準備は出来ていますか?
準備を整えアイアンゴーレムとの再戦に挑む。
前回の撤退から、俺達はデスマーチとも言えるようなレベリングとアイテムの生産を行った。そしてその結果、レベルは皆68レベルになり装備は……。
「本来なら70レベルにしたかったのだけど思った以上にレベルの上がり方が遅かったからか、装備の方が先に完成したわね」
「……ブラスミさんがんばった」
「上位職になった! って、もの凄いテンションでリンクを使って報告してきたよね」
「顔文字やスタンプのお祭りだったじゃん」
そうなんだよね。ブラックスミスさん達がついに上位職になったんだ。だから俺は彼に素材を渡して今作れる最高の装備を頼んだ。
ただ、前回結構失敗して時間が掛かったことも有ったから、もう少し時間に余裕があると思ったんだけどね。思いの外、上級職の成功率は高かったみたい。
「上位職になったからかな? 失敗がほとんど無くて一気に作ることが出来たみたいだね」
「しかも良品質じゃなくて、全部高品質じゃん!」
高品質で揃えられた装備をミス無く作り出すことが出来たことで、レベル的には目標値にたどり着いていない。ただそれでも大丈夫じゃないかな? と思うんだよね。
というのも、高品質の装備ってのは性能が狂っている。
いや、まだまだ俺も錬金スキルレベルがカンストしていないし、ブラックスミスさんも中途半端なスキルレベルだ。だからまだ上があるのだけど……それでも、高品質な事に変わりはない訳で。
色々と試してみたんだよね。例えばだけど、高品質の盾に魔法を全力で打ち込んでみたらどうなるのか? とか、おもいっきり弓矢で射抜いてみたらどうなるのか? とか。それも、旧装備と新装備を交互に使い、それぞれの違いを比べながら。
そして分かったのは……先程言ったように性能が狂っているという事。
いやはや。まさかまさか、夏目さんが高品質の弓で放った高品質の矢が、良品質の盾に対してプリンにスプーンを挿すようなレベルで抜けていくとは……音すら無かったんだよね。
そして逆に、高品質の盾に対して良品質の弓矢による一撃はというと、傷一つ無くカーンと高い音を響かせながら弾き返した。
ね? どう考えても狂った性能でしょ。
まさかここまでの差があるなんて……これが素材の性能を100%引出した武器なのかと。
しかもだ。同じことをまた言うんだけど、俺とブラックスミスさんはスキルレベルがカンストしていない。という事は、まだまだ付加などの追加効果を加えるなどといったモノが控えている。
ブラックスミスさんが言っていた話なんだけど、彼は「今渡したのは高品質装備の基本で、ここからスキルが育てば、鋭さや強度などを魔力で追加させられる」らしい。
ゲームによくある数値的な例えを出すなら〈ATK70+5・耐久度50〉とかこんな感じになるのかな。もしくは〈ATK70・耐久度50+10〉とか。
ともあれ、今渡された武器はそのプラスの部分がない感じのものらしい。なので、まだまだ強くなる伸びしろが残っている。
「正直に言うと、今までって上級職になって確かに火力が大幅に上がったけど、この程度かな? って感じていた部分もあったんだよね」
「……武器の適正も大切」
「上級職には上級職用の武器が必要だという事ね」
前にも武器の大切さは感じていたはずなんだけどなぁ。ただ、今回の火力や防御力アップは再度驚くレベルだった訳で。
しかし、考えるとなるほどと思う。基本職であれば低品質の装備が適正で、中級職なら普通、上級職で高品質を。その装備をしっかりと揃える事で、職の能力も武器の能力も十全に発揮出来るということなんだろうね。
そりゃ、良品質なんて中途半端な品質では上級職としての能力も発揮されていない訳だよ。だからこそ、アイアンゴーレムに対して火力不足が目立ったんだろうね。
「後はモンスター相手にどれだけ威力が出るかだけど」
「とりあえずゴーレムで試すじゃん」
