閑話・クラスメイトの現状その3(クラスメイト以外も居るよ)
前の話の内容が内容なので、お口直しと言う訳ではないですが連続投稿です。
はぁ……なんてこった。そう頭を抱えるも、現状は何も良い状況へと変化する事は無い。
だからという訳では無いが、兎に角行動を起こす必要がある。
「食料もその場しのぎ、ガキ共は最初こそ五月蠅かったが今では静かというか協力的か」
「もう! ガキとか言ってあげないでください。こういう時こそお互い協力しないと!」
むん! と胸の前で両手の拳を握りながら俺へ話しかけて来るのは、仕事上の相棒と言える奴だ。
因みに、俺は修学旅行のバスを運転していた鈴木。一応、いい年齢のおっさんで嫁さん探し中だった。
そして俺の目の前にいるのが、添乗員もしくはバスガイドの山田君だ。ちなみに女性で見た目から20台前半だと思われる。思われると言うのは、この子は彼氏持ちだから仕事以外の事は話をしないようにしていた。だから年齢も聞いていなかったりする。余計なトラブルは避けたいからな。
「とは言え、君も色々と頭が痛いだろう? 彼氏に連絡はついたのかね?」
「もう! 鈴木さんそれってセクハラですよ! セ・ク・ハ・ラ! 言動には注意してくださいね!!」
「はぁ……この状況下でセクハラも糞もないだろう……寝床は青空の下、トイレも風呂も無いと来た。そんな環境で共同生活をしてもう何日目だ?」
「そうですねぇ……えっと、そろそろ一週間とちょっとと言った感じでしょうか」
「だろう? 一応は海水を煮沸して水を作っているから、その水で体を拭いているが……それでも間に合っていない。体臭もちょっときつくなってきている」
「鈴木さん……体臭を気にする人だったんですね」
「当たり前だろうが!! 人様をバスと言う密室で沢山運んでいるんだぞ!! 気にするなとかありえない話だろう!」
とは言え、もはや客商売も何もない。
大自然の中で生きるか死ぬかのサバイバルをやっているんだ。こんな事で職業的な倫理を語ったとしても意味など無い。
くそぅ……普段の調子で声を出してしまった。こんなことをしたら余計体力が奪われるというのに。
食事も碌な物が無いのだから、下手にエネルギーは消費したくない。まぁ、ガキ達も同じ思考なのだろうな。だからこそ口数が少なくなったのだと思うが。
しっかし、そんなガキ共も作業は黙々とこなしている。
本当に、初日辺りのいい加減さは何処へ行ったのやら……ただ、全く救助が来ない事で色々と考えてしまったのかもしれない。
最初の内は「なんで俺がヤシの実なんて採らないといけないんだよ!」とか言っていたのにな。今では、黙々と石を投げてヤシの実を落としているのが見える。
男子は男子で、俺と一緒になって木を切り倒している。
というのも、本当に何時この状況から抜け出せるか分からないから、雨風がしのげる場所を作ろうという話になった。
ただ、下手に動くのも何が起こるか分からないので、それならこうして集まっている場所にセーフハウスを作ろう! という事になったんだが……。
「材料は良い感じに揃っているけど、木を切るのってこんなにも大変だったんだな……」
「チェンソーが欲しいっす……」
「無い物ねだりだ。今は石の斧でがんばれ」
コーンコーンと、木を叩く音を響かせながら俺達は必死になって木を切り倒そうとしてる。
因みに、最初の内は倒す方向を間違え、あわや! という状況に陥った。いやはや、木が人のいる方向へと倒れて来るとはな……。
ただ、其処からはしっかりと考えて木を叩いている。
「くぅ……腕がパンパンだぁ……」
「普段使わない筋肉が……悲鳴をあげていくぅ」
「インテリの僕が何でこんなことを……何故木を樵るなんて野蛮な真似をしないといけないんだ……」
「生きる為だ。今はインドアだのアウトドアだの関係無しに、全員が強制アウトドアなんだから文句で口を動かす前に手を動かせ」
とは言え、奴の腕はかなり細く……女子か? と思えてしまう白さ。
当然だが、木に与えているダメージもほぼ無いと言っても良いのだが……やらせない訳にはいかない。彼の武器である頭脳も、現状はまだまだ役に立たないからな。
「お前の頭脳も、猟師的な方向にも枝が伸びて居たらなぁ……お前どっちかというと量子的な方向だしな」
「全然……上手く……ない……ぞ……ぜーはーぜーはー」
「あらら、もう息切れをしているじゃないか」
正直可哀そうになってくるのだが、これは皆で決めた事だからどうしようもない。
男子は木を、女子は食料調達を。満場一致に近い多数決で決まった内容だ。とは言え……何度も倒れかけているのを見ると、食料調達に回るか? と聞いてやりたくなる。
いや、実際には何度か声を掛けようとし、彼に視線を向けたのだが……彼自身が否定しているんだよなぁ。
