帰還したよ!
あら? と思ったのは、9つ目のフィールドに突入した時。
マップ上では移動出来ると思われる出入り口が表示されており、実際にそこへ行ってみればすすめる道が見える。ただ、どうやら透明な壁に阻まれて進めないルートが存在した。
確か一番最初のフィールドでも似たような壁に遭遇したはず。
あの時は、あの蜘蛛を討伐したことで見えない壁が取っ払われたはず。ならば、もしかして似たようなモンスターが存在するのでは? と思うんだけど……。
「正直、こっちに行く理由は今のところ無いよね。どうみても岬だから進んでも行き止まりだろうし」
「何かあるかもしれないけど、優先順位は低そうだよね」
「壁の解放条件もわからないものね。他の事を進めながら気にかける程度でいいのではないかしら」
トリガーとなる何かを進めないと、どうしようもないからね。
だからまずはこのフィールドのボスを討伐して、そのまま島を一周するようにマップを埋めるのが先かな。もしかしたら、フィールドボスを討伐する事で、壁が開放されるかもしれないけどね。
それ以外にも「ん?」と思う場所を発見。おそらく出入り口なのだろうけど、明らかに一方通行かな? と思うような作りの場所。それが全体でみて2箇所ほどあった。
おそらくなので何か別の条件で行き来できるなんて可能性もあるけど……出入り口の場所が場所だからなぁ。なんかこう、向こうには戻れません! 的な感じで、あちら側から飛び降りるような形状だったんだよね。
その判明の為には向こう側からの調査が必要なんだけど、塔やストーンサークルのフィールドだろうから追々といった感じかな。
そんなちょっと引っかかる場所を発見しつつも、俺達は一気に探索を進めていったその結果……。
「祝! 外周探索完了だね!」
「拠点に戻ってきたら疲れが押し寄せてきたわね」
「疲れもだけど何だかお腹が空いてきたじゃん」
「……同意」
全体マップを見ると、綺麗に外周部分が色鮮やかなマップになっている。
俺がそんなマップを眺めていると、何やら背後からそのマップを覗き込む二人がいて……とんでもない事を言い放った。
「……ドーナッツ」
「確かに! ドーナッツみたいじゃん!」
この腹ペコ二人組はやりきったという感動を、食欲で綺麗にかき消してしまった。
なんて奴らだ。お陰でこの地図が俺にもドーナッツにしか見えなくなったじゃないか。
「とりあえず、食事の準備をするとして……えっと、地図の加工って出来たよね」
「えぇ、可能だけどどうするのかしら?」
「俺達の拠点位置を地図から削除して作ったマップを運転手チームの方に送らないと。彼らにもマップ作成は手伝って貰ったわけだしね」
「了解。私の方でやっておくわね」
「あ、あと石碑のナンバリングも変更出来るかな? 今のままだとすごく見づらい」
「確かにそうね。現状のナンバリングは突入した順番だものね」
出来るなら初期地点から時計回りにナンバリングが出来ると、ポータルを使う時も分かりやすいからね。
さて、秋山さんにマップの加工はお願いしたから、俺は俺で食事の準備をしつつマップについて少し考えてみる。
まず石碑のフィールドについて。
これは全部で16フィールドもあった。そして、その16ある内で横か縦に倍ほど長いマップが半分の8マップほど。
救いなのは、縦か横どちらかに長いだけで、どちらも倍の距離が有るという訳ではないという事かな。どちらも長かったら、探索にかかる時間が更に増えていたわけだし。
俺達が探索した石碑フィールドは全部で11。そのうち倍あったのが6。
その中で新素材を発見出来た場所は全てのフィールドでなにか有りはしたけど、目ぼしいと言えるのはその倍あった6つのフィールドかな。勿論その6つの中にチャノキやコーヒーがあったんだよね。
そして、その6つのフィールドの方がボスも多少強かったって感じかな。……まぁ、石碑のボスにしてはってだけだけど。
「しかし、そう考えると塔やストーンサークルのフィールドで倍の長さがある部分は要注意かもしれないね」
「強敵かな?」
「ストーンサークルの方だけど、フィールドボスはまだ倒してないよね? あの巨大なヤツが多分そうだと思うんだけど」
「塔は亀だったじゃんか。もしかしてアレの上位互換でも居るのか?」
亀のボスそのものが出てくるということは無いと思うけど、亀よりも厄介な敵が出てくるのではと思う。
もしかして、火とか風とか土のバージョンの亀とかでも出てくるのかな? それはそれでちょっと違うような気もするけどね。
とりあえず、そこは調査してみない事にはって感じかな。ただ強敵が出てくる可能性があるという覚悟だけはしておこう。……まぁ、流石にストーンサークルのフィールドボスみたいなヤツは出てこないと思うけどね。
「あ、魚が焦げそう」
「っと、焼き魚が炭になるところだった……」
少し考え込んでいたら、危うく調理が大変な事になる所だった。
しかしこうして料理をしていると、調理とかのスキルって欲しくなるなぁ。どこかでスキル獲得のイベントみたいなのが無いかな? それがあれば、痒い所に手が届くんだけど。あ、できれば強制取得じゃない方向で。
「あ、そう言えば今回の探索で手に入れたものの整理もしないとなぁ」
「フィールドボスの素材だっけ?」
「そそ。蜘蛛の糸にゴーレムの石材。後は熊や狼の毛皮や牙や爪だね」
「鈴木さん達と合わせると、各4回ずつ出てきたんだっけ」
フィールドボスは16マップある中で4種類のボスが4回ずつ登場した形となった。
そしてその4回だけど、小さいマップで2回、大きいマップで2回と、さり気なく各種共に上位互換が2回ずつ出てきたんだよね。お陰で少し討伐方法が違って面倒だった。
更に言うと、それはどうなんだ! と突っ込みたい出来事も有って……。
「上位互換の方が先に出てくるとか、もう訳が分からないよ」
「あはは……確かにマップの都合上なんだろうけど、そういうパターンもあったよね」
強い熊のフィールドボスを倒したと思ったら、その次のフィールドで弱い熊のボスが出たなんてことが有ったり。本当どうなの? って話。
後は、俺が島に来た頃に戦った毒蜘蛛だけど、しっかりとフィールドボスとして配置されたみたい。
ただどうやら俺が戦った相手は強い方のフィールドボスと同等レベルだったらしく、本当にシステムはやらかしていたんだね。
正直、上位互換のボスはいきなり討伐しろと言われても無理だから。……本当に、あの時に居たのが蜘蛛でまだ良かった。
他のゴーレムや狼や熊だったら、どうあがいても倒せなかったと思う。
「っと、焼きおにぎりの完成! 今日はサクッと用意出来るものだけって事でコレぐらいで良いかな」
「味噌の焼ける香りがお腹にダイレクトアタックをしてくるじゃん……」
「ほら、手を洗ってきて! 桔梗が来たらすぐに食べられるから」
「……あい」
さてと、考え事とかは一旦この辺りでやめておくとして、まずはご飯をしっかり食べて休憩でもしようかな。
まだまだ色々と考えるべきことは有るんだけど、それは色々と情報を集めないといけないしね。特に、喋るモンスターについては……何か嫌な感じがするし。
「あ、ご飯といえば牛や鶏の餌は?」
「ご飯を用意している間に雪がやってくれたよ」
「……えっへん」
「雪に調理をさせると大変になるから、餌やりを頼んだんだよなぁ……って、雪! ちゅん吉に突かせるのは反則じゃん!」
無表情でドヤる冬川さんにも慣れたなぁ。
それにしても、夏目さんの余計な一言はどうやら減ることがないみたいだね。なんでわざわざ言う必要が無いことを言うかなぁ。言わなきゃ突かれなくてもすんだだろうに。
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