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まったりした日

 忙しく動き回る日々が続いた。

 トラップの設置だ! 錬金術でアイテムの開発だ! 採取だ、採掘だ! と、色々と準備するだけで一気に時間が過ぎていってしまう。

 ただ、その甲斐もあって、拠点周りの安全を確保。使い捨てアイテムのストックを大量に確保する事が出来たんだよね。


 とまぁ、割と当たり前の事を当たり前のように行った時間だったけど、最初だけちょっと面白いことが発覚したんだ。


「まさか、火の精霊があんな姿をしているなんてなぁ」

「望月また言ってるじゃん。だけど、たしかにそうだよなぁ」

「予想内と言えば予想内だったのだけど、予想外でもあったわね」

「サイズが予想外って感じだよね」

「……可愛いが全て」


 火の精霊と言えば、思いつくのはやっぱり爬虫類型のサラマンダーとか、人型のイフリートとか、大抵の人はそういった姿を思うんじゃないかな。


 でも、ここは、あのシステムが何かしているヘンテコな島。土精霊がネズミだったり、風精霊がスズメだったりして居る時点で、爬虫類型や人型なんて訳がなかったんだよ。



 火の精霊。

 その姿は立派と言える燃えるような赤い鬣と尻尾を持ち、全身が真っ白。どこか神聖と言えるような雰囲気を感じる。そんな色をした馬だったのだけど……実はかっこいいではなく、その見た目は完全に〝かわいい〟だ。

 何故? そんな姿をしているのなら間違いなくかっこいい馬だろう! と言いたくなるかもしれないけど、その〝かわいい〟の秘密は馬のサイズにある。


「どうみてもぬいぐるみサイズだよな」

「大きすぎると、ちゅー太やちゅん吉と違い過ぎるわよってなるのだけど。流石にこれはね……」

「ヒィンヒィン言ってるじゃん。なんだ? ミルクでも欲しいのかな」

「……可愛い」


 火の精霊を話題にした事で、冬川さんが火の精霊を召喚した。

 召喚された火の精霊は辺りをキョロキョロと見渡した後、戦闘中でないことを確認したのか、俺達に向かって「御用はなぁに?」といった感じで、可愛くアピールして来ている。


 Q・そんな動きをぬいぐるみみたいな馬が見せたらどうなる?


 A・女子達が黄色い声をあげながら、火の精霊を構いだす。

 とまぁ、四人それぞれの可愛がり方で、馬を囲んでは構い倒し始めていた。


「ちゅー……」

「ちゅー太……マスコットキャラの立ち位置を奪われてしまったな」

「ちゅちゅ!」

「怒るなよ。ほれ、この燻製肉をやるから落ち着け」

「……もちゅー」


 もくもくと燻製肉を食べ始めるちゅー太。そんなちゅー太の頬をつついたりして見ながら、馬と女子達の様子を眺める。


「ちゅー太もちゅん吉も、別ジャンルの可愛さがあると思うんだけどなぁ。やっぱり新しい存在って事で、余計あの馬に目が行っちゃうのかもな」

「ちゅー」

「仕方ないって? まぁ、そうだよな。人は皆、新しいモノが好きだもんな」


 「そうだそうだ」と言う様に、ちゅー太は頬を肉でぷくっと膨らませながら首を縦に振っている。

 その内この状況も落ち着いて、皆公平に可愛がられると信じているらしい。まぁ、俺もそうなるとは思っているけどな。



 さて、因みにだけど。そんな馬のデータはどんなものかと言えば……。


――――――――――――――

 火精霊レベル1


 特徴:火属性


 馬みたいな姿をした可愛いぬいぐる……げふんげふん、火の精霊。


 燃える鬣と尻尾が、白い胴体と合わさってとってもかっこいい! ハズだったんだけど……レベルが低くて、その見た目は正にぬいぐるみのポニー。ずんぐりむっくりな体がチャームポイント(^_-)-☆


 精霊のレベルが1……ってこの説明はもういいわよね? そうよ、ネズミちゃんとスズメちゃんの時と同じだから。

 ただ、馬がベースって事もあって一応スペックに差があるわよ? ネズミちゃんはちょこまかと動くのが得意。馬ちゃんは直線を前に進むのが得意ね。

――――――――――――――


 うんまぁ、何も言うまいと思ったけども……凄く言いたい。


 システムにも! ぬいぐるみとかポニーって認識されてるじゃねぇか!! と。てか、ぬいぐるみにいたっては、一度誤魔化しておきながらも、二度目に堂々と言い放ってしまってるよ。顔文字でウィンクなんかして、可愛いよアピールをしているし。


