消毒だぁ!!
お酒を作らないと言ったな。あれは嘘だ!
とまぁ、別に飲むためのお酒は作るつもりはない。作ったのは高濃度のエタノールで、殺菌・消毒とか燃料に使われるやつ。
ただ、なんのためにエタノールを作ったのかというと、先にも言ったように飲むためでもなければ、アルコールによる殺菌や消毒の為でもない。
お酒を作らないと言ったのを撤回し、わざわざコレを作った理由なんて唯一つ。
「おー、よく燃えてるなぁ」
「もうこれだけあれば十分じゃないかなぁ……」
「……凶悪」
攻略済みのフィールドかつ周囲に燃え広がるものがない場所で、改良した焼夷筒を試しているんだけど、これがまた予想以上の成果を叩き出している。
高濃度のエタノールを作った理由なんてコレを見れば分かるだろう。そう、焼夷筒のブースト剤。燃料にするといったものなんだよね。
ただ……これはちょっと使い所や使い勝手が難しいものがある。
液体であるエタノールを混ぜ込んだためか、燃え広がる範囲が一気に拡大している。それに、なんなら焼夷筒が勝手に燃えたりもする可能性があって、使う時……それこそすぐ投げる事をしないならポーチにしまい込んでおく必要がある。
そう、直ぐに投擲をする必要があるんだ。出した瞬間から、筒の内部では既に臨界状態といった感じで、カエンタケやエタノールがスタンバイしてるんだよね。だからちょっとした温度の上昇や衝撃で燃え始めてしまう。
そんな訳で、投擲以外の選択肢がない物となってしまった。うん……だから残念な事に、グレポンでの射撃は不可能なんだ。
「威力・範囲共にかなり素晴らしい物になったんだけど、管理に関して言えばデリケートすぎるよね」
「ターゲットをロックしてから、ポーチから出す感じになるじゃん」
「これは投擲スキル持ちの望月くん以外は使えないわね」
使い勝手で言えば、女子達が言うように俺以外は使うことが出来ないだろうね。
ターゲットを狙い、アイテムポーチから焼夷筒を取り出し、そこから投擲スキルのクイックスローで直ぐに投げる。こんなガンマンの早撃ちみたいな事をしなければ、下手をしたら自分達が炎に巻かれてしまうからね。
なので使い勝手は糞がつくほど悪い仕上がり。
使い所については……まぁ、言わずもがなといった感じかなぁ。この、目の前に広がる惨事を考えれば分かると思う。
投げ込んだ筒が燃え始めると、一気に広範囲に広がった炎は瞬く間にモンスター達を飲み込んだ。そしてまた、その広がり方なんだけど……これ、結構離れた場所に投げないと割と不味い。
広がる範囲は筒を中心に円形状に広がるものだから、当然だけど投げた俺達の方へも炎は向かってくる。
従来の焼夷筒なら、割と近くでも問題なかったんだけどね……ゲーム的に言うなら、広がったとしても横1マスから2マス程度の範囲攻撃だった。だけど今回改良されたこの筒だと、横に5マスから6マスぐらいの効果が有ると思う。
だから使い所を間違えると、自滅アイテムになりかねない。うん、マップ兵器は味方に当たらないように撃ちましょうというやつだね。
さて、なんで俺がこんな馬鹿げたアイテムを、酒を作らない! と断言したのに作ったのか。それはやっぱり、昆虫には炎というイメージがあったから。
今すぐ昆虫フィールドにアタックする訳ではないけど、こういった物は先に作って色々と試しておきたいからね。
そして作ったこの改良型の焼夷筒は、予想以上の仕上がりとなったんだけど……予想以上だからこそ、この道具の今後というのは。
「封印決定かなぁ……使い勝手の悪さもだけど、これは間違いなく昆虫相手には使えないわ」
「範囲が範囲だもんね。間違いなく森を焼き払っちゃうよ」
「……むぅ。残念」
勿論、ただ封印するという訳ではない。この状態のは封印するという事。
焼夷筒の改良自体はしっかりと行っていくつもりではあるからね。ただ、このエタノールでの改良はしないという事かな。
「エタノールの量を減らすか、そもそも濃度を下げるかしないとかな」
威力をそのままに、範囲を先程いっていたマスで例えるなら、3マスぐらいに効果範囲をおさめる事が出来れば丁度いい結果になるんじゃないだろうか。
「それでも森で使うのは考えものだと思うのだけど」
「消火作業の事を考えるとね。それぐらいなら何とかなるんじゃないかって思ってる」
エタノールを使ったアイテムだから、水魔法での消火は逆に燃え広がりそうだけどね。
水で度数を希釈することは可能だけど、水と一緒に流れながら広がっちゃうから。それに、必要となる水も相当な量が必要になるし。
いや、そもそもカエンタケとか他の素材も合わせて作ってあるからなぁ……水だけで果たして消えるのだろうか?
「とりあえず、消火には窒息消火が良いかな。風魔法で酸素を送らないとか、土魔法で上から押しつぶしちゃうとか」
「それはまた大変そうな話ね」
「炎を凍らせたり出来たら良いんだけどね」
古いゲームでもないから、炎が凍るなんて現象は起こせないと思うけどね。てか、何を考えて炎を凍らせる事を出来るようにしたんだろう? 凍った炎を足場にしていたりしたみたいだけど。
あ、でもこの魔法がある世界ならワンチャン可能性はあるのかな? 凍る炎とか……ちょっと試してみたい気はする。
あ、でもそれをやるには秋山さんの土術師みたいな感じで、氷魔法に特化したジョブじゃないと無理かもしれないね。
「とりあえず。この焼夷筒はもう少し改良しておくとして、この後はこのまま基本タイプの雷獣フィールドに突撃する? 時間もまだまだあるし」
「かな。どんな場所かも見ておきたいしね!」
「偵察は必要じゃん」
そしたら、まずは何時ものように偵察を開始しますか。
基本タイプの雷獣フィールドなんて言っているけど、もしかしたらフィールドボスは雷獣じゃないかもしれないしね。現状、ただ強化タイプの雷獣と戦ったから、基本タイプも可能性として雷獣が高いだろうと考え仮定しているだけ。
なのでしっかりとした調査は必要だ。
雷獣が相手だ! といいながらも実は違う属性でしたなんてこと……白ウサギと黒ウサギのパターンがあったからね。無いとは言えないんだ。
「雪に頑張ってもらう事になるわね」
「……もふ!」
「きゅぅ!」
「ぷぅ!!」
秋山さんに声を掛けられ、勿論! と意気込む冬川さんと召喚された精霊達。
たださ……冬川さんの首に巻き付いているハクビシンと杵を掲げているマルなんだけど、君らって偵察役じゃないよね。
偵察するのはちゅー太とちゅん吉だからね? なんで君たちがやる気満々なんだろう。今すぐにでも飛び出しそうな勢いなんだけど。
ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ




