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女子達の扱いと今日の予定を考える

 ぶらぶらとハンモックに揺られながら目を覚ます。しかし今日は余り寝起きが良くない。


「あぁ、そう言えばそうか。あっちに女子が居るからなぁ」


 昨日までであれば、朝が来るたびにパッと目がさえてやる気に満ち溢れていた。

 新しい物を作るぞ! と、朝から活発的に行動を起こしていたものだが……あぁ、今日はやる気が全くでない。


 人が居るというだけで、俺はこんなにも体調に変化が起きる存在だったのかと実感した。


 とは言え、それでもやる事はやるべきなので、俺は重い腰を上げ〝簡易錬金セット〟を取り出し、ゴリゴリと半分眠気をおぼえながら乳鉢の中に有る薬草を粉にしていく。

 こういった生産とは毎日の積み重ねである。それこそ、無意識でも、寝ていたとしても、同じ行動を機械の様に動いて出来るようになってこそだ。


 そんな体調で作ったら品質に問題が出るだろう? そんなものは、問題が出ない様に体へ刻み付けるだけだ。

 その間、何度も何度も産廃を出すだろうけど、それでもその内ながら作業をしながらでも高品質を作り出せるようになるはずだから。


 そんな風に考えながら生産作業をこなしていると、うん、少し遠くからちらちらと視線を感じる。

 誰からの視線かは言わずもがな。ここに居る人間なんて俺以外だと女子四人しかいないからな。だが、そんな俺の方を見る彼女達だが、俺が昨日「過度な接触はするな」と言ったからその話を守っているんだろう。


 しかし……何が気になっているのだろうか? あれか? 俺がハンモックで寝ていたからだろうか。

 女子達にはハンモックを使わせてはいなかったが、それでもしっかりと布団を作ったので渡した。まぁ、布団というか、布の袋に乾燥させた草を詰め込んだ物なんだけど。

 無いよりはマシなはずだ。そもそも現状は綿毛も羽毛も入手出来ていないからな。

 布も錬金術を使って頑張って糸とかを作ったんだぞ? 結構大変だったんだよなぁ。


「てかさ、此処まで頑張ったのに、システムは何で報酬をくれないんだ……」


 契約違反じゃないか! と思わなくも無いが、スマホに表示されているイベントクエストの場所には、現状クエスト進行中となっている。

 これはまさか、俺って騙されたのか? と思えてきてしまう。

 何時クエスト終了か明確にしていないから、実質無報酬で面倒を見ろと言う事なのでは? と邪推してしまう。


 そんな風に、色々と悶々としていたら……女子の一人が俺の方を窺いながら声を掛けて来た。


「あ、あの……おはよう。えっと、その」


 何やらびくびくとしている女子生徒だが、俺は特に〝何か〟をするつもりもない。当然その〝何か〟には返事を返す事も含まれているがな。


 とは言え……この女子の怯え具合は異常ではないか? 俺はこの女子に何か危害を与えた事などない。それは、ここに来てからだけではなく学校に居た時もだ。何せ人との関わりなんて徹底的に拒絶していたからな。ただ、男子A君が何かと接触はしてきていたが。


 ただ今は、その男子生徒Aはいいとして。


 そう、会話どころか接触すら避けていた俺が、此処まで怯えられると言うのも良く分からない話である。

 と言うか、そもそもそこまで怯えるのであれば俺に救助を求めるのも、接触して話し掛けて来るのもやらなければいいのにと思うのだが……。


「あのね……休める場所を用意してくれてありがとう。で、えっと、私達に何か手伝えることってある……かな?」

「そういえばさっきから何かやってるよね。それ、私達にも出来る事ってある?」


 手伝いとな? てか、コレは俺にしか出来ないだろうから、手伝って貰う事など無い。

 しかしこれは……どういう狙いで声を掛けて来たのだろうか。


「何か無いかな? ボク達はこの場に居て良いって言われたからそのお礼がしたいんだよ。布団も貰っちゃったしね」


 そう言いながらも、彼女達はみんな多少の違いはあれど震えている。

 全員が全員、恐怖を押し殺しながら俺へと話しかけているらしい……と言う事が窺えるのだけど。


 本当に一体何をしたんだ? 俺、夜中に寝言で全員死ねだとかどっかいけだとか言っていたのだろうか? いや、死ねなんて言うつもりはないぞ。だって、それはそれでこうして助けたのに死なれたら目覚めが悪い話だしな。

