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合体したスライムを見て、即興で作戦会議

 ポヨンポヨヨンなんてカワイイものなんかではない。ズシンズシンと音を立てながら飛び跳ねる合体したスライム達。

 合体したことで巨体になったから、確かに的としては大きくなった。動きもまた、軽快なものから鈍重といえるものになったので、先ず攻撃が外れるなんてことはないと思う。

 とは言え、その代わりと言ってなんだけど、スライムの攻撃力と防御力は跳ね上がっているはず。というか、そうでないと合体する意味がない。


「しっかし動きは鈍重になったけどさ、大きくなっているから時間単位での移動距離は変わらないんだよなぁ」

「素早く数回飛び跳ねるか、1回でその数回分を跳ねるかの違いだよね」


 もしかしたら合体後の方が少し移動距離が伸びている可能性もあるけどね。だから、決して合体後のスライムの足が遅いと言うことはない。

 いや待てよ。よく考えたら、ヤツは今までと違ってこちらの攻撃を回避する必要が殆ど無くなったのだから、最短距離で突き進んでくることも可能だよな。

 となると、スライムが俺達の場所に到達する為の時間ってもっと短縮されるのでは?


 あ、これはアレだ。このまま防衛戦をするのは俺達にとって不利になりかねない戦い方だ。


 ならどうする? 奴らは1歩1歩がデカい。だからこそ、小さい時と同等以上の速度が出せる。しかしソレは……うんそうだ。小回りがきかないという事でもあるよね。それなら……。


「錬金人形達に乗馬して、機動戦を仕掛けるのが正解かな?」

「常にスライム達の横を取る動きをするという事かしら」

「横を取るというより、飛び跳ねた先に居ないようにするかな。別に奴らが横や後ろに飛び跳ねる事が出来ないって訳じゃないだろうし」


 奴らが飛び跳ねてしまえば、後は着地まで一方的に攻撃を仕掛けることが可能だ。だからこそ、常に動き続ける必要がある。

 ただ問題があるとすれば、合体して残ったスライムの数だよね。機動戦を仕掛けたとしても奴らが全員バラバラで動いてしまったら、俺達が攻撃を仕掛ける隙なんて無いのではないだろうか。


 上手くスライムたちが飛び跳ねるタイミングを合わせるしか無い。でもそれは難易度がとても高い。

 わざと隙をみせ、相手が飛びかかってくるのを誘い、移動する先もしっかりと計算する。そのためには、常に距離を考えて行動しないといけない訳で……。


「これって夏目さんや冬川さんって出来る?」

「え? なんとなくだけど普通に出来そうじゃん」

「……ん。ちゅんめなら出来る」


 感覚派と精霊任せ!? なんだろう。ものすごく不安が残るんだけど。

 いやまぁ、夏目さんが持つ天性の感性は確かに凄いし、精霊に至っては野生の勘? でいいのかな。それが鋭いのはよく分かっているけどさ。

 本来ならしっかりと目測でもいいから自分と相手の距離を測り、相手の移動距離とその時間も計算しながらやるべき事なんだけど……。あ、後は味方が何処に居るのかとかも考えないとか。


