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品質の問題

 罠を仕掛けなおしてから、俺は軽く周囲の森を散策した。

 森の中にはウサギが数体居た様で、俺は魔法ではどうなるんだろうか? と、突如試したくなったので〝ファイア〟以外の魔法をウサギ相手に試してみる事にしたんだ。


 そして、その結果はと言うと、悪戦苦闘を経て4羽のウサギを二時間ぐらいでゲットする事が出来た。実に喜ばしい事だとは思うのだが……ここ一週間のウサギとの遭遇が無かったのはと思うと、むなしい気持ちも少しは有ったりする。


 そんなウサギだけども、一番良いのは〝ロック〟の魔法で頭を狙う事だろうか。

 風や水だとどうも火力が足らないみたい。スキルポイントを上げればまた違うのかもしれないが、ちょっとした水の塊や強風をぶつけたところでと言う話なのだろう。育てたら化けそうな気もするが。

 なので、純粋に火力として考えるのであれば、相手を燃やせる火か、物理ダメージが高い石をぶつけるのが現状はベストなのかも。


 そんな訳で、4羽のウサギを狩った訳だけども……。


「えっと、トラップに掛かったウサギと合わせて5羽か」


 トラップを仕掛けておけば、短時間で確定1羽確保出来る。なので、今回魔法で4羽狩る事が出来たとはいえ、トラップ狩りが不必要と言う事は無い。

 寧ろ、獲物が今回だけ遭遇しやすかったなんてパターンかもしれないし。


 とは言え、食料的にはだけど、女子の事を考えればそれでも1人につき1羽。

 正直まだまだ足らないと言うのが実情……えぇい! 早くスキルとスキルポイントを寄越せ! 何のために女子の食糧まで考えていると思っているんだ。

 ただ、女子には釣りを任せているから。あっちはあっちで確保してくれているはず。


「あ、そう言えば拠点の強化もしておかないとな」


 日はまだまだ沈んではいない。

 むしろ、罠の確認とその後の狩りにウサギの血抜きなどで、大体4時間~5時間ぐらいしか過ぎていないんだ。なら、まだやれることは沢山ある。


 それに、狩りをしている最中にレベルアップ音が携帯から鳴り響いた。それも2回だ。ただ、ステータスの確認は拠点に戻ってから行う。何故ならここは、浅いとは言え森の中だからな……何があるか分からないから、この様な場所でスマホをマップ以外の事でイジイジする訳にはいかない。


 と言う事で、あまり戻りたいとは思えない拠点へと戻る事にした。……戻りたくないって、それが拠点で良いのかって話なんだけど。




 拠点に戻ってから、俺はまずウサギの肉を錬金台の上へと積み上げた。

 そして、錬金杖を手にしてから、ウサギの肉をペシペシと叩いていく。やる事は単純だ……解体解体と念じて叩いていくだけ。


 あれ? これって錬金術の分野なのか? と疑問を覚える行動なのだけど、どうやらこの錬金術って本当にファンタジー寄りらしく、言ってしまえば〝分解〟やら〝融合〟みたいなもの基本技術として備わっているらしい。

 ただ、錬金でそれらをやった場合、結果は錬金術のレベルに比例するもので……。


 ピカッ! と、錬金台と杖とウサギの肉が発光した後、錬金台の上にはウサギの肉と、内臓と、骨がバラバラになった状態で置かれていた。

 そして、そんなパーツ分けされたウサギに鑑定を掛けてみる。


「えっと、あぁやっぱり全て〝最低品質〟になってるなぁ」


 鑑定の結果だけど、口に出した通り全てが最低品質。

 その中でもウサギの肉は食べるものだから、鑑定結果をしっかり見てみるんだけど。


――――――――――――――――――

 ウサギの肉(最低品質)

 食べる事は出来るよ。ただ最低品質と言うだけあって、味は最低限の保証しか出来ません……残念!

 美味しい肉が食べたい? なら、自分の手で解体するか、錬金術のレベルを上げてね☆

 あ、一応調理で少しはごまかせるかもー!

――――――――――――――――――


 うんまぁ、分かってた。

 味が最低限だろうと言う事も、鑑定した結果の説明文が挑発というかおちょくって来るって事も。

 だから俺は怒らない。何故ならわかっていたからだ。うん、システムの奴がこんなやつだってのも……うん。


 「はぁ……」と深くため息を一つ落として、机の上に置かれた素材達を眺める。


 まず、肉は食用だから既に用途は決まっている。

 なので、他のモノをどうするかと言う事なんだけど、骨と内臓かぁ……。


 骨は焼いて砕いて肥料にするとしても、ここらで農耕が出来るという訳でもない。だって海辺だしな。塩害が起こってそもそも育ちにくいだろう? あ、でもすぐそこに森がある事を考えると……解らん。森にでも撒くか?