 そんな火精霊だけど、やっぱりレベルは1らしい。……元になったと思われる魔石の持ち主であるシュンメーだけど、ネズミやスズメに比べて、結構タフで倒すのも面倒だったんだけどなぁ。それでもレベルが1なのか。

 召喚って一体どんなシステムなんだろうな? モンスターの強さとかは関係無いのかもしれないね。


「まぁ、変身とかのスキルもあるみたいだからな。きっと姿は固定と言う訳じゃないんだろうね」


 つんつんと、ちゅー太の頭を上から突いてみる。


「ちゅちゅ!」


 「その通り!」と鳴きながら、前足を使って俺の指を払いのけようとするちゅー太。うん、やっぱり可愛いよな。こう、ハムな●郎的な雰囲気がある。


「さて、そろそろ次の話をしたいんだけど……って、女子達はまだあっちの馬に夢中だなぁ」

「ちゅぅちゅぅ……」


 ちゅー太が「やれやれ」というモーションを! な、何で知っているんだ。だれか覚えさせたのか?


 ただまぁ、そう言いたくなる気持ちは分からなくもない。絶対あれ、目にハートマークや星マークとかを浮かべているよね。てか、あの馬は大丈夫なのだろうか? あれだけ構い倒されると疲れてしまうのでは?


「あ、そういえば馬の名前って決まったのかな?」

「ちゅー」


 ぷるぷると首を横に振るちゅー太。

 なるほど。まだ名付けは難航しているらしい。……それもそうか。冬川さんのネーミングだけど、今までは必ず〝ちゅ〟が付く方針できていた。

 だけどここに来て、初めて〝ちゅ〟を付けたらオカシイ姿の精霊が誕生してしまった。なので、冬川さんはどうやって〝ちゅ〟を付けるかで悩んでいるのだろう。


「〝ちゅ〟を無理やりつけなきゃいいのにね」

「ちゅちゅ?」

「俺ならどんなネーミングにするかだって? そりゃもちろん白い馬だからなぁ……〝オグリ〟とか?」


 ふーん……といった目でちゅー太に見られる。あれ? 変な事を言っただろうか。有名だよね? キャップな白馬。かなり昔の馬らしいけど。


「ちゅーちゅちゅちゅ」

「あぁなるほど。〝ちゅ〟を入れたい理由は、皆兄弟みたいな存在だからって冬川さんは考えてみるからなんだ」


 ちゅー太からネーミングの秘密を聞いて納得。

 とは言え……その縛りは本当に難しいだろうにと思う。もっとこう、花とか木とか鉱石の名前にしたら良かったのに。

 ただ、召喚主は冬川さんだからなぁ。彼女の考えが全てって事で、少しでも馬に合ったネーミングを考えてあげて欲しいよね。




 それにしても、この黄色い声は何時まで続くんだろう? 結構な時間が経っちゃってると思うんだけど。

 うーん……これはちゅー太と遊んでいるのも良いけど、少し錬金術でもやっておこうかな? あ、でも今日はもう休息日って事にしてしまうのもありかもしれない。


「ちゅー太どうしようか?」

「ちゅちゅ」

「好きにしたら良いって……確かにそうなんだけどね」


 なんとも素気の無い返事を。もう少し構ってくれ! とか、そういった態度を取ってくれても良かったと思うんだけどなぁ。

 あぁでも精霊だしな。もしかしたらそういうのは苦手なのだろうか。うーむ、これは精霊の生態調査がしたくなるな。


 ともあれ、まだまだ女子達は現実に戻って来ないみたいだし、もう少しちゅー太で遊んでから、少し錬金術でもやってくるとしようかな。

ブックマークに評価などなど、ありがとうございますです(o*。_。)oペコッ




こういった日があっても良い。むしろ、精神的に回復するためにも必要だと思う(≧▽≦)


そしてシステムも認めるぬいぐるみ感。そんな馬がちょこちょこ歩いていたら……可愛いだろうなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 無理やり(ちゅ)を入れるとなると、おちゅま(馬)とかどうです?
[一言] うまwwww 残りは水かー・・・ぬいぐるみ・・・マリモ? 動物ですらないという感想は聞こえませんw
[一言] オグリでキャップな馬… 成長したら擬人化して大食いになるのかなぁ…ってふと考えてしまったw
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