目線で訴えて来るんだよ……「これは全員で決めた事だから、僕のプライドを傷つけないでくれ!」って。……作業効率を考えたらプライドなんて捨ててくれた方がと思わなくもないけどな。
とは言え、妥協できる範囲でもあるから、そこは彼の気持ちを尊重している。……まぁ、今はという言葉が付くけど。
「山田君、皆に水を持ってきてくれるか? そろそろ休憩を挟んだ方が良い」
「そうですね! ついでにタオルとかいります?」
「いや、それは勿体ないからやめておこう。なるべく洗い物に使う水は減らしたい」
ここに来てから洗い物をしたのは……考えるのを止めよう。今までの生活と比べてしまう事になってしまい、鬱まっしぐらになりかねない。
しかし、俺達以外にもこの地に来ているのだろうか? そして、俺達以外の人は無事なのだろうか。
それに俺達が居なくなった事で、会社や学校はどういった扱いになっているだろう。もし戻る事が出来たとしても、其処に居場所はありませんなんて事になっている可能性も高い。
「はぁ……」
「鈴木さんため息ですか? ため息を吐くと幸せが逃げますよ」
「山田ぁ……幸せって何処にあるんだろうな? 既に俺の幸せは空高く逃げてしまった気がするんだが」
そう言えば童話に青い鳥の話があったな。
あれは確か、子供達が青い鳥を探しに行くが結局見つけられず家に帰ったんだったっけ。で、帰ってみれば家に居た鳥が青い鳥に変化した。
幸せは自宅にあったんだ! って話だったけど、確かその続きがあって、その青い鳥がパタパタと羽ばたいて空へと飛んで行ってしまうなんて落ち。
あぁ、今まさにそんな気分だよ。
俺の幸せは日々バスで人を運ぶ事だった。
仕事が終わった後に「楽しかったです!」とか「ありがとうございました!」と、笑顔を見る瞬間が俺にとって最高の報酬だった……と言うのは、バスの運転をするようになった時に思った事。
でも今では……そんな日々にも慣れ、少々飽きていた。
変わらない日常、仕事に行っては帰宅して、映画でも見ながら酒を飲みつつ寝る。誰しもが送るような一日。
「はぁ、本当に人と言うのは愚かな生き物だという事だな」
「鈴木さん何を黄昏ているんです? 休憩がそろそろ終わりますよ」
「あー、何といいえばいいのかね。簡単に言うと失ったモノを再確認していた。っと、休憩終了の時間か。さて、ならさっさと木を大量に集めてログハウスなりなんなりを作るとしようか」
「意気込みだけは良いですよねぇ……でも、全く丸太の数足りてませんよ?」
「……折角やる気を出したのに、出鼻をくじく様な事は言わんでくれ」
まったく、山田君はいつも余計な一言を言う。
どれだけ過去を望んだところで、今この状況である以上は今を生きるしかない。
なので目下の目標としては休める場所を作る事。とは言え、この人数が休める場所に必要な丸太の数ってどんなもんだ?
俺に山田君。ガキ達が男子6人女子4人か。だから合わせて12人この場に居る事になる。
12人が使えるログハウス? だめだ、全く完成のイメージが出来ない。しかも、男女分ける事も考えないといけないだろう。
下手に部屋を一緒にしてしまうと色々と問題が起きてしまう。それはもう、アオハルなガキ共がいるからな。
兎に角、これはもう無の境地で木を切って行くしかなさそうだ。一体どれだけ時間が掛かるかは……考えない事にしよう。
ブックマークや評価、感謝いたします!! 執筆の励みになっておりまする!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
という事で、胸糞を前回入れたので今回はまともな人達を。
ここで少し情報整理。
クラスメイトは総数40名。そこに先生と運転手と添乗員を合わせた43名が修学旅行のバスに乗っていました。
そして、景たちが男子1人に女子4人。このバスの運ちゃん達の所にクラスメイト達が、男子6人に女子4人。
そして、閑話に出てきましたが、他にもグループが2つありますが、最初の閑話で出たグループが男子3人で女子が5人。そして、残っている男子の人数は10人で女子が7人と、この人数が大事件を起こしているグループの人数かな。もしかしたら、もう1グループぐらいあるかもしれませんが。
そして、更に言うと其処から男子1人と女子1人がその内逃亡を開始する事になる訳ですが……まぁ、その話は少し先のお話でしょうか。とりあえず風呂敷を広げておきますね的な感じです。
現状4つのグループが確認されているという訳ですね。
そして、景達は人数的に少ない……が、恐らくジョブなどは現状一番先を突っ走っているでしょう。
と言った感じで、閑話はとりあえず終了。次から2章突入です。




