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女子生徒達の冒険2~女子C(桔梗)の視点~

 私達が望月君の話を信じて……いや、私は半分だけ信用したけど半分は疑っている。

 もしかしたら、邪魔者として追いやられたのでは? とか、そんな魔法みたいな事などあるのかしら? と考えていたから。

 でもそうでしょう? 普通に考えれば、そんな馬鹿みたいなことあるなんて言えないもの。ただ、確かにこの場所は変な植生をしているのだし、私達がこの地へと来た時の事を考えるのが半分信じている理由かな。

 と言っても、私はその事は他の三人には言っていない。なんの確証も無い事を言って、皆を不安にさせたり変な考えで思考をロックして欲しくないから。



 しかし、そんな考えをしている私は、確かにソレの存在を確認してしまった。


「へぇ……これが石碑かぁ。確かにスマホぐらいを入れる事が出来るスペースがあるね」

「ねぇ、これ本当にスマホを入れても大丈夫かな?」

「……形は完璧」


 私以外の三人が石碑について色々と会話をしている。

 ただ、私はその会話に参加せず、石碑に書かれている文字を確認していた。


「これは〝耳〟ね。こっちが〝与〟かしら。確かに彼がくれた情報通りね」


 私はぶつぶつと呟きながらも、望月君に貰った紙を見ながら、情報の確認をして行く。

 読み取りにくい文字を触れてみたり、他にも何か書かれていないか確認してみたりするけど、やはり望月君がくれた情報以上の事は何もないみたいで。


「よく彼はこの石碑にスマホを入れようと思ったわね……」


 こんな少ない情報でよくもまぁチャレンジ出来たものだ。私だったら絶対にそんな真似なんてできない。

 もしこのスペースにスマホを入れて、スマホが壊れてしまったらどうしよう? と考えてしまう。だって、何時救助が来るか分からないじゃない。例えば、直ぐに救助が来たとして、そんな状況でスマホが壊れているなんてとても不便じゃない。

 確かに、こんな場所に救助が来るのかと言われたら……たぶん無理なんだろうけど。でもそれは、今だからこそわかる話。もし、私が望月君と同じタイミングで石碑を見つけていたら、私は救助が来ることをまだ信じていたのではないだろうか。


 そう考えると、彼は思った以上に行動力がある人なのかもしれない。……あんなに人を避けるのにね。




 ――誰からやる?


 誰も口にはしていないけど、今この場の空気は皆が皆その事を思っているのだと思う。

 スマホを壊したくないのか、それとも何か変化するのが怖いのか。私達は最初の一歩が踏み出せずにいた。


 約一名を除いて。


 そう。私達は全く気が付いていなかったのだけど、同じ〝誰からやる?〟でも、雪だけは少し違ったみたい。ううん……違う、よく雪を見ればわかった事。ただ、私達はお互い踏み出せない自分と葛藤していて全く周りを見ていなかった。


 雪だけは、うずうずとした感じで、今すぐにでも突撃したい! と言うオーラを発揮していた。ただ、それは私が目をそらしていたというか、やりたいと思っている人が居るなんて認識したくなかったんだけど。

 でも、雪はちょっと私達と違ったみたいで……。


 私達が一向に動きを見せない事に痺れを切らしたのか、雪はカッ! と目を見開いたかと思うと。


「……時間の無駄。私が行く」


 何時もより力強い言葉で宣言したかと思うと、彼女は自らが持つスマホを石碑のスペースへスッと突っ込んだ。

 そして雪がスマホを石碑にはめた瞬間『ピーーーー! 登録を確認しました。お使いのデバイスはアップグレードされます』とスマホから音声が流れた。


 ビクッ!? と、萎縮してしまう私達。ただ、雪は飄々とした様子でジーと石碑を眺めている。


「ゆ、雪ってこういう時全く動じないよね」

「私はちょっとびっくりしちゃったよ」

「神経が太いというか、怖いもの知らずというか……ただ、そんな雪だからこそ頼りになるんだけどね」


 口数は少なく何を考えているのか分からない子。

 それが周りから見た雪の印象。でも、そんな雪は私達からしてみれば、理解出来ないなんて事は無いし、妹みたいで可愛い存在。

 ただ、偶に私達から見ても不思議な行動をしたりするし、人が一歩引くようなタイミングで前へと出る頼もしさを持っていたりする。これが余計に彼女の印象を決定づけている行動なんだけどね。