 であれば、「何処か違う場所に行って安全を確保してくれ」みたいな事でも叫んだのかね。


 此処に来た時にあれだけボロボロだったところを考えると、見捨てられたなんて思わせ、その為にびくびくと震えているとか? いやいや、そもそもの話、なんなら昨日初めましてをしたと言っても過言ではない相手だ。しかもその際、かなりいい加減に俺は女子達を扱った。

 なので見捨てるもなにも、そう考える以前の話のハズなんだよな。


 とは言え、寝言とでも考えない限りこの怯えようは良く分からない。

 夜中に女子を襲うとか、そんな真似は絶対にしないからな……そんな事をしたら、今頃女子達は俺の血が混ざった吐瀉物塗れになっていても可笑しくは無い。てか、血反吐を吐くんだから、そもそも近くによるハズが無い。


 そうだな……うん、これは触れる事は絶対にしないでおこう。

 なんだかとっても面倒な事に巻き込まれる気がする。そして、こういう時の勘は大抵当たるモノだ。


「とりあえず、やる事が無いならこれでも持って行って仕事でもしてくれ」


 そう言って渡したのは、昨日の時点で作った釣り竿。

 錬金術で作った糸を使い、木材と合わせて作り上げた簡単な竿なんだけど、結構上手くできたと自画自賛している。


「海までの安全なルートは蔦で道が分かるようになっている。そこを通れば地雷原は抜ける事が出来るから、食糧確保でもしてくれ」

「え、あ、うん。分かった。沢山獲って来るからね!」

「ついでに、海には蔦のロープが有ってそれを引き上げれば魚用のトラップがあるから、それの確認もよろしく」

「トラップだね。なるほど……そんな物も作っていたんだ」


 釣り竿を渡した後は、もう話すことなど無いと俺は手を振って女子達を追い払った。

 と言うか、海側へと俺の目の届かない範囲に追いやったんだけどな。


 ふぅ……これで、ゆっくりと生産活動をするか、ウサギ狩りをするのか、探索に行くべきかと、色々と何をするか考える事が出来る。

 どれもやりたいんだよなぁ。生産も今後の事を考えると在庫を充実させておきたいし、ウサギを狩ってレベリングしつつ食料確保もしたい、探索は蜘蛛の問題はあれど新しい素材を発見できる可能性がある。


 あ……そうか。食料ももう少し何とかしないとな。

 女子達を釣りへと送ったが、坊主の可能性だってある訳だから……となると、此処はウサギ狩りがベストだろうか? 一応だけど、ウサギはチュートリアルウサギを討伐した後に、ウサギの巣穴を発見出来るようになったんだよな。

 と言うのも、チュートリアルウサギが現れた場所から少し行った場所の木の根の間に、何やら穴が空いている場所があった。

 そして、その巣穴を遠くから眺めていたら、森の中から現れたウサギがその穴の中へと潜っていたのを確認出来た。


 なので、俺はこっそりとその穴の近くにいくつものトラップを仕掛けたんだけど……さて、トラップに引っ掛かった間抜けなウサギはいるだろうか。


 よし、今日の予定はウサギの巣穴の確認と行こうか。

 上手くいけば、食料を確保しつつレベリングが出来るハズだからな。……でも、レベルはアップするのだろうか? 一応1から2は一羽のウサギで上がったけど、ゲームの常識で言うならレベルは上がれば上がる程必要になる経験値が多くなるからな。

 とりあえず……一羽で1レベルアップだと良いけど、それが無理なら次ぐらいは二羽で上がって欲しいところだ。

ブクマに評価に誤字報告にとありがとうございます_(._.)_ペコ


……本当、俺はどうやってここからハーレムにもっていくと言うのか! と、どんどん主人公のコミュ障具合が( ゜Д゜)

人との関わりよりもレベリングだ! と言い切るからなぁ……何処かで転換期があるのですが、それはまだまだ先のお話。

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― 新着の感想 ―
なんで面倒見る気でいるの?安全地帯提供したんだから後は放置で良いんじゃない? そもそも最初に半径5メートル以内に入ってくるなって言ってるのにもう無視してるんじゃん。 ここで主人公がウサギ肉与えたらその…
[一言] え?ハーレム…するの?えー…無理でしょw
[良い点] 全体的に主人公の行動描写少ないですが話は面白いですね。 すぐにクラスメートと出会ってハーレムにならないのはいいと思いました。 [一言] 彼女たちはまだスマホを石碑に嵌めて能力を発現してい…
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