思い返したけど、色々と起こりすぎ~雪視点~
夜は何時も皆で会話。ただ、今日は疲れているからちょこっとだけ。
勿論メインといえる話題はもっちーについてなんだけど……正直、ボクはこの事を皆に話していいか悩んでいる。
「それにしてもあの時の望月はなんだったんだろうな」
「うーん……二重人格的な感じなのかなぁ」
「言葉もちょっと雑だったものね」
「……強そう」
あの時にボクだけ聞こえていた内容があるけど、それを皆に話すのは駄目。
だってあんな内容を聞いたら、皆の心が病んでしまう。
もっちーが拷問? して、ボクが聞こえてしまった内容。それは、あの豚が豚すぎてクズすぎだって事。
そしてそれは、考えている事とかもそうだけど……。
あの豚が言っていた、「自分は人間だ」というのが事実で、しかもそれが……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
もっちーと豚の会話の内容。
「糞豚。お前は人間だって言ってたな? 人間だと言うなら元のが誰かも覚えているんだろう?」
「ア、アダリ……マエダ……」
「当たり前じゃねぇよ。僕はその名前を言えって言ってるんだ」
そう言いながら、もっちーは豚を思いっきり踏みつけていた。
ブヒブヒと鼻を鳴らす姿を見ると、本当に人だったのか怪しい。
「ヤ、ヤメ……オ腹ガ……潰レル……」
「なら言え」
豚はそう問われると、観念したのか自分の名前をもっちーに告げた。……ただ、流石もっちー。豚にとっても予想外の反応を見せた。
「……悪い。お前の事とか知らんわ」
「ナッ!?」
聞いておいて、平然とそんな事を言うもっちー。其処にしびれr……じゃなくて、そこはとっても豚が哀れ。
ただ、豚が名乗った名前を聞いて、ボクはもっちーの事を見ながらに「潰しちゃえ!」と言っていた。
だってあの豚……あの屑教師の取り巻きの一人だから。
本当か嘘か分からない。分からないけど、それが本当ならふざけるな! と言いたくなる。
だけど、あの豚は……事もあろうか「オデガコンナ姿ニナッタノハ、オ前タチノセイダ!」と私達の所為にした。
「巫山戯た事を言ってるんじゃねぇ!」
そんな豚に対して、もっちーが豚の言葉を一蹴し、物理的にも一蹴したけど。
その後は豚の懇願通りに、もっちーは豚の事を助けた。ただ、その助けというのは救済的な意味でだけど。
もっちーは天使に何か呟くと、天使は嫌そうな顔をしながら転がっている豚に対して何かの魔法を使っていた。
キラキラと煌く光が豚を包むと、豚が「ブヒィィィィィィ!」と叫んだ。ただ、その光が収まった後には、豚の姿も何もなくなって……強制的に昇天させたって事? 一度は死んだって事だし。
色々とありすぎて口が開かないエリカ達。
ただ、エリカ達にはもっちーと豚の会話が聞こえていなかったみたいで、3人そろって困惑してる。
なのでここはボクが代表してもっちーに声を掛けた。
「……豚は?」
「あ? あぁ。アレは居るべき場所に送っておいた。もう害は無いはずだ」
「……そう」
ただ豚がアイツ達なら、後は2人居るってことになる。
あの豚クラスの強さを持つ存在が2人も居るってこと? それって、このもっちーでもない限り倒せないよね。今はだけど。
「……聞きたい」
「あー……悪い。もう眠いんだわ」
「……大丈夫?」
「わからん。とりあえずそうだな……そこの牛、背中を借りるぞ? あと、天使と悪魔もおつかれ。もう戻っていいから」
「ちっ……無理やり呼ぶから体調を崩すんだ。安静にしてろ」
「また暴れましょう。それでは」
もっちーは牛の背に乗ると、その後はしっかりと自分を固定した後ぐっすりと眠り始めた。
天使と悪魔も、一言ずつ告げた後に突然その姿を消した。……本当に居たのかな? って思ってしまうんだけど、実際に支援を掛けてもらったりしたから存在はしていた。
「えっと……寝ちゃった?」
「ぐっすりと眠ってるわね……正直、色々と疑問が多すぎて聞きたいことがいっぱいなのだけど」
「……気持ちよさそう」
「起こすのは可哀想じゃん。頑張ってもらったし、起きた後に話を聞けば良いと思うな」
こうしてエリカ達は、もっちーが起きたら話を聞こうと思ったんだけどそれは不可能だった。
だって、もっちーは豚と戦ったことすら覚えていなかったから。だからエリカ達は真実を知ることが出来なかったんだけど……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ボクは色々と話をしているエリカ達の横でこれは話すことが出来ないと、あの時のことを考えながら思い返しながら再確認していた。
ただ、そんなボクは3人からしてみたら、少しだけズレていたみたいで……。
「雪どうしたの? なにか思い当たる事でも有った?」
「何か隠してそうじゃん」
「難しい顔をしてるわね。なにか悩んでいるのかしら」
「……大丈夫」
3人から声を掛けられたけど、ボクは何でも無いと言う。
これはボクが皆の心を守るために黙っておかないと! って、今考えた事。だから、直ぐに3人に事の内容を告げる訳にはいかない。
でも……そのうち教えないといけない? 知らないまま他の2人と対峙しないといけないのは少し問題かも。だから出来るなら、後の2人とは出会わないことを祈るけど。……難しいと思う。
どうしよう。うーん……何時ものもっちーは戦ったことすら覚えていないから、会話の内容も覚えていないはず。
そうなると、もっちーにも相談するのは難しい。……あれ? これ、誰にも話をすることが出来ない。
むむむ、あの攻撃的なもっちーと、もう一度だけでも会話が出来れば。
「雪は本当にどうしちゃったのかしら」
「心ここにあらずって感じじゃん」
む。ボクの心はちゅん吉みたいに自由。何時でも何処にでも飛んでいける。
「あ、なんか明後日の方向へ思考が飛んだみたい」
「何時もの雪になったのかしら?」
ボクは何時でも何処でも何処にでも居るから、何時ものボクッて表現は違う。
「……何を考えているのか、普通の人には絶対に分からないことを考えてるじゃん」
「雪が雪たる所以ね」
「……失礼な」
「あ、戻ってきた」
全く。ボクが皆の心を守ろうと頑張ってる最中に、3人は一体なにを言っているのやら……。
それにしても、もっちーについては色々と気にかけないと。豚と戦ったもっちーがどんなのかボクにはまだ分からないし。
戦ってくれたことを考えると悪い人? ではないと思う。でも、いつものもっちーとは違いすぎるから……それに、戦って突然眠ってしまうほど消耗するみたいだし、何かもっちーに不具合が起きるかもしれない。
何か起きてからだとどうなるか分からないから、少しでも予兆とかを見逃さないようにしないと。
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