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燻製肉の結果と必要経験値

 朝も早くからガサゴソと人の動く気配がする。

 ただ、それが何かなど見る必要などない。何故ならそれを見なくても誰が何をしているかが分かっているからだ。


 俺は黙々と作業をした。集めた石を錬金術でレンガにして行く。

 そんな俺の背後で女子達はちらりと此方を一瞥した後、何も言わずに四人そろって森の方へと進んで行った。


「行ったか」


 昨日俺が渡した情報を基に行動を開始したのだろう。そう理解すると同時に、久々に脳内では二体の何者かが争いを始めた。


『ケケケ! よかったじゃねーか。これで切り捨てずに利用する事が出来る』

『そのような事を思ってはなりません。人は有害です! これで彼女達も〝力〟を手にするのですから、後は放置でも良いでしょう』


 ん? やっぱり黒と白の意見は普通に考えて逆じゃないだろうか。いや、利用するという点では黒が言っている事は真っ黒なのだけども……。


 ぶんぶんと首を振りながらそんな脳内の争いを外へと追いやり、俺は俺自身がやるべき事をこなしていく。


 今日やるべき事は燻製肉の確認と、石レンガを使った壁作りと、レベリングだろう。

 ただ、レベリングに使うのはウサギのままでも良いのだろうか? という疑問はある。何故なら次のレベルアップに必要な数が問題だ。

 現状だと6羽で4レベル。そして、2レベルになるのに1羽、3レベルになるのに2羽、4レベルになるのに3羽必要だったと言う事になる。

 次に必要なのは何羽だろうか? 予測としては4羽か、もしくは5羽か、はたまた6羽か。そのまま4羽ならまだ良いけど、5羽や6羽の計算式なら相当に面倒臭い。


 何せ、その後のレベルアップに必要となるウサギの数がとんでもない数字になって行くからだ。


 レベルが低いうちなら誤差レベルなんだけどな……これが10レベルともなる頃には、最初の方であれば9羽で良いけど、二つ目の計算式だと55羽、最後の計算式だと三桁にいってしまうんだよな。何せ、今までレベルアップに必要だっただろうウサギの数を全て足し算していくのだから。


 ただ、これは5レベルになる際に答えが分かるはずだ。とは言え願わくば、そんな鬼畜な計算式でないことを祈る。


「さてと……燻製肉が出来たかどうかのチェックから始めるか」


 女子が居る間は話を掛けられないよう淡々と石レンガを作っていた訳だけども、既に彼女達は出発した。だから、俺は隙だらけの状態になっても問題など無い。

 さぁ、美味しく出来上がったかどうかのチェックをしようじゃないか。



 燻製機の扉を開けて中の様子を見る。

 熱気がブワッと外へ排出されたが、それを浴びる真似はしない様に立ち位置は気を付けている。


「ふむふむ、しっかりとスモークはされているみたいだ」


 見た目は上々と言った感じだろうか。念の為に鑑定も掛けて見ておく。


――――――――――――――――――

 ウサギの燻製(最低品質)


 燻製されたウサギの肉。燻製された事で保存も可能になった。

 香りも味も良くなっている……かも?

――――――――――――――――――


 疑問形かよ。そこは断言して欲しかったんだけどな。

 とは言え、失敗したという訳では無い事だけはわかった。しかし、残念ではあるがやはり〝最低品質〟だったようだ。

 念の為に全ての燻製に対して鑑定を掛けてみるも、やはり全てが〝最低品質〟だった。どうやら、同時に作った場合は品質にブレは無いのだろうか? まぁ、まだまだここは要検証と言った感じだろうな。


