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続・休息ターイム!

 塩水をバケツで大量に汲み、錬金鍋にて塩と水を作る。

 塩がもう無いという訳ではないが、消耗品であるのは事実。だから、今この場で大量に補給出来るのはかなり嬉しい話なんだよね。

 だって第1フィールドで補給しようと思ったら、ちょっと面倒な相手と遭遇するかもしれないしね。


 とは言え、今こうして錬金術を行使しているのは塩を作るためと言うわけではない、どちらかといえば、大量の水が必要だから。


「しっかりと流さないと、髪とかベタつくよ?」


 作った水を手に、俺は女子達へ声を掛けた。


「おー! 水じゃん。超助かる!」

「何も考えずに泳ぎ始めてしまったから、今どうしようか悩んでいたのよ……本当にタイミングが神がかってるわ」


 秋山さんが何も考えていなかったとか本当に珍しいなと思いつつ、俺は折角だからと簡易な個室を作るようにと秋山さんにお願いする。


「個室? 魔法で作ればいいのね」

「そそ、ちょっとした四角いスペースで良いから」


 お願いの内容を詳しく聞いてくることもなく、秋山さんは地面へ手を着け魔法を発動。

 まさに〝ポンッ!〟と言った具合で、一瞬の間に目の前には小さな個室が築き上げられていた。


 俺は出来た個室の内側と外側へささっと細工をし、その細工のチェックを行い出来に満足した。


「準備完了。後は自分たちで試してみて」

「あ、シャワー室だね! 水は外のタンクに入れたら良いのかな?」

「だね。ただ温水は出ないから」

「……問題ない」


 グッと親指を立ててみせる冬川さん。

 何故か精霊たちも親指を立てるようなポーズを見せている。……ちゅん吉の場合は翼なんだけどね。それ、敬礼にも見えるんだけどなぁ。



 そんなことより! 女子達にはさっさと塩水を洗い流してもらうとして。


「俺はその間に魚でも焼いておきますかね」


 釣り上げた魚を錬金術で処理をし、開きの状態にしていく。

 後はこれを焼くか干すかなんだけど、すぐに食べる分以外は干しておくとしよう。アイテムチェストにしまい込んでもいいけど、折角だからちょっと干し魚にしてみたい気もするしね。


「あーでも、みりんとか欲しくなるなぁ」


 魚のみりん干しとか甘くて美味しいからね。でも、みりんって確かアルコールだったような……。

 お酒は依存症とかがあるから絶対に作らない! と心に決めたんだけど、調味料の場合はセーフだろうか? むむむ……これは悩ましい問題だ。

 あぁでも、その前に俺はみりんの製法を知らないんだよなぁ。あれって日本が作り出したお酒だし、米を使えば作れるのかな? なんだか清酒になってしまいそうな気もするけど。


