表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/827

交渉はどうしようか?

 拠点へと戻って来た。

 そして鶏達から訝し気な視線を感じる……うん、帰還するのはもっと後になるって言っていたしね。きっと、鶏達は「こいつら逃げて来た?」とでも言い合っていると思う。


「……コッコ?」


 冬川さんの視線と声を浴びた鶏達は、ビクッと体を震わせた後に全羽綺麗に整列。……一体なにをしたのだろう?

 ただ、そんな鶏達に対して、女子達は「良い物があるよ!」と採取した米などを鶏達に与え始めた。


「コケ!」

「コッコッコ!!」


 ばら撒かれた米に群がる鶏達。

 啄んではブルリと震え、再度地面に落ちている米へと嘴を近づける。……完全に餌付けされているよ。


 米を美味しそうに食べる鶏達からは、帰還した時に感じた訝し気な視線はすでに消えていた。むしろ「なんて良い物を!」と言わんばかりの視線を送ってきている。現金な奴等だよね。

 俺としては、美味しい卵を貰えるのならそれで良いんだけどね!



 そんな訳で、帰還早々に鶏達と戯れる事になったけど……それはさておき。


 まず、装備のテストについて女子達とお話をしておこう。


「思った以上に性能がアップしてたかな」

「シュンメーで試したけど、明らかに火力がアップしていたわね」

「倒すまでに必要な矢の数が少なくなったな! 上手く狙えばヘッドショットで一発だった」


 グッとサムズアップする夏目さん。弓の威力をお気に召したらしい。うん、作って良かったよ。


「回復は試す事が出来なかったけど、支援魔法は前よりもブーストされる様になったかなぁ」

「確かに前よりも早い速度で走る事が出来たね」

「火力にも反映されてたじゃん。あれ、超便利なんだけど!」


 春野さんの支援魔法。

 前にも言ったけど春野さんは回復寄りのジョブだから、支援魔法は本当に補助的なモノだったりする。

 だけど、今回杖を強化したという事もあって、その支援魔法によるブーストがかなり向上した。


 一応言っておくけど、以前の支援魔法が使えなかった訳じゃないからね? 以前のも相当な底上げにはなっていた訳だし! ただ、今回はそれ以上だったという事なんだよね。


「でも、正直な話をするとさ。ジョブがアップしたからなのか、武器で強化されたのか分からないんだよね」

「あー……確かにそうね。ただ、どちらでも強化されていると思うし、そもそも結果としてかなりの戦力アップがされているからそれで良いと思うのだけど?」


 そう言われたらそうなんだけど……こう、武器による強化がどの程度なのかとか、そういったデータが少し欲しかったなと思わなくもない。まぁ、そこは完全に俺の趣味の範囲といったモノなんだけどね。

 ゲームと違ってステータスや装備品の数値は見えないし、そもそも結果が全てだからなぁ……。そして今の状況的に、そんなデータを集めるよりもさっさと次の物を作れるようになれ! って話だしね。


「とりあえず。全員の戦力が一気に上昇したのは確認出来たかな」

「……ちゅー太も強い」

「そうだよね! まさかちゅー太が魔法でスズメを撃ち落とすなんて思わなかったよ」


 レベル2なちゅー太を召喚して戦わせていたんだけど、前回と違ってちゅー太は直接スズメを狙い撃ちをしていた。

 〝ロック〟の魔法で撃ち落とされて行くスズメ。どう考えてもちゅー太の火力が上がっているのは見て解る。 


 はて? 冬川さんの杖は冬川さんが使っている訳なんだけど……もしかして召喚した精霊達にも杖の効果が乗るのだろうか。

 あぁでもあり得るのか。ゲーム関連でも装備品が召喚した精霊の威力に関わるのは良くある話。中にはステータスとかが完全に固定されてるモノもあるけど。


 恐らくシステムは召喚者のステータスや装備の内容で、召喚した精霊の戦闘力が変わるようにしたんだろうなぁ。理由は……たぶんかなり単純かな? 精霊達に愛着が持てる様にとか、そんな感じだと思うよ。