 とはいえ! これで俺は保存食を作る事が可能になった訳だ。

 肉に魚にと燻製をして行けば、当分の間は蛋白質に関して問題など無いはず。


「よーし! レベリングをやれば肉は手に入るし、食料を取らねばと頭を抱える必要は無いな」


 とは言え、それは動蛋のみの話。

 食物繊維やらビタミンやらはまた別の話なんだけど……ぶっちゃけ、ここって植物の楽園でもあるから、特に気にしなくても採取出来たりするんだよな。

 何せ、よく見るとゼンマイやら果物やらとしっかり見れば食べられる物があるのだから。……まぁ、鑑定が無いと怖くて食べられないが。


 よく似ている植物で毒性がある物って割と多いからなぁ。

 ここら辺は地球での常識が通用しない点である。……ココヤシが地球のソレと同じで本当に良かったよ。


 とは言え、錬金術師である俺にとっては毒性がある物も全て素材だ。

 管理さえ間違えなければ、採取しておくべき物でもある。そう考えると、レシピの開放が楽しみと言えるだろう。

 まぁ、レシピが解放されなくても自分で見つけ出す事も出来るんだけどな。


「さて、朝食は軽く果物を齧る程度にしておいて」


 ガブリとリンゴに似た果実を齧り付く。

 酸味と甘みが同時に口の中へ広がって……うん、美味い。瑞々しさも十分で喉も潤っていく。難点があるとすれば……。


「ペッ……っと、種が結構多いんだよなぁ。ここら辺はリンゴとは違うな」


 鑑定した結果はアッポルとなっていた。……うん、アップルじゃないのな。

 どうやらこの島特有のリンゴに似た果物なのだろう。だからだろうか、リンゴとは違って種がスイカみたいな感じで、可食部分にあったりする。実にそれが食べにくい。

 鑑定結果には、一応種が食べれないという訳では無いようなんだけど、種硬すぎるんだよね。




 そんな感じで、朝食を終えた後はレベリングを行う。多分これが今後のルーティンとなるだろう。

 そして、レベリングで最初に行く場所はと言えば! ウサギの巣穴前だ。


「おー……やっぱりウサギが一羽トラップに掛かっているかぁ」


 巣穴前のトラップは確実に一羽討伐出来るボーナスみたいなもの。

 これのお陰で、最初の一羽は時間短縮が出来る。探し回らなくても良いからな。そして、運が良ければだけど、このトラップをもう一度張って置く事で、拠点に戻る前にチェックを行えば……2羽ボーナスなんて事もあり得るのでは? と密かに期待している。


 この後は昼が過ぎるまで森の入り口付近でウサギ狩り。

 2羽目以降はウサギとの追っかけっこがメインとなるが、昨日の時点で結構なれたのか、上手く魔法を使っていってはウサギを追い詰め、サクッと石槍で突く事も出来るようになった。

 お陰で今日の狩猟結果は前日よりも多いモノとなった。


「えっと、数としては狩りだけで7羽か」


 いやいや、ちょっと狩猟数可笑しくない? と自分でも感じるところはある。

 そもそも、これだけのウサギが何処から現れているのかという問題もある訳で。いや、ファンタジーな場所なのだからポップしているんだと言われたら其れまでなのだけど。


「いや、ポップしているのだとすれば……」


 無限湧き。その可能性も大いにある訳で、そしてこのウサギの場合巣穴でポップするだろう事は確定だと思われる。

 ならば全ての巣穴を見つけてしまえば、そしてその前にトラップを仕掛ける事が出来れば? うん、簡単にレベルを上げる事が出来、なおかつ食料も確保できるのではないだろうか。

 そんな考えに少しだけウキウキとしてくる自分が居たりもする。



 ただ、残念な情報もある訳で……。


「レベルアップがなぁ……」


 そう、レベルアップの音が鳴り響いたのが5羽目だったと言う事だろうか。

 これは計算式が少し面倒なタイプだと言う事になる。……数値が分かれば一番楽なのだけど、どうやらシステムは経験値の数字も出してくれないらしい。

 なので、こうした状況で数式を導き出す必要があるんだけど。


「レベルアップに必要な数値をウサギにすれば、今のレベルアップとその前に必要だったレベルアップの数を足すといった感じかな」


 5羽という事は、3レベルになった時と4レベルになった時に必要だったウサギの数を足した数字だ。

 もしかしたら、他の計算式かもしれないが、今はそれが一番濃厚。あぁ、そう考えるとレベルを10にする為には55羽必要になってしまう。

 そう考えるとウサギを狩る以外にも、レベリングを行うには討伐するべき対象が必要になりそうだ。


 とは言え、俺が確認したのはいまのところ蜘蛛だけだしなぁ……何処かに狩りやすい対象でも居ないかな。

ブックマークに評価などなどありがとうございますです!(((o(*゜▽゜*)o)))



次辺りに女子の視点がまた。

さて、主人公の景は着々と自力を蓄えて行っていますが、それでも壁と言うモノはある訳でして……まぁ、実際こういう職業モノって、ソロではなくパーティープレイで補い合う必要がある物のハズですからね。

ただ、景のソロ脱却は何時になるのやら……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ずっと一人でブツブツ言いながら内職してるだけだから、だんだん飽きてきた 主人公の性格的に誰かとつるむなんて当分ないだろうから、ずっとこのままなのかな…
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