「かなり高難易度な事を言っていると思うのだけど?」

「それを秋山さんは普通に出来るでしょ」

「確かに出来ないこともないけど……かなり頭が痛くなるわよ」


 あー……確かに。計算に脳のリソースがすべて行ってしまい、攻撃に手が回らなくなってしまうかもしれないか。

 ただなぁ。ソレぐらいしないと、8体の巨大スライムに対して機動戦を仕掛けるのは厳しいモノがあると思うんだよね。


「エリカは遠くから支援ね。ヒーラーがヘイトを買ったり、最初に倒れてしまうのは大問題よ」

「了解だよ。えっと、でも4人でソレをやるのって大変じゃない?」

「1人2匹を受け持つって事になるじゃん」

「いやいや、やるのは私と望月くんのみで良いと思うのだけど? どうかしら」


 あぁ、計算しながら避ける事が可能というのを考えるとそうなるかぁ。

 むしろ夏目さんや冬川さんには高火力を叩き込むことだけを考えてもらった方が良いかな? でもそうなると……。


「1人4匹を受け持つ事になるのか」

「むしろその方が楽まであるわよ? ウォール系の魔法でスライムの動きを誘導することも可能だもの」


 秋山さんや。俺にはウォール系の魔法を使う事は出来ないんだけど? 陣魔法と初級魔法で一体どうやって対処したらいいのだろうか。いや、そもそも陣魔法は使うことすら不可能だよね。何せ溜めに使える時間が無いし。


「シールドチャージで飛んできたスライムを跳ね返す事も可能ですが?」

「あー……アル。それは最終手段って事で。合体スライムって下手に跳ね返したらアル達の体勢が崩れかねないデカさだしね」


 なのでスライムとは接触しないことが大前提。


「それなら自分たちのみで囮をしたら良いのでは?」

「デルタのそれも却下だね。もう少し君たちの計算能力を高く出来たら良かったんだけど、今のスペックだと犠牲者が出かねない」


 確かに錬金人形達の目であれば、相手との距離を正確に測る事は可能だ。

 とは言え、その先が問題。俺達や錬金人形達の位置に8体のスライムの動き。全てを観測した後に、相手の動きを全て予想しながら誘導を仕掛ける。これが出来るほどの性能はまだ無いんだ。

 もう少し俺に技術力があれば、もしくは彼らが育つだけの時間があったら話は別だったんだけどね。


「それに、錬金人形よりも生体に奴らは反応するだろうしね。だから、俺達が騎乗したほうがヘイト管理が楽なんだよ」


 スライムたちの動きだけど、間違いなく俺達に向かって動いていたからね。

 例え近くに錬金人形や精霊が居たとしても、そちらよりも俺達が優先と言った感じで。確かに攻撃を仕掛けてきた相手に対しては反撃をしてみせてはいたけど。


「でも、直ぐにヘイトが剥がれるんだよね。常に攻撃を仕掛けながら、計算しつつ回避行動を取るって更に難易度が上がるでしょ」


 それなら俺達が騎乗して役割分担をした方がいい。

 錬金人形達には回避を中心に行動してもらい、偶に攻撃を仕掛けてもらう。そして俺達は計算と指示に専念する。


 ただ、これでも上手くいくかどうか……何せ相手は8匹もいるからね。不安要素だらけだよ。


「あ! そうだ。ねぇ、思ったんだけど、あのスライム同士を衝突させるってのはどうかな? ほら、別属性同士は合体しなかったし……もしかしたら、お互いがお互いに接触出来ないなにかがあるんじゃない?」

「エリカもとんでもない提案をするわね。確かに何かあるかもしれないけど、スライム同士を衝突させるのって更に難易度が高くなるわよ」


 面白い案ではあるけど、難易度が跳ね上がるのは全面的に同意。

 何せ、俺と秋山さんで全く別々に誘導を掛ける。これは大前提だから良いとして。その別々に誘導を掛けたスライム達を、どこかのタイミングでぶつけなければいけない訳だ。

 それって4匹を2組バラバラに誘導し続けるよりもどれだけ大変なことか……何せ、誘導を掛ける際に、自分が誘導しているスライムと、秋山さんが誘導しているスライムの間に入って逃げ切らないと行けないからね。


 これ、タイミングを間違えたら大怪我なんてものでは済まされない可能性が高いんだけど……でも面白いよなぁ。


「望月くん……あなた、やろうとなんて思ってないわよね?」

「いや、面白いとは思っているってだけだよ。とは言え、リスクが高いのは理解しているから」


 行動に起こすかどうかは別だよね。ただまぁ……狙えそうなら狙ってみてもいいかな?

ブックマークに評価ありがとうございます!((。´・ω・)。´_ _))ペコリン

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