 そもそも、精霊達って素で愛嬌を振りまいているからね。見た目もマスコット系だし。


 さて、強化された感想についてはこんなもので良いかな。

 俺の杖はどうなんだって? うん、それはそこそこな威力アップだったってぐらいかなぁ。まぁ、戦闘の補助火力としては悪くないって感じかな。



 さて、お次の話題。


「とは言っても、明日から何をするかだけど」

「……もっちーは錬金?」

「そうなるかなぁ。こう新しいポーションとか作れそうだし」

「飲み物も色々と充実しそうだよね。コーヒーにお茶にアロエジュース?」

「栽培する方法も必要よね」


 たっぷりと確保して来たからね。栽培するにも錬金術で材料にするにも十分な数は揃っている。


「まぁ俺の事は良いとして……本題は彼等の拠点と交渉についてかな」

「交渉に関しては私が行く事になるわね。後は案内役として雪にも付いて来て貰わないと」

「移動を早くしたり万が一の為にって事で私も行こうと思うんだけど」

「エリカに付いて来て貰えるのは心強いわね。逃げる状況になっても速度アップが有ると全く状況が変わってくるもの」

「んー……そうなると私はお留守番? ま、望月の護衛をしておくかな」

「……監視」


 護衛じゃなくて監視なの!? いやまぁ、確かに錬金術に没頭していると周りが見えなくなるし、ご飯を食べる事も完全に忘れてしまうけどね。

 でも……一食ぐらい抜いたところで問題無いよね。食べ忘れるよりも作業を中断する方が問題だし!


「信用ならないよね」

「……食は大事」

「やっぱり誰かが見ておかないといけないじゃん」

「望月君……休憩を挟んだ方が効率が良いと思うわよ?」


 えー……でもなぁ。次から次へとアイデアが湧いている最中とか、他事をするのって勿体ないよね。

 忘れたりしたら後から絶望するのは自分だし。今だからこそ! って言うのが有ると思うんだけどなぁ。


「後、橋を降ろすの忘れるよね?」

「え、あー……たぶん大丈夫?」

「……大丈夫じゃないわね。やっぱり誰か一人は留守番に回る必要があるわ」


 し、信用が皆無だなぁ。

 確かに前回やらかしているから仕方ないけど。これでも反省をして対策は練っているんだけどね。


「ま、望月の事は良いとして、交渉ってどうするのさ」

「そうね……とりあえず物で釣る作戦かしら。やっぱりお米を持ち出すのが良いと思うのよ。だってお米は新フィールドにいかないと手に入らないモノ」

「え? でも相手が新フィールドへすでに行っている可能性もあるよね?」

「あー……ソレは無いと思う。だって、あの男子と女子3人はあの場で狩りをしてたからね」

「そうね。デメリットを抱えているとはいえ、あれだけの戦闘が出来るのであれば新フィールドでもやって行けるはずよね」


 だからこそ。あそこで狩りをしていたという事は、新フィールドへの門を開いてはいないという事だと思うんだ。

 そうなると、やっぱり彼等がお米を手にしている可能性は限りなく低くなる訳で。


「交渉材料のメインはお米ね。他にも石鹸や布とかも使えるかもしれないわね」


 今やそれらを全て普通の品質で作れるからね。

 そうなると、間違いなくジョブのランクアップをして居ない人達からしてみれば高級品になると思う。抗えない製品が目の前に有るとなると……交渉はこちらのペースで進むと思う。


 ただ、問題があるとすれば大人が2人居るということかな。

 交渉という化かし合いは、間違いなく人生経験が上の大人達が有利だろうし。戦闘では今なら負ける事が無いと思うけどね。


「んー……一発先にぶちかまして力の違いを見せておくか?」

「そ、それは余り平和的でないと思うのだけど」

「……過激?」

「穏やかに行こうよ。ね?」


 んー。でも昔から言うよね? 交渉はまずOHANASIから。そしてOHANASIとは拳からという事。

 っと、駄目だ。この地に来てから少し力寄りの考え方になっている気がするよ。いやまぁ、襲われたってのも有るから仕方ないかもしれないけど。


 少し頭をリセットしておこう。もう少しこう、平和的にいかないとね。まぁ、襲われたらやり返すぐらいの考えは必要だと思うけど。

 ほら、鶏達も守る為の戦いは大切だ! って蹴りを放ってる。

ブックマークに評価などなど! ありがとうございますm(_ _"m)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 登場人物やチームもしばらく動かないと思うので主人公チーム等の人物一覧等や呼び名、スキル等を纏めて貰えるとありがたいです。人によって呼び名や姓、名等呼び方が違うのと、特に他チームは1つの…
[気になる点] >美咲さんの支援魔法。 >前にも言ったけど美咲さんは回復寄りのジョブだから、 美咲is誰?
[良い点] 更新ありがとうございます。 OHANASHI この毛布を与えよう  インディアン「ありがとうー」 →
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