探索をしながら
装備にアイテムそれに食料と水分も充実しているからと、一気に第2フィールドの探索もしてしまう。
装備や道具のテストはある程度行ったので、後はなるべく消耗しないようにする必要があるからと、ちゅー太やちゅん吉に頼んで斥候も欠かさない。
「……前はちゅー太」
「ちゅ!」
「上空からは私達の上を旋回する感じだね」
「ぴちゅ!」
お決まりの配置と言えば配置だけど、コレが一番安定するからね。
彼らに対するオーダーは勿論だけど命大事に。徹底的にモンスターが居る場所から回避しながら、ボスらしき存在か次へのフィールドに繋がりそうな場所を探してもらう。
「予想してたレッサーライオンの数でボスが登場は外れたしね」
「ボスとは違うのが来ちゃったけどね」
「……期待はずれ」
「らいにゃんは残念だった。次に期待じゃん」
次って一体なにを期待しているのやら……もしかしてボスを出すために大量の雑魚を狩る必要があるパターンを望んでいるかな? 俺としては余り有って欲しくないパターンなんだけどね。大量に消耗品が減ることになるから。
確かに道具は使ってこそとは思うけど、余力とかは残したいからね。
前へ前へと進んでいくけど見渡す限りの平原で、正直斥候っているのかな? という具合には見通しが良い。
一応は多少の木々があったりするし川も流れているんだけど、見た感じこれは! と思うようなポイントやモンスターは居ない。
「これ、ある程度したらキャンプ地が必要だよね」
「道具の試験で時間を使っちゃったしね。いい場所を探さないと」
「……前使った場所?」
「そこは今いる場所からは遠いじゃん」
進んでいる方向が違うからね。
確かに既に基礎だけの状態になっているけど、その基礎があるだけでだいぶ時間は短縮出来る。……出来るんだけど、あの場所はなぁ。
「あそこって敵が大量に湧くポイントでも有るから、レベリングでもない限り使うことはないかなぁ」
「拠点として考えたらあの場所はマイナスよね。安全という面が全く考慮されていないもの」
その点で言うなら、あの転職の塔とでも言えば良いのかな? あの米の群生地はベストと言える場所なんだけど。
「あそこは第1フィールドと近すぎるんだよなぁ」
「もう少し離れていたら探索用の拠点にしたかったわよね」
「贅沢を言い過ぎじゃん……」
贅沢……贅沢になるのかなぁ。
とは言え、拠点を作る場所は妥協をしてはいけない。下手に妥協をしてしまえば、最初に作った海拠点の二の舞になってしまう。……まぁ、現状第2フィールドに来ているのは俺達だけだと思うから、人という敵はいないと思うけどね。
「とはいえ、万が一だけど既に来ている人達がいることも想定して目立たない場所が良いんだけど」
「平原だものね。どう頑張っても人工物を建てれば目立ってしまうわ」
そうなんだよね。
だからと言うか、なるべく早く第3フィールドを見つけてしまいたい。
「これがゲームなら、地下を掘って拠点を作るんだけど」
「……簡易?」
「そそ、移動の中継地点みたいなものだしね。そこで何かを育てたりする必要もないから」
寝泊まりが出来るだけで良い。少し贅沢を言うのであれば、台所とトイレにシャワー室があれば良いかな? って思う。まぁ、シャワー室がほしいのは女子に必要だろうって思ったからだけどね。俺一人なら必要無いし、それこそ水とタオルでもオッケー。
「たしかにそうね……ソレだけの施設でいいのなら地下に作るのもありよね」
「え? もしかして本当に地下を拠点にするつもり?」
「地下なら皆が安心して寝れるじゃん!」
「んー……でも、換気とか大変じゃないかなぁ」
そうなんだよね。地下の面倒な部分は換気とか灯り関連なんだよね。
通気孔をどう作るのか。これってかなり問題だよね。
下手な作り方をしてしまえば通気孔は土か砂で埋まってしまうし、水の侵入経路にもなる。この島はどういう訳か虫を見ないけど、普通なら虫の侵入経路にもなるよね。
それに敵が知的な生命体だと、そんな通気孔を見つけたら毒ガスでも送りつけるなんて手段もある訳で。