 内臓はどうしようか……そう言えば、腸は色々と使い道があるんだっけ。うーむ、ウサギの内臓って食べる事が出来るのか? 心臓とかレバーは食べる事ができるかもだが。


 うん、わからんからこういう時は魚の餌にしてしまおう! 全部まとめてすり潰して団子にでもしてしまえば、魚用トラップの中に入れる良い餌になるはずだ。


「で、腸はたしか弦に出来るはず」


 ウサギの腸でも出来たかどうか覚えてないけど、確か雪山系のゲームで弓を作るのに腸を乾かして使ってた記憶がある。

 とは言え、正しい手はずなど俺が知っている訳がない……なのでここはレシピの出番だ。


「えっと何々、レシピには……腸は錬金術で膜や油を取り除いて、木灰にポーションと共に錬金鍋へいれる」


 ふむ? 何故ポーションが? いや、これだけの説明だと全く意味が解らんが、とりあえずそれで出来ると言うのであればやってみよう。

 ただ、ポーションは備蓄用にと用意しているとはいえ、怪我をした時の事を考えると此処で使うのはどうなんだ? と思わなくもない。


 てか、そう言えば女子にポーション渡してなかったな。そう言えば手足のあちこちに切り傷があったような……。


「ただなぁ。ポーションですと言って渡して、はいそうですかって受け取る訳がないよな」


 うん、きっと自前の救急セットぐらいもっているはず……って、そう言えば荷物も無しに森から出てきたっけ? あれ、そしたら傷の手当てなんて全くしてないのでは? ハッ! もしかして報酬が貰えないのは、その配慮が出来ていなかったからか!


 とりあえず、錬金術製の包帯とポーションをこっそりと置いておくとしようか。女子達が寝ていた場所においておけば、嫌でも目に付くだろうし。


 そんな訳で、俺はポーションを消毒液と偽って包帯と共に、女子達が居ない間に置き去るのだった。




「さて、そしたら次は、まずは竈を作って、その上に木箱を用意して……えっと、網はどうしよう? とりあえず吊るす方式で良いか」


 その前に、肉を燻製にする為に漬ける液が必要なんだけど……確か材料は一番簡単なので砂糖と塩と水だっけ? ま、砂糖も塩も錬金術で精製出来ているから大丈夫だ。ただ、どちらも品質としては最低限なのだけど。

 でも無いよりはマシと言うモノだし、そもそも砂糖や塩を通常の技術で作ろうと思えば、時間も労力も半端なく足らない。そう考えると、品質は落ちたとしても時間の事を考えれば錬金術さまさまだ。

 なので、とりあえずレベルを上げて……って、あぁぁぁぁぁ! そういえば、レベルが上がってるのにスキルポイント振って無かった!!


「やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ。もしかしたら、スキルポイントを2つ振っていたら少しは品質が変わった可能性もあるのに」


 いや、初級のポイント2つ程度だと大差無いと思うけど、それでももしかしたらなんて期待もあったりするわけで。


 とりあえず、俺は少し気分を落としながらも、スマホをタップしてステータス画面を開いてみた。


―――――――――――――――――――――――――――――

 ステータスだよ!

 ジョブ

 アルケミスト:Lv4


 スキル

 錬金術(初級):2

 鑑定(初級):0

 魔法(全属性・初級):0


 残りSP2


 追記

 おめでとう! 一気に4レベルになったよ。ただ……やっちゃったねぇ。まさかスキルポイントを振り忘れるなんて……( ̄m ̄〃)ぷぷっ!

 ま、安心してよ! ポイント2つ程度じゃぁ……其処までの変化は無いと思うよ?

―――――――――――――――――――――――――――――


 こ、こいつ……遂に顔文字まで使い始めやがった。煽りレベルが上がって来てやがる。

 とは言え、ふむ2つだと変化は少ないと? いやいや、システムの言う事だ。其処まで信用していいとは思えない。今までの此奴のやり口からして。


 とりあえず、振るポイントはどれにしようか? やっぱり錬金術で良いかな。

 ウサギを倒した時に使った魔法の事を考えると、魔法にも振っておきたい気はするが……特に風か水の魔法の威力があがったら、ウサギに傷をつける事無く倒せただろうし。

 いやいや、やはりここは生産力を上げる方が良いだろうか。作れるものや出来る事が増えたら……それに品質が上がるならという思いもるし。


「うん、やはり今は錬金術一択だな」


 そう考え、俺は錬金術をタップして錬金術のポイントを4にした。


――――――――――――

 錬金術(初級)

 ◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇

 技術力がちょこっとだけ上がりました。

 レシピが少し増えました。

――――――――――――


 おぉぅ……システムさんや。本当に変化無いと言い切れるんだろうな? 技術力が上がったって事は、もしかしたら少し良い品質のモノが作れるようになったんじゃないのか? それこそ、最低品質が低品質になったりとか。いや、いきなり全部が低品質になるって事は無いだろうから、最低品質に低品質が混ざる程度だろうけど。

 ただそれって、相当変化していると思うんだけど。それは俺の思い過ごしだろうか。

ブクマに評価にと本当に感謝です<(_ _)>ぺこり



品質って大切ですよね。

一応〝食用〟と言う事で、その最低品質は言え〝食べる事が出来るレベル〟であることにはしました。

食べれない、もしくは食べる事の出来ない不味さなのに〝食用〟はちょっと違うよなぁ……とw

最初の予定では、食べる事が出来ないレベルの味にしようと思ったんですけどね。流石にそれは錬金術の難易度が上がりすぎかななんて。



ポーションを混ぜる行為について。

この世界のポーションは傷を治す効果以外にも、殺菌作用やら防腐作用に似た効果があると考えて貰えれば。

傷を負ったと言う事は、その箇所によろしくない菌が入ったりしますからね……ソレらも同時になんとかなると。

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― 新着の感想 ―
なんで女達の面倒見なきゃならないの?
[一言] なぜウサギ以上の脅威が存在しないと思えた
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