もしもし。と文字で打つ人っている?
どうやら情報提供だけならわざわざ相手の拠点に行く必要が既に無いとのこと。それもこれも、秋山さん達が前回相手の拠点へと行った時に、どうやらリンクの相互登録を行っておいたらしい。
これは何度も物々交換と情報のやり取りをし、ある程度の信頼関係を築くことが出来たから。ただ、リンクの拡張機能であるパーティー編集などの方は触れていないそうだけどね。
「こっちの拠点が割れちゃうような真似はしていないわよ」
秋山さんは拠点を徹底的に隠すつもりらしい。まぁソッチのほうが俺としてもありがたい話。
とは言え、相手もバカではないから、ある程度の位置は予想しているだろうなと思う。まぁ、運転手の所の人達なら例え場所が割れても、問題はないかなと思えるようにはなったけどね。
そして今、俺達はリンクを使って第1フィールドから行ける場所が他にも2つ有るということを、彼らにリークしたところだったりする。
「なにか返事はあった?」
「相手も戸惑っているみたいね。どうやら仲間内で話し合いをするつもりみたいよ」
「それも当然じゃん。だって第2フィールドが増えたようなものだからなぁ」
俺達も色々と頭を抱えたからね。本当……どうでもいいと思うようなことでも悩んだわけだし。まぁ、それだけ衝撃的な情報だったって事なんだよね。
ただ、フィールドの呼び方とかそういうのは今後のことも有るので、システムにクレーム……もとい改善をしてくれとお願いはしてみた。
聞いてくれるかどうかはわからないけどね。一応、スマホにお問い合わせみたいな項目があったから、〝全体マップをもう少しわかりやすくしてください〟とか、そういう要望を出しておいた。
とりあえずだけど、最悪フィールドの呼び方は第1第2と続けていくか、石1とか塔1とかそんな呼び方にしたら良いって話になったから、後は探索したフィールドで見つけた石碑次第って感じになるかな。因みに、後者の呼び方をするならストーンサークルは円1とか円2にしたら? なんて話にもなっている。
「で、望月君は私達が彼らとリンクでやり取りをしている間に色々と作ってたみたいだけど?」
「あー……ちょっと沢山鉱石とかを手に入れたからね。ほらこれ、ちょっとした道具なんだけど……」
遊び心満載で作ったんだけど、結構凶悪なものが出来上がった。……一応非殺傷道具だけどね。
何を作ったかなんだけど、塩湖で色々と手に入っちゃったからね。
勿論トロナからガラスやら重曹やらを作った。ボーキサイトを錬金してアルミニウムにしたり、鉄とニッケルとクロムを合わせてステンレス鋼を……っと、これはぶっちゃけ水属性の鉄が手に入ったら必要かどうか微妙だけど。
そして他にも色々と手に入れた素材はある訳で、その素材を使って作ったのがこの非殺傷道具。
「じゃーん。いつもの万能竹筒!」
「えっと、新しい道具なのよね? 毒とか焼夷筒とかじゃないのよね?」
「見た目は同じだけどね。実はこの中身……マグネシウムの粉です」
「……効果は?」
「マグネシウム? それの粉が入ってるとどうなるのさ」
あれ? 科学の実験とかでやらなかったっけ。こう、マグネシウムを燃やすと発光するって。そして、そんな粉を竹筒の中へ大量に仕舞い込んでいるわけなんだけど……。
「閃光手榴弾かしら? でも、それだけだと微妙なのではないかしら?」
「マグネシウムだけでも大量に燃やせば目が目が! ってなるけど、確かに竹筒に入る量ではって感じかな? ただそこは、万能な乾燥ボムベリーがあるからね」
マジでボムベリーは万能過ぎていて、焼夷筒であれば燃える威力を上げてくれるし、今回の閃光手榴弾に関しても更に眩しくなるようにと手助けしてくれている。
多分だけど、実際の閃光手榴弾よりもその発光は強力なんじゃないかな。分からんけど!
