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発見!

 ()()を見つけたのは偶然だった。


 探索を開始してから3日目の事。そろそろ休息が必要かな? という事で、俺達は水場がある場所へとやって来たんだ。

 新しく発見した水場だけど、実際には川を遡った所にあるちょっと大きな池といった感じの場所なんだけど、実は水源と言うわけでもないみたい。この池にも水が流れてきているからね。

 あと、中心部なんかはちょっと水深が深そうだなぁ……と感じる池なんだけど、見た目だけなら絶景といった感じ。



 そんな池の中に、なにやらギザギザとしたモノが泳いでいた。

 その光景に、俺達は「なんだろうね?」なんて結構のんきな事を言いながら眺めていたんだ。


 実際、シャチやサメみたいな背びれが有るという訳でもなかったしね。

 距離も結構あるから、水だけ確保して水場から距離をとってしまえば大丈夫だろうなんて考えていたんだ。



 それがなぁ……。



「陸に上がってきたよ!?」

「あー……見た目がもう凶暴といった感じね。あの背中の凹凸にあの顔ときたら」

「え、何でそんな事がわかるのさ! 私には全くわかんないんだけど!」

「……美味しそう」


 思った以上の巨体だったために、女子達は結構てんぱっている様子。……若干1名はいつも通りなんだけど。うん、もうこれは慣れた。

 ただまぁ、冬川さんが美味しそうと言い出すのは分からなくもない。


 何せその巨体の姿というのが……。


「カメだな」

「カメはカメでもアレは巨大化したワニガメね。カメの中でも最強で凶暴と言っても良い存在よ。噛まれたら……お察しといった感じかしら」

「それってスッポンより不味いって事じゃん?」

「……すっぽん鍋」


 秋山さんが微妙な表情をしている。

 いやまぁ、この話の流れでスッポンじゃないのにスッポン鍋と言われたらなぁ……と理解は出来るが。


 そんな秋山さんだけど、スッポンとは全く比較にならないと夏目さんへ説明をしていたりして、俺もちょっと聞き耳を立てている。


「スッポンの〝雷が鳴るまで噛み付いて離さない〟と言うのは嘘よ。スッポンは割と簡単に離してくれるわ。ただ、噛まれたら結構痛いし出血に至る場合もあるのよ」

「嘘だったの!?」

「えぇ、残念ながらね? ただ、どうしてそうやって言われるようになったのかは知らないわ」

「食いちぎるってのも嘘だったんだ……割と本当だと思ってたよ」


 とは言え、今のっしのっしと陸に上がって歩いているのはスッポンではなく、巨大なワニガメに見えるカメな訳で……。


「ワニガメの場合だとスイカすら噛み砕くわよ?」

「それマ?」

「……強い」

「本当も本当よ。確か結構前に動画サイトに上がってたのを見たことが有るわ。因みにワニガメの最大サイズは80cmぐらいになるそうよ」


 うわぁ……そんな相手には絶対接近なんてしたくないよね。

 それに俺達が見ているカメはどう考えても80cm程度じゃない。ゴーレムほど巨大! という訳ではないけども、それでも100cmは超えているように見える。

 そんなカメの一撃を受けてしまえば……人間なんて一溜まりもないと思うんだよね。そもそも、アレが動物なハズも無いし。


 と、そうそう。まずは鑑定をしておかないと。


――――――――――――――――――

 バンカータートル


 特徴:硬いよ! 後水中では速いよ!!


 このフィールドのボスだよ! 甲羅が固くて物理攻撃は効かないものと思ったほうが良いかも! 狙うなら手足や頭だけど……すぐに隠れちゃう。

 あの甲羅は魔法も弾くから、魔法を使うならしっかりと狙うように!!


