてもらうのであれば、俺達の時は未知であったのと同時に、生活環境を整えるのも必要だったからね。だからその分、時間がかかっても当然だと言いたい。
あ、因みにだけど。俺達の本拠地とも言える離島に来た時には、皆が皆驚いていた。それと同時に「こんな場所を拠点にしていたのなら、そりゃ俺達と出会うことがないのも当然か」と納得していた。うん、全員が同じタイミングで頷くのは中々面白い光景だったかな。
ともあれ、これで皆のレベリングはゴールが見えてきた。……そう感じ始めた頃。今まで忙しかったと思われるシステムさんがその姿を見せた。
「おっまたせー! よくやく準備ができたわよv(*´ω`*)vブイブイ」
などと言って、実に愉快だと言わんばかりの笑顔を浮かべるシステムさん。
女子達は「久しぶり」などと言いながら、システムさんと楽しげに挨拶をしているのだけど……俺は聞き漏らしてないぞ? システムさんは何やら準備が出来たと言っていたのを。
しかしだ……そもそも、何かをしているのは知っていたが、その内容は何も聞かされていない。なので、準備が出来たと言われても、はて? 何のことだろうとしか思えない。
俺はシステムさんを訝しんで見ていた。そして、それに気がついたのは雪さん。
「……怪しい?」
「怪しいと言うより、言葉が足らなかったからね。なんのこっちゃって話なんだけど……なんか騒いでるからなぁ」
やれ美味しいお菓子がとか、可愛い服がなどなど、女子トークに大輪の花を咲かせる勢いで黄色い声が飛び交う。
なので、俺がシステムさんに疑問をぶつけるタイミングが無いんだよ。そしてその結果、こんな表情と目つきになっているってだけ。
「てか、皆は前からあんな感じでシステムさんと話しているの?」
「……ん。夜中に突然現れる」
どうやら夜の女子トークの時、偶に現れて会話に混ざっていくらしい。そしてその度、謎の知識を増やしていったり披露していったりと……まぁ、実に楽しくやっているようだ。
最近は現れなかったが、一番最後に現れた時などの会話は〝一度本土に戻った時の話〟がメインだったらしい。ただ、その内容自体は薄暗いモノとかではなく、本土で今流行っているモノなどの話だったとか。
「……服装・食べ物・ゲーム。そんな話題がメイン」
「今と大差なかったって事か」
「……ん。今は島に持ち込んで流行っているモノ」
なるほどね。確かに今の島は本土から連れて来た人達の手によって、一気に文化的なモノなどが飛躍したからね。
勿論そこには、生産職に就いた人達が沢山居るからこそなんだけど。何せモンスター素材を使って、地球のモノを再現……いや、島に合うように改造しているからね。
だから、どこかのメーカー品のような見た目の靴とかでも、島で戦闘に使える靴になっていたりするんだよね。コートとかも、防刃・防弾・防魔法仕様になっていたりるするし。
元々は俺達がその手の物を作っては居たんだけどね? でも、こうデザイン性とかが格段に上がっているんだよなぁ。うんまぁ、俺達の場合は使えたらソレでオッケーな部分もあったしね。それに、デザインを極める前に攻略を優先していたし。
技術屋が増え、それと時間や精神的余裕が出来たからこそ、デザイン方面にも力を入れられるようになったといった感じかな。
「以前に雪さんが作ったキャラワッペンとでも言えばいいのかな? それは俺達専用の紋みたいな感じに思われているけどね」
「……ん。可愛いシンボル」
それぞれのアイテムポーチには、今でもそれぞれのワッペンがその存在感を醸し出している。
「てか、未だに俺のは狼なんだね」
「……ちょこっと変更してる」
確かにそれぞれの特徴に合わせて変化はしている。
俺の場合だと、ポーションを咥えている機械的な狼になっていたりとか、雪さんの場合はウサギはウサギでも白と黒の2羽になっていたりとか。
「……エリカは桜の光る花吹雪。七海は弓を構えるイルカ。桔梗は博士帽とモノクルの猫」
「随分と拘ってるよね」
「……時間が前よりあるから」
そして何故かそのワッペンが、島において公式の物になって居るんだよね。
こう、俺が出しているポーションとかには、その絵が瓶に貼り付けられていたりとかね。雪さんの場合は、彼女の召喚精霊が身につけている物に描かれていて、一目で敵じゃないと分かるようにしているとか。
他の3人の場合は……まぁ、表で使われる事は殆ど無いけど。それでも、部屋の入り口とか彼女の家族の家などでは使われているみたい。
あ、桔梗さんの場合は趣味で作っている皿とかに描いていたりするみたい。さすが土魔法メインとでも言えばいいのかな? そんな趣味があったなんてね。
とまぁそんな感じで、俺達の中でもデザインとかも拘る様になり始めているって事だね。
「システムさんも気になるって事か」
「……見た目が一気に変われば当然」
着ている服とかも全く違うからね。島攻略前は制服か、それとも戦闘用の装備かって感じだったし。あぁ、一応は制服以外にも服はあったけど……貫頭衣より少しマシって程度だったしなぁ。そりゃ、ここまで一気に色々と着ている物の種類が増えたらね。
「……子供服も一品物みたいに感じてる」
「あー、異世界の方はよくある異世界っぽい感じだって言ってたっけ」
となれば、あちらで売られている服は基本的に古着という事になるんだろうな。
新品ともなれば、金持ちとかがオーダーした服って事なのだろう。後は、各ご家庭でせっせと裁縫しているといった感じか。
「別にこっちの服は一品物じゃないんだけどな」
皆が着ている物は全て量産品。オーダーメイドなんて頼むような身分でもないしね。
ただ、それだからこそ、システムさんはこちらの技術に興味津々なのかもしれないね。
「てか、あの会話はいつまで続くんだ?」
「……長い時は夜が来ない」
あぁ……朝まで延々と会話をしているって事か。
それって大丈夫なのか? とも思わなくないが、きっと大丈夫なんだろうね。最悪は、エリカさんの回復魔法や俺のポーションがあるから。……誤魔化しと言うか棚上げでしかないんだけど。その誤魔化しをした日の夜は、全員そろって熟睡モードになっていたりしそうだ。
と、ちょっと待て。となるとだよ? この会話は下手をすればまだまだ続くって事なのか? 俺はいったい何時まで待てば良いのだろうか。
そんな疑問を覚えた時。突然システムさんがグリンとこちらに顔を向けた。……ちょっとだけホラーだった。
「そうそう! 準備の事なんだけどね。離島を創るって話だけど、もう何時でも作れるから( ̄ー ̄)bグッ!」
システムさんは俺にそれだけ言って、次の瞬間には再びエリカさん達との会話に戻っていた。
いやいや、離島を創れるってのはわかったけど、それはどのタイミングで何処にって話もあるんだけど? その説明も無しに話に戻らないで貰いたいんだけど。
これ、結局はお喋りが終わるまで待てって事でいいのかな? まぁでも、もう何時でも創ってオッケーて話だし、少し待つぐらいは今までの事を考えたらどうって事でもないかもね。
「……ん。明日には話が出来る」
それは早くてなのか、それとも遅くてなのかで随分と意味が変わる言葉なんだけどね? いったい俺はドレぐらい待たされるのだろう。
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