安全とは言っても、100%安全と言う訳でもないんだよね。
「技術的には私の土魔法でできなくもないのだけど」
「地下の隠し通路を作った実績も有るしな! 桔梗様様じゃん」
「褒めても何も出ないわよ?」
「べ、別に物をねだってる訳じゃないから!」
あわよくばおかずを一品……とか考えていたりしたのではないかな? あ、でも冬川さんじゃないからソレはないか。
「……失礼な気配」
「気の所為だと思うよ」
「……事実」
「そ、そんな事はないんじゃないかなぁ」
あ、これ春野さんも同じようなことを考えていたみたいだね。
そしてどうやら冬川さんは当たりを付けたようで……俺や春野さんにジト目で睨んでいらっしゃる。うん、実に勘がいい。
「と、とりあえず! キャンプ地についてだけど、今回は適当にテントを張るで良いんじゃないかな? 場所自体はちゅー太やちゅん吉が見つけてくれるだろうし!」
「そ、そうだよね! もしかしたら明日にでも第3フィールドの入り口が発見できるかもしれないし!!」
長丁場になりそうなら、その時にでも拠点作りを行おう。
もし1日や2日で移動できる程度の場所なら、その都度テントを張る形でも良いと思う。と、適当なことを言って冬川さんの視線から逃れることにした。うん、それに間違ったことは言っていないはず。
「確かにそうね。第2フィールドはもう重要そうな物も無さそうだものね」
「植物関連で必要な物は全て種や苗を確保してるじゃん」
「魔石が欲しい場合は狩場があるしね!」
そういう訳で、移動用の拠点は現状だと重要ではない。と、満場一致と言うことでいいのかな。
「普通に考えたら物資をしまっておく倉庫とかが必要なのだけど……マトリョーシカ形式のアイテムポーチがあるものね」
「そういった意味でも拠点が必要じゃないのはありがたいよね」
大量の荷物があっても問題が無い。コレは本当に少人数で行動するのに随分と救われている。
もしこのポーチやチェストが無かったら、ソレだけのために拠点を作って何度も往復する必要があるからね。
「そう考えると、錬金術師がいないチームは絶望よね」
「……さすもち?」
「もっちー様様じゃん」
「七海伝染ってるよ? でも、私達だけだったら間違いなく荷物で詰んでたよね」
よせやい……と。正直な話、偶然では有るんだけどね。
それこそ無限収納的なのは魔法使い系の領域だと思ってたし。こうインベントリ的な感じのやつとか。
確かに便利な道具を作れたら……と思って選んだジョブだけどさ、ここまでチートな感じだとは思ってもなかったんだよなぁ。説明自体、器用貧乏って表記されていたしね。
ただ、こういった魔道具的な物とかが作れるからこそ、チーム全体の中に1人は欲しいって事だったのかな。
ソロ前提を考えていたから選んだジョブだったけど、かなりの当たりジョブだったって事だよね。いやはや、少し前に火力が……とか、足手まといになってないかなぁって悩んでいたはずなんだけどね。
今やその火力もかなり補えていると思う。いやまぁ、特化に比べたら微々たるものではあるけど。
「ま、ある意味システムのお陰ではあるかな」
あの時無理やり? 押し付けられた形の投擲だけど、ここまで化けるとは思わなかったよね。まぁ、化けたのは道具の方なんだけど。
「……無かったら?」
「んー……春野さんと同じスタイルになってたかな。ネイルショットガンやグレポンで補助的戦闘。ただその場合は、消費する弾とかが倍増するけど」
「……生産が悪夢」
確かに。
ダーツだと回収さえ出来れば再利用が出来るからね。その点ネイルショットガンの弾は使い捨て。そうなると、今以上に生産で魔力不足で倒れる日々になりそうだよ。
これはもうシステムに最大限の感謝をするしかないかな。……まぁ、口から吐かれる毒がかなりアレなんだけどね。
ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
ボス及び第3フィールド探しへ完全にスイッチしました。
そして毎度ながら、斥候が優秀なのである程度おしゃべりができている状況です。