 後、接近しないと大丈夫だと思わないようにね。あれ、口からとんでもない水鉄砲を発射してくるわよ。

――――――――――――――――――


 うへぁ……これ、システムの説明だけ見たらゴーレムの上位互換じゃん。

 殻が最高の防御性能を誇っているとか……チートすぎやしないかな? あぁ、でもだからこそバンカーなのかな。

 イメージとしてはトーチカだけど、トーチカってロシア語だし、日本だと掩体壕……と、バンカーの一種に分類されているんだっけ。


 しかしなるほど。名前の通りで甲羅がシェルターの役割をしっかりと果たしている上で、顔をひょっこり出して口から射撃をしてくると。

 ガチでトーチカじゃん。がっつりと守りを固めて機関銃を撃ってくる施設みたいな感じってことでしょ。水鉄砲だから、どっちかというとレーザービームとかになるのかな。


「これ、結構しっかりと攻略方法考えないと不味いかも」

「え、そんなに?」

「うん。えっと鑑定した結果なんだけど……」


 そんな訳で、女子達にもバンカータートルの鑑定結果を説明していく。

 説明中にどんどんと顔色が悪くなるのは秋山さん。やっぱり彼女は理解力が高いよね。

 逆に獰猛? な表情になるのが夏目さん。彼女の場合は、どうやって甲羅の防御力を抜いてやろうかとでも考えているんだと思う。

 春野さんの場合はそんな夏目さんを心配そうに見ていて、冬川さんは……うん、表情は変わってないけど、微妙に口の端から涎が出ているように見えちゃうなぁ。お腹が空いてきたのかな。


「ただまぁ、一見大変そうな相手に見えるけど……タイミングが良いって言えば良いのかなぁ。そんな鬼畜な防御仕様のモンスターに丁度いい特化装備が有るよね」

「あ……グレポンや爆裂矢! そうじゃん。あれって予測だけど固定ダメって話だったじゃん!」

「そう言えばそうだったわね。でも固定という事は大ダメージを与える事も出来ないという事よね? 弱点に当てても大打撃にならない点や、前回のフィールドボスであるゴーレムの体力を考えると……」


 そうなんだよね。確実にダメージを与える事は出来るとしても、体力が異常に高ければかなり時間が掛かってしまう。

 そして秋山さんが言うように、普通の攻撃で弱点を撃ち抜けばダメージを稼げる状況でも、固定ダメであればそのボーナスダメージすら無い訳で……ソレはある意味勿体ないという話になってしまう。


 だからこそ、戦い方を考えましょう! という事なんだけど。


「爆発系は主に甲羅とかを狙う感じかな。それで、足や顔を魔法で狙うって感じが良いかも」

「私の矢はどうするん?」

「あー……矢は通常ダメと固定ダメのダブルだから、普通に弱点狙いで良いかも。出来ればヘッショを決めてもらえると良いかも」

「了解じゃん。あ、でも足は狙わなくても良いって事?」

「足は魔法でなんとか潰す感じが良いかも。下手に頭とかを狙って甲羅に当たるよりも、外れて地面で魔法が炸裂する方が良いかな」


 下手に甲羅に当たると反射してくる可能性があるからね。

 それなら安全に足を潰す形で狙ったほうが良い……と思うけど、ソレでいいよね?


「良いと思うわよ。と言うよりも、他に良い手段はないと思うわ」

「……ボクは?」

「雪は精霊達をカメの周りでちょろちょろさせるのが良いと思うわよ。なるべくこちらにヘイトが来ないようにするのがベストじゃないかしら」

「……攻撃出来ない?」

「雪自身が足元へ魔法を放てば良いのではないかしら?」

「……ん」


 精霊たちかぁ。

 もし彼らに攻撃を指示するのであれば、ちゅー太に土魔法を使わせるぐらいかな? ちゅん吉の場合は上空にいるから、下手に攻撃をさせたら全部跳ね返ってくる可能性があるし、ちゅんめは火属性だからね……そもそもの相性が悪すぎる。


「ちゅー太のみ挑発で足元へ魔法を使わせる感じかな。ちゅんめは絶対に近づけさせないほうが良いと思う」

「……相性?」

「そそ。多分水鉄砲を食らったらワンパンでダウンじゃないかなぁ」


 方針的にはこんな感じでいいと思うんだけど……出来れば初撃で一気にカメの体力を削ってしまいたいよね。

 なので初手は一体どういった攻撃をするべきだろう? 少し悩ましいかな。

ブックマークに評価ありがとうございます!ヽ(=´▽`=)ノ



カメのモンスターは動く要塞です。

どっしりと構えて、水圧ビームで敵を薙ぎ倒す……とシステムから情報をリークされている訳ですが。この情報を知ることが出来たので、景達は初見殺しを回避出来たというわけですね。システムさんやさしい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 亀の甲羅は肋骨から進化した、皮膚や鱗ではない(なので肩甲骨が肋骨の内部に移動するという意味不明な進化をしている)。 なので一般的な爬虫類と違って、背骨くねらせて歩行出来ない、そして当然骨なの…
[一言] 水流ジェット噴射で飛ぶ亀・・・ウッ、ガメラ
[一言] 火属性じゃないのか 回転ジェットで空飛んだりエネルギー吸収したり
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