動かない盾相手に色々と試したけど、やっぱりモンスター相手だと違いが出て来る。盾と違ってモンスターなら動くし、魔力や筋肉の操作で思わぬガードをしてきたりするからね。……ゴーレムに筋肉は無いけども。
「てか、バースト召喚がどうなるかが楽しみだよね。……ちょっと怖いけど」
「杖が強化されたから、召喚される精霊達のスペックも大幅に上がっているのよね」
「うわぁ……って事は、あの時の大怪獣戦闘が更に激しくなるじゃん!」
「……問題はタイミング」
「そっか! そう言えばアイアンゴーレムって変身するもんね」
どのタイミングでどの精霊を召喚するのか。これは戦術的にかなり悩ましい話。
最初にスタートダッシュするなら前回と同じで、ちゅめらをバースト召喚し一気に押さえつけるのが良いと思う。でも、ちゅめらの時間制限が来てしまえば相手が一気に盛り返してしまう。しかもアーマーパージをして身軽になった状態で。
なら、そのアーマーパージをした後に足の早い精霊をバースト召喚したら良いのか? と言うと、こちらはこちらで一度も試していないから分からない事だらけ。しかもアーマーパージ後のアイアンゴーレムは攻撃力とスピード重視だからね……バースト召喚された精霊でも1撃に耐えられるのかが心配だ。
「風の精霊なちゅん吉は厳しそうかな? 飛んでいるといっても洞窟内だから制限があるし、ちゅん吉って防御力は低いから」
「素早さ勝負になりそうだよね。ただ、あのアイアンゴーレムって洞窟内の壁や天井を蹴りながら移動してたよね」
「本当にゴーレムなのかしらと疑いたくなる動きよね」
忍者みたいな動きをするゴーレム相手に制限された空間での空中戦。どう考えてもちゅん吉の方が不利な環境だ。
となると、同じく土属性なちゅー太か、それともうさぎ達にバースト召喚して貰うべきか。
「あ、それなら〝はちゅ〟か〝ちゅりお〟はどうかな?」
春野さんが言った〝はちゅ〟は雷の精霊であるハクビシンっぽいやつの事で、〝ちゅりお〟は氷の精霊であるクリオネっぽいやつ。
こいつらもこいつらで防御力は低そうなんだけど、どちらも火力が異常に高いのは間違いない。ただ、ゴーレム相手に雷? 確かにアイアンゴーレムだから電気は通りそうな気もしなくはないけど。
「……ちゅりおで鈍らせる?」
洞窟内でおもいっきり冷凍ブレスをぶちかます。なんだろう、自分達にもダメージが入りそうな気がするんだけど。
「そこは大丈夫ではないかしら? ほら、私達のインナーも変わったもの」
「そうそう! ミノムゥさん製の糸と布で作ってあるからね!」
そう言えばそうだった。こっちも革職人の人に頑張ってもらったんだっけ。
革職人の人だけど、俺達の思惑通りに裁縫スキルをゲットしていたんだよね。で、こちらが先に渡しておいた糸と布を使ってせっせとシャツ・下着・靴下などなどを作ってくれた。
まだまだ作るものはいっぱい有るらしいけど、とりあえずそれらを全員分1セットずつ。なので、耐熱・防寒装備としては最低限揃ったといっても良い。
「確かにこれなら自滅は無いかな」
「だね! だから、ちゅりおをバースト召喚しても大丈夫だと思うよ」
それなら召喚する精霊を前回とはまるっと変更しても良いかもしれない。いやまぁ、最初の戦闘ではちゅめらを出す必要がある気もするけど、それはそれで。
アーマーパージ後のアイアンゴーレム相手には火力で押せ押せで良いかもしれないね。
それに、状態異常で相手の動きを封じる事ができれば、なおよし! だよね。そうなればもっと上手く戦えるんじゃないかな。
ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ
此処から先、補足や余談が嫌な人は読み飛ばしてください。
雷獣とクリオネの名前がこっそりと決まっていたようです。えぇ、他の子が活躍していましたからね。出番がなかった結果、ここまで引っ張ってしまった状態に(´・ω・`)
とは言え、裏ではこっそりと雪ちゃんのマフラーになったりはしていたようです。え? クリオネ? そちらは……まぁ、目の保養でしょうか。偶に空を漂っていたとかなんだとか。