 とは言え、問題は調味料の場合に限ってオッケーとするかどうかだ。


 調味料と言い張れば、それこそ赤ワインだろうが白ワインだろうが作ってもセーフという事になってしまう。

 だってお肉は赤ワイン煮込みとか、魚や貝の白ワイン蒸しとかあるし。


「ただ、お酒なんだよねぇ……」


 調味料と言って作ったとしても、飲み物であるのもまた事実。

 誰かが誤飲してしまったりする可能性もあるし、そもそも酒だと分かって飲んでしまう人もいるかもしれない……いや、俺達の中には居ないと思いたいけど。


 この生活をしているとなぁ。戦闘とかも有るし、何処でストレスを溜めているかわからない。

 そうである以上、アルコールに飛びつく何てことも無くはない話なんだよね。……もしかしたら、何かが狂って俺が手にしてしまう可能性だって有るわけだし。


「となると、調味料でもやっぱり禁止するべきかなぁ」


 ただ、そう決めるとみりんは作れない訳で、みりんが作れないとなると美味しいみりん干しが……ぐぬぬ、これは葛藤だね。


 今はどの道、みりんの作り方なんて分からないから、ただの干し魚にするしか無いけど。



 実に残念だ。そう考えながら魚を干しつつ食べる分を火で炙っていると、女子達がシャワールームから出てきたみたい。


「さっぱりしたー!」

「ほら、雪はちゃんと髪を拭く」

「……ん」

「エリカは雪のお母さんみたいよね。そう言いながらも、雪の髪をタオルで拭いてるもの」

「しょうがないじゃない……って、雪暴れない!」

「……ボクじゃない」


 実に賑やかで楽しそうななんだけど、今そちらを見たり声をかけたりするのはアウトだ。

 あれは間違いなくトラップ。だってそうだろう? 今シャワー室から出てきたということは、現状はまだ水着姿のハズ。

 そもそも着替えてきたのなら、既に髪は乾かしているはずだしね。


 俺はモクモクと魚を炙っていくマシーンになる! なんて意気込んでいたんだけど、どうやらそういう訳には行かないらしい。


「お? お魚じゃん!」

「あ、うん。結構な量の魚が釣れたからね。どうせだから食べれるようにしようかなって」

「……刺し身は?」

「それはちょっと怖いから。もう少し色々と出来るようになってからかなぁ」


 虫を見てないから、寄生虫もいないと思いたいけど……今は怖いから生魚は却下と言うことで。


 寄生虫なんていないとは思うんだけど、もしいたらと思うとね。

 この島の寄生虫ともなれば、普通とは違う気がするから。もしかしたら、日本が一度魚を冷凍してアニサキスを殺したりしているような方法とか、通用しないかもしれないし。


 一応鑑定はしているけど、寄生虫については1文字も触れてないんだよね。

 これだと存在しているのかどうか全くわからないよ……。


「てな訳で、今回は焼き魚で我慢して。ってか、食べる前に着替えない?」

「ん? あぁ! そうだった。水着のままじゃん」

「忘れるようなことかしら? って、二人は魚に飛びついたものね……魚を見て頭から完全に抜けてしまったのよね」

「……大丈夫」

「雪……大丈夫じゃないから。ほら行くよ」


 「……大丈夫なの」と言いながら、冬川さんは春野さんと秋山さんに手を捕まれ引きずられていった。……どこかのグレイかな?


『ケケ。別に水着のままでも良かったんじゃね? 眼福ってやつだろ』

『景にはまだまだ早いです!』


 早いとか遅いとか、そういうのはどうでも良いんだけどね。


 多少は普通? に会話が出来るようになったけど、それでも一定の距離とかそういうのは大切な訳で。特に接触とかは論外だと思う。


 とは言え、これはパーソナルスペースとかそういった話になるから、人によって違いがあるのも事実だしね。


「俺のそれに上手く付き合ってくれてはいるってのは分かるんだけど」


 水着姿で無防備にしているとか、ちょっとどうなの? と思わなくもない。

 いや、一定以上の信頼関係を築くことが出来ているからと言えば、確かにそうなのかもしれないけど。


 でもそこに、俺が男ということは忘れないでもらいたいものだ。


 まぁ、実際になにかを思うとか行動するなんて事はないんだけどね。

 どちらかと言うと彼女達の今後を考えるとなぁ……気を許したからといって、他の人にも同じ様な行動をしたら痛い目をみてしまうのでは? って心配になるよ。いやまぁ、余計なお世話ってやつかもしれないけど。


『ただ無害の存在として認識されているんじゃね?』

『景は無毒ですよ?』

「いやまぁ、俺を基準にするような事にならなきゃ良いけどって話だよ」


 ただ、彼女達が俺のもとへ来たときのことを考えると、そんな事は無いと思うけど。思うけども! 今のこの状況を見るとなぁ。


「詐欺師とかは思いっきり信頼関係を築き上げてから叩き落とすし」


 寧ろ抜け出せないぐらいどっぷりと嵌った状態にしてから、この焼いた魚みたいに骨までしゃぶり尽くされる訳で。


 そう考えると、前例になるような状況は作らないほうが良いんだけど。


 信頼されているという事で喜べば良いのか、心配して頭を抱えれば良いのか、なんとも言えない感じでモヤモヤとした気分になるなぁ。

ブックマークに評価ありがとうございます!((。・ω・)。_ _))ペコリ



作者はカワハギとかフグの味醂干しが大好きです(*´ω`*)

あと一夜干もかな? 子供の頃の話ですが、親戚の家に行く時に使う高速道路のサービスエリアにお土産として置かれていたのですけど、ついつい販売されているそれらに目が言っていたのを覚えてます。

そのまま食べても美味しいし、ストーブの上にアルミホイルを敷いてその上に乗せ炙っても美味しいんですよねぇ。


あぁ、お腹が空いてくるw

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― 新着の感想 ―
[一言] 天日干しとはいうものの日陰で干さないと碌なことにならないよもっちー 虫さえ来ないなら塩と扇風機があれば美味しいのが出来ます あとお店で買う時はアバラのあと(背骨の腹部分に白い点々がある)が…
[一言] しかしお酒を作らないと酢が作れない。つまり各種タレやソース、ドレッシングにマヨネーズなんかが、ガガガ… レモンとか柚子みたいなんで代用すんのも限界があるし… 四人ならそうでもないのか? でも…
[一言] なぜか現代では酒の下位みたいなあつかいだけど みりんは昔は、高級酒だったって経緯がありますしね まあ税務署の酒税調査官付き(通称さけづき=つに点々だってこだわる人達)の結婚式でお酒は大好きで…
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