ファーストアタックとその結果は……
俺達は1体のゴーレムを討伐するのにかなりの時間が必要だったけど、倒せないというわけではない。なので、経験値的な効率は度外視でゴーレム狩りを続行した。
なんでかって? そんなのゴーレムのコアを手に入れるためかな。
とはいえ、どうやらモンスターや島はそこまで優しいというものでは無いらしい。
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ゴーレムのコア(破損)
特徴:壊れてるよ
直ぐに錬金人形を作れると思った? ねぇ、思った? 残念! コアは破損してます(´∀`*)ウフフ
でも当然だよね。雑魚狩りをして直ぐに1体の錬金人形が作れるとか、そんなの破格すぎるでしょう? 世の中そんなに甘くないってことで!! だから頑張って破損したコアを集めて修復してね(^_-)-☆
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……シィスゥテェムゥゥゥゥ!! いや、言いたいことは分かるけど、でもそんな言い方をしなくても良いじゃないか。
すぅはぁすぅはぁ……とりあえず一旦気分を深呼吸で落ち着かせてから、まずは情報の整理を。
説明文を見るに、コアには品質という概念が書かれていない。これは破損しているからなのか、そもそも最初からそういった物が無いからなのか。そういえば、石碑ボスのコアも品質については書かれていなかったような気がする。
もしかしたらだけど、こういった特殊な素材は品質とかレアリティとかとは別物なのだろうか。それにコアの修復を行ったら品質も表記されるかもしれないしね。
次に考えるのはその破損について。
多分だけど、パーツを集めたら錬金術で修復できるんじゃないかな? とは思っている。とは言え、この文章を見て分かるように、いくつ集めろなんてのは書かれていない。なので一体どれだけのゴーレムを狩って、どれだけの破損したコアを集めたら良いのか分からない。
「コアもなぁ……ボスと違って必ずドロップするという訳じゃないみたいだし」
「えっと、今の所は半分ぐらいの確率でドロップしてはいると思うのだけど」
そうなんだよなぁ。2体に1個のペースではドロップしていると思う。なのでレアドロという訳ではないと思うんだ。
ただ、レアドロという訳では無いという事は、それ相応の数が完成品を作るために必要なのでは? と思うんだよね。
「レベリングも同時にって考えなかったら心が折れるかもじゃん」
「……大変」
「私はそう思わないんだけどなぁ」
さすが春野さん。彼女はアイテムを収集するのに苦労なんて全く気にしないという事かな。
「レベルは……まだ上がらない感じかしら」
「倒した数も今の所は7体だからね……ただ1体倒すのに20分以上かかってるからなぁ」
7体倒しただけで、140分近く掛かってるんだよね。だから2時間以上だよ? 結構やばくないと思う。ただ、経験値効率自体そこまで悪くはないと思うんだけど……てか、そう思いたい。
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疲労困憊といった感じで俺達は拠点へと帰宅。
結局レベルが上がったのは、9体目のゴーレムを討伐した時だった。さて、1体から確保出来る経験値は高いのか低いのか……これで低かったら泣くぞ。
『ま、レベルが高くなればそんなもんだろ』
『そうですね。一気に上るほうがおかしな話です』
脳内で悪魔と天使がそんな会話をしている。うん、ソレぐらい分かってるって。ただ、倒すのに時間が掛かったからね。あまり洞窟内の探索も出来ていないんだ。
まぁ救いだったのは、ゴーレム達が1体ずつ出てきたってことかな? もし2体を同時に相手取る事になったらと思うと……怪我をしたりもっと時間がかかっていた可能性もあるから。
「後は新装備の調子も問題なさそうだし、これを春野さん用に変更して……あー爆発物の固定ダメだけど、爆破範囲はこのままでダメージ量だけ上げるとか出来ないかなぁ」
『さ、流石にそれは厳しいと思うぜ』
『高望みしすぎですよ……』
やっぱりそうかなぁ? 素材を上手く合わせれば出来るような気もするんだけどね。品質も高品質で確保出来るようになったわけだし。
あ、そうそう。品質についてだけど、やっぱりと言えば良いのかな? どうやらジョブのランクによって回収出来る質が変わるでいい気がする。
初級のジョブだったら最低から低品質。中級なら普通前後。上位になれば高品質。そんな感じじゃないかな。
だからなのか、実は食材も色々とアップグレードされている訳で……。
「……調理楽しい?」
「うん楽しいよ。でも雪は……皿を洗うとか物を並べるぐらいにしてね?」
「……むぅ」
なんて楽しげな会話が台所から聞こえてくる。いや、若干1名は少々不服そうだが。
それにしても冬川さんを見ていると思うが、よくネットで見たことが有るネタなんだけど。苦手を通り越して✗✗な料理を作る人ほど台所に立ちたがるというのは事実だったのだろうか。まさに冬川さんがソレなんだよなぁ。
向上心があるなら良いけども、何故かオリジナルレシピを試したがるというかなんというか……。いや、その手に持っている砂糖は今必要無いから置いておこうね?
ただまぁ、新しいフィールドのアタックで疲労した気分を解すには、丁度良いと言ってはアレだけども、なんだかほっこりするような普段の会話ではあるかな。
そんな会話を耳にしながら、とりあえずもっと効率よくゴーレムを狩る方法はないだろうか? と作戦を考えてみる。
勿論1人ではなく、火力担当である夏目さんや秋山さんと一緒に。
彼女達は「ゴーレムの弱点がアレば良いのだけど」とか、「もっと相手の動きを制限したら良いじゃん」と会話が弾む。
うーん。なんというかこういう光景も最近では日常になっているなぁ。
「望月くん? 他の事を考えていないかしら?」
「む。私らがこうして頭を捻っているのに、1人だけご飯のことでも考えてたのか!? 視線があっちにも飛んでるじゃん!!」
「あー……ちょっとだけ気にはなったかな? ほら、冬川さんが砂糖を持ったり塩を抱えたりしてるから」
「げ……それは何を仕出かすつもりか気になるじゃん」
全員の視線を浴びた冬川さんだが、無表情のままだけど何やら照れて? いるのか、砂糖と塩をそっと調味料置きへと戻した。
あれか? 俺達の視線を受け居た堪れなくなったとかそういう事だろうか。
「私が雪を回収してくる。このままだと落ち着いて作戦会議が出来ないじゃん」
そんな事を言いながら冬川さんの元へと向かった夏目さん。
ただまぁ、新しいフィールドと難易度にアタックしたというのに、なんともマッタリとした時間だなぁと思う。良くも悪くも、随分と島に慣れたということだろうか。
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