 そして、そんな雪と雪のスマホが嵌っている石碑を後ろから眺めていると、彼女はスマホの様子を見た後に石碑からそのスマホを取り出し……。


「……アップグレードが終わった」


 そう告げて、私達と一緒にそのスマホを確認し始めた。


「へぇ……アプリがいくつか入ってるみたいだね」

「こっちがステータス、こっちがマップアプリかぁ……お? こっちは連絡を取れるアプリみたいだよ!」

「連絡が取りあえるアプリは良いわね。こっちに来てから電波が無いから連絡を取り合う事って全くできなかったし、もしかしたら他の子達とも連絡が繋がるんじゃない?」

「……ステータスが肝心」


 あ、確かに雪の言う通りステータスのチェックは重要だ。

 もし連絡を取り合えるアプリが使えるとしても、それはこのアップグレードをしない限り他の人とは全く出来ないと思う。……電波が通じないしね。

 ただ、電波の無い状況でどうやって連絡のやり取りをするのだろう? という疑問はあるのだけど、それは気にする事を止めよう。使えるモノを使っていく。それでいいじゃない。


「ステータスってジョブとかそういったものかな?」

「HPとかMPなんて表示もあったりして」

「……とりあえずタップする」


 見れば一目瞭然だ! と、雪がステータスアプリをタップした。

 すると、『ピロン! ステータスソフトの起動を認証しました。これより所持者のスキャンを行います』という音声が流れる。

 SFなどの映画とかである光がスマホから出て、その光が雪の頭から足の先を往復し、『ピッピッ』とスマホから出てくる音が如何にも映画っぽい。


 私達はその様子を、手に汗握る思いで眺めた。


 何が起きているのだろうか? スキャンするとは言っていたけど……本当にスキャンなのだろうか? でもこれ、途中で止めたり横から乱入するのはダメだよね。と、そんな事を考えながら、私達に出来る事は見守る事だけ。


 というより! なんでスマホが宙を浮いているの!? どういった原理なの!? 魔法なの? SFなの? どっちなの!! と、無性に叫びたくなったけど、私はぐっとお腹に力を入れて我慢した。


 どれぐらい時間がたっただろう? 見守るしかなかったから、一秒が凄く長く感じてしまった。

 ただ、雪だけは飄々とした顔……いや、無表情と言える顔でただ全身に光を浴びていたんだけどね。



 『ピーーー。スキャン終了しました。デバイスを手に取り確認してください』と言う音声と共に、スマホから発射されていたスキャン光は消え、スマホもまた雪の手の中へと移動し収まった。

 

 雪はそんなスマホを抱えながら私達の傍まで寄って来たので、雪と一緒にスマホを確認してみる。


――――――――――

ジョブを選択してください。

――――――――――


 スマホにはデカデカとそんな表記がされていた。


「ジョブ……彼の言った通りに選択出来るみたいね」

「一体どんなジョブが有るんだろう」

「……オンリーワンが良い」

「オンリーワンは良いけど、出来れば連携出来るモノにしてね? 雪は何というか、特殊なモノを選びそうだし」

「……任せて」


 エリカが雪に対して釘を刺した。

 ただ、あんまり意味など無いんだろうなぁと思う。だって雪は割と我が道を行く系な子だし。

 雪自身が「これだ!」と思ったモノは絶対に譲らないから。……ま、私が上手くフォローできれば良いかな。雪は雪のやらせたいようにした方が成果がでるからね。


 とりあえず、雪が先陣を切った事でスマホは間違いなくアップグレードする事が分かった。なら、私達もさっさとアップグレードをして拠点に戻るべきなんだと思う。


「日が落ちる前に拠点に戻らないとだから、さっさと全員終わらせちゃおう」


 そう皆に声を掛けると、私はスマホを石碑の隙間へと入れる事にした。

ブクマに評価などなど、本当にありがとうございます_(_^_)_ぺこり



女子第三弾。と、前の話に続いてとなりました。

まぁ、石碑を使うのが今回の目的ですからね。


他の女子よりも彼女は少し疑ってモノを見ています。と言うのも、自分の仲間であるエリカ・七海・雪を守る為なのですが……ただその分、彼女は自分の考えを確証が持てるまで口にしないので、割と悩みを抱えがちなタイプ。



今は彼女達の口調や性格が、彼女達らしさが出て居なかったりします。

それは彼女達が逃げて来たことを考えれば当たり前でしょう。その内、そんな重圧と言うか傷から解放されて、彼女達らしさが現れるようになるでしょう。(若干一名、既に特徴が出ていますが)

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