「敵対した人を制圧出来る感じかしら?」
「寧ろ空を飛ぶモンスターを叩き落とすとかじゃないかな」
「……ふるぼっこ?」
飛行中のモンスターが落ちてくるかどうかは分からないけど、モンスターの群れに囲まれた時に使うのは有りだろうね。
皆揃ってスタンなり目が眩んで動けなくなってしまえば、反撃するのも逃げるのも選択肢として生まれるから。
「後は鉄の質も上がったし、使える量も増えたからね。とりあえず鉄板と棒を作ってみた」
「やっぱり刃物とかそういうのにするのは無理そう?」
「駄目だね。ただ、これはこれで使えなくはないと思う」
ただの打撃武器としてなら普通に使えるし、鉄板を上手く仕込んで防御力の向上とかも狙えると思う。
「てことで、冬川さんにはポケットが沢山あるベストみたいなのを作ってもらっても?」
「防弾ベスト?」
「どちらかと言うと防刃ベストかなぁ。フル装備だと重くなって動きがどうしてもってのが有るから、防具ならこういう形のが良いかなと思ったんだけど」
急所だけでも守れるような感じでってのが一番いい形だと思うんだよね。
そもそも、ジョブ的にも防御力なんて期待できないパーティーだし。だから、一撃死するような攻撃を防ぐ方法と言えばって感じかな。
「前衛はゴーレムでなんとか出来なくもないものね。それなら私達は、なるべく避けるのを重視したほうが良いのも当然よね」
「動きが阻害されない形で防御力をアップするにはって感じかな」
女子達の反応は悪くないのかな。
ぶっちゃけ、小さいポケットをたくさん作り、そこに鉄板達を仕込んでいくという、防具と言えるかどうかわからない物なんだけどなぁ。
後は、本格的な武器防具が欲しければ、ソレのための職人が必要なんだけど。
「上手く交渉できそう?」
「ちょっと悩ましいわね。素材持ち込みなのは仕方ないとしても、どこで手に入れたかとかそういう話になりかねないもの」
それもそうか。鍛冶師とか革職人が居るのであれば必要な情報だからね。相手だっていつまでも供給される側ではなく、自分たちで確保できるようにしたいだろうしね。
ただ、第3フィールドにいけたとして。彼らの場合、岩塩は取れるだろうけど、鉱石とかが欲しかったら湖を渡らないといけないからね。当分の間は彼らが自ら確保するというのは無理だと思う。
俺達の場合は、あの酔いさえ耐えればポータルで飛べるからね。……耐えればだけど。
「あ、向こうから返事があったわ。どうやら第1フィールドからの派生先をアタックしてみるみたいよ」
「まぁそうなるかぁ。ただそれってどっち側に行くとかは?」
「ん? 彼らの拠点から近い方みたい。えっと、第2フィールドに行く石碑から左へと進んだ方ね」
「となると、俺達は反対側の右側をアタックするか、それとも第2フィールドから行ける場所をアタックするかが良いかな」
敢えて情報を教えたわけだしね。それならアタックするフィールドは被らないほうが良い。
「さて、皆はどっちが良いと思う? 一応、俺の考えなんだけど……」
俺としては第1フィールドからの派生先が良いと思っている。
というのも、やはりモンスターのレベルやフィールドの特性から来る難易度が気になるから。多分大丈夫だとは思うんだけど、第2フィールドから進んだ先の難易度が、第3フィールドの湖と全く同じレベルなんて可能性も有るからね。
それならまだ安全と言える第1フィールドからの派生先に行って様子を見るのが良いと思うんだ。
「そう……ね。第1フィールドからの場所なら、流石に第3フィールドクラスの敵は出ないでしょうし」
「……楽?」
「物足りない可能性があるじゃん」
「七海……物足りないで命を懸ける訳にはいかないよ」
「そ、それは分かってるじゃん! ただ、あんまりレベルが上がら無さそうだなぁって」
レベルが上がる上がらないは仕方がないと割り切るしかないかな。
ただ、レベルよりも収穫があるかもしれないんだよね。主に食材とか。しかも、レベル的に比較的楽に探索出来る状態だからね。
俺がそうぽつりと呟くと、何やら冬川さんと召喚精霊たちの目が光り輝いたように見えたけど……気のせいだよね?
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