こっそりと状況を聞いてみた
鈴木さんが外交官の真似事をしている間にも、こちらはこちらでせっせとレベリングや生産活動に精を出している。
だが、やはりどんな会話をしているのか気になるもので、レベリングや生産活動の合間にちょくちょく監視ルームからアルへと送らて来る報告を耳にしている。
「ふーむ。という事は、お土産作戦は大成功と」
「そのようですね。やはり魚と米もお土産にしたのが良かったのかもしれません」
そうなんだよね。あの船との戦闘の時に現れた魚型のモンスター達がドロップした食材なんだけど、姫ちゃんに鑑定して貰ったら食べる事が出来るって判明したんだ。
だから、その魚の身とかを醤油とかで漬けにしたり燻製マグロにしたりして鈴木さんに持って行って貰ったんだ。ほっかほかなご飯と一緒に。
島特産のとんでも米にモンスターマグロ、そして其処へ島の米から作った清酒。この誘惑に耐えられるやつっている? って話だよね。
そしてその後は離島にはない……と言うか、地球上には無い果物をデザートに出す。これほどのアピールがあるだろうか? いや無い!
「モンスターカツオもたたきにして持っていったんだっけ」
「はい。島民だけでは消費できない量をゲットしましたから」
アイテムチェストに入れておけば、別に腐るとかを気にせず保存出来るからね。消費出来ないって事はないんだけど……まぁ、今後も魚を捕る人が出てくるだろうからね。だから、ここで一気に消費してしまっても構わない。てか、無いなら俺達が捕りに行くし。
ともあれ、鈴木さんによるファーストアタックは大成功と言っても良いだろう。
後、さり気なく喫煙をする人にはこちらで用意したタバコをと考えていたんだけど、どうやら彼らの中には喫煙者は居なかったんだって。ま、特殊部隊だからなのかな? きっと身体の管理が厳しいんだろうね。なので、お酒も最初はほんのちょっぴりしか口にしなかったとか。
ただ、酒の効果を鈴木さんが説明したら目の色が変わったそうで……。
「薬酒みたいなモノだと説明されてからは、1人が実験体になったんだっけ」
「そのようですね」
なら大丈夫か! となって皆が飲みだすなんて事はしなかったらしい。ただ、これまでの信頼関係とかもあるみたいで、酒の情報が嘘とは考えなかったみたいなんだけど……ま、そうやって確かめるのは職業病というやつらしい。
因みに、タバコに関しても随分と驚かれたんだけどね。ただ、元から吸う人が居なかった為に誰も試さなかったって感じかなぁ。一応こっちもヒーリング効果があるから、吸わない人でも便利では有るんだけどね。
とは言え、俺も手を出したいなんて思わないからね。だから、自衛隊の人に是非に! と勧めるつもりは無い。それに、そちらを勧めるぐらいなら普通のポーションを進めるかな。
ポーションも色々と用意してあるからね。グミ型とか飴型とかゼリー型とかカプセル型とか。当然通常のドリンク型もあるけど。
一応、それぞれ違いはある。即効性があるとか、リジェネ効果みたいな感じでじわじわと回復するとか。後、ドリンク型の液状タイプなら、普通に傷口に浴びせるという手もあったりする。ゼリー型とかでも、傷口に乗っけて包帯を巻くっていう手段もあったりするけどね。
そんな訳で、回復手段だけで見たら色々と取り揃えているんだよね。なので別段、タバコに拘る必要が無いって事。ただ、有ると便利ってやつだね。
「畠山氏などはかなり頭を抱えていたようです」
「そらそうだろうね。だってドレを取っても世界を一新してしまうレベルの物だし」
食材だけなら其処まででは無いかもしれないけどさ。でも、前にも言ったようにタバコやポーションなどは話が別だからね。
あぁ、そうそう。一応だけどポーションもサンプルとして自衛隊の人達に渡して貰っている。……一応、離島の宝箱から出たりするけどね? でも、今回はその宝箱から出る物を作ることだって出来ますよってアピールでも有る。
勿論だけど、彼らがソレらの品を現状では公に出来ないと分かってのアピールだ。少しずつでも先に色々と教えておいた方が良いからね。何せ公開する情報はまだまだ沢山あるのだから。
「で、彼らは作れる事に対して何か言ってた?」
「いえ。直接は何も。ただ、後で彼らだけで集まった際に「生産型のジョブもあるのか?」という会話はしていたようです」
ま、当然だけどその可能性を考えはするよね。だって今の彼らではどう頑張っても作れない物だし。
彼らも色々と生産が出来るのかどうかを試していたみたいだからね。そして、その全てが残念な結果に終わっている。ま、ジョブが無いから仕方がない話なんだけど。
そしてだからこそ、こうしてポーションを手土産に持ってきた。それも、他に自分達で作ったのだろうと思われる品物と一緒にとなれば、当然その考えに辿り着く。
ただまだ、生産型のジョブに就くことが出来るなんて事は公言しないけどね。何せ俺達の強みは生産が出来る事だから。
そう簡単に、こちらの強力なカードを渡す訳には行かない。まだまだ利用価値が有ると理解して貰わないと。
でもその分、畠山さんのストレスはマッハだろうなぁ……。離島にいる間はポーションを使って貰っても良いんだけど、本土に帰った後はどうするんだろうか。こっそり錠剤やカプセルタイプのポーションを渡しておくべきか?
あ、それならお酒って手もあるか。こちらのお酒はポーションの代わりになるのも沢山用意してあるしね。……全くポーションとして使えないのも作っては有るけど。
「後、畠山氏は米がドレだけ収穫できるのか? などの質問もして来ていたようです。そしてまた、本土でも生産出来るのかとも」
「本土での生産かぁ……それは現状だと厳しそうだよね。何せあっちは土や水に魔力が含まれていないし。異世界と融合したらまた話は別だけど」
「ですね。なので当分は島や離島で作る分しか無いのですが」
「そうなると、市場に流すのが難しいと」
これはブランド米として高く売れるのでは? それも数量限定になるからかなりの高額になりそうだ。
ん? そうなると、思ったんだけど島の水をペットボトルに入れて売るってだけでも高額になるかも。何せ魔力が含まれている分、色々な効果がある水になるし。味だって美味しい。
あぁ、そうなると塩も可能性があるか。あ、でも塩は水や米と違って量産しやすいから、其処まで高くはならないかもね。ただ、味と効果は保証出来る。
「これは、塩をメインに量産するべきかも」
「思うのですが、円を稼いでどうするおつもりで?」
あ、そういえばどうやってお金を使おう? 正直、島にいる以上はお金って必要じゃないからなぁ。何をするにしても、魔石がお金の代わりになるし。
となると……お金の使い道。うん、税金を払うとかその程度? ぶっちゃけ、現状だと本土から輸入したい物が有るわけでもないし。なんなら、自分たちで作れるし。
病院も必要なければ、車とか家電製品も必要無いからなぁ。あ、でもサンプルとして手に入れるのは有りか。リバースエンジニアリングだっけ? 解体して、その後に魔力で動かせるようにするとか、島の素材で作れるかどうかを試してみるとか。何かを買うにしても、ソレぐらいにしかお金の使い道が現状だと思い浮かばない。
うーん……これはちょっと皆でお話し合いをした方が良いかもしれないね。離島を沢山作って開放していった後、島に円だけでなく外貨がどんどん溜まっていく可能性があるからね。
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