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楽しい物作り

 さて、次は錬金台について調べるとしよう。

 まず錬金台に描かれている魔法陣に魔力を送り込んでから、次に台を使って行うモノを考えてみる。


 錬金術と言えば……現実路線で言うのであればお薬作りだろうか? 科学のベースとなった学問だからな。硫酸に硝酸に塩酸と化学薬品を発見したのは間違いなく錬金術の功績。

 ただ、やっぱりファンタジーチックな話が大量にあって、賢者の石やエリクサーやらホムンクルスといった話もある訳で。


「だからこそ、ファンタジー物との相性は良いって事なんだけど。今やった事を考えれば、ファンタジー色が強いのは間違いないよな」


 魔力と素材と魔法陣だけで、水入りの水筒と塩を入れた竹筒を作ったんだからな。

 とあれば、この錬金台もそういったちょっと特殊なものと考えた方が良いと思う。


 でだ! 錬金術で台を使うといえば……そう! 考えられるのは金属の加工とかそっち関連じゃないかなと思う。

 とは言え、現在金属など持っていない。だからここにある素材で使えそうなモノである〝石〟を使ってみる事にした。

 ただ、小さい石を台の上にごろごろと転がしたところで……はて? 一体何が出来ようか。


「まぁ、石の鏃でも作れたら御の字なんだけど」


 そんな事を口にしながら、山積みにした石に向かって杖をこんこんと振ってみた。


 こんこんこんこん。こんこんここーん。リズムよく石を叩いてみたが、鍋を使ったときの様な発光は無い。

 これは何か違うのだろうか? と思いはしたが、魔法陣には魔力をチャージしているので鍋の時の様なミスは無い。

 一体何が違うのだろうか? しっかりと台とその上にのった石の山を見て考えてみる。


「魔法陣も良し、杖も使っている、素材は……一種類だけだけど、石だけで出来るモノは有るから問題は無いと思う」


 うん、どう考えてもミスは無いように思える。

 しかし錬金術は発動せずに、石はコロコロと台の上に置かれているだけだ。一体、水と塩の時と何が違うと言うのか……。

 もしかして、素材を叩くのはダメだとか? それなら台を叩いてみるか。


 こんこん。


 しかし、台も石も何の反応も起こさない。むむむ……これはまた、難題な! はっ! もしかして、これは杖を使うモノでは無いとか? そう思って台の横やら下に何かしまうような引き出しが無いかを調べてみのだが……。


「杖が入ってた場所以外何もないな……」


 そして、杖が入っていた場所には他に何か入っている様子もない。

 なので間違いなく、現状使える道具と言うのは〝杖〟と〝台〟と〝鍋〟と〝乳鉢〟のみだ。


 これは、もしかして台を使うターンでは無いと言う事なのだろうか? いや、しかし、それならそれで台が〝簡易錬金セット〟で出て来る理由が無い。

 それこそ、スキルポイントを振った後に追加機能で出て来ても良いのだ。という事は、現状でも出来る事はあるはず。


 もう一度、鍋の時と何が違うのかを考えてみる。


 素材は用意した。道具も他にはない。魔法陣には魔力がたっぷりだ……そしたら、それ以外の違いと言えば……。


「あ! そうか。何を作りたいか明確に考えて無かったわ」


 俺は素材だけ用意して何かを作ろうなどとは考えていなかった。

 何か出来れば良いな程度で、素材を台の上に置き、なんとはなしに杖で素材を叩いていた。……うん、そりゃ錬金術も何を作ったらいいか分からなくて困るわな。ちょっと考えたのも、鏃でも出来たらいいなーぐらいで、明確にこれだ! とは決めていなかったし。


 なので、ここは石で何を作るべきかしっかりと考えるべきだろう。

 とは言え! 単純な物では面白くない。やるなら、こう、少し無理難題と言えるようなモノの方が良いだろう。何せ錬金術だ。しかも、竹を竹筒にしながら中に何が入っているかを表記するような事が出来る術。

 そしたら、もっとこう! 色々と加工できそうな気もするよな? という事で! 作るのはこれだ!!


 作るモノをイメージしながら、杖を素材へと振り下ろす。

 こんこんと何度も叩くと、杖と台と素材が徐々に発光していく。うん、これなら成功するハズだ!


 ただし、今度はしっかりと瞼を閉じておく。目をやられる訳にはいかないからな。


 何度か叩くと、辺りがカッと光で埋め尽くされたのがわかった。瞼を閉じていても強い光は見えるものだからな。

 そして、そんな光の世界が徐々に戻って行く。

 当然瞼を閉じていてもそれは感じ取れるもので、ある程度収まった状態になった時に瞼を開いてみれば……。


「おっし、成功だな! いやはや、これ出来ちゃうんだ」


 台の上には石材と言うか、石レンガがピラミッド状になって置かれている。

 ただその石レンガ。サイズが全て統一されていて、しかも元の石を考えればどう考えても石が大きくなっているように思える。

 どうやらこの錬金術は、色々な法則を完全に無視する事が出来る様だ。……この状態、どう考えても山積みにした石が合体してレンガ化したようにしか思えないしな。


 ただ、ここで問題というか……作れたのは良いけど、この石レンガどうしようか? という話が浮き上がってくる。


 説明に在ったように、錬金術はある程度のものは作れる。そう、ある程度……言ってしまえば、素材とか素材とか素材とか。

 ちょっと頑張れば、武器ぐらいは作れるかもしれないが……ぶっちゃけ、錬金術を用いて建築とかは出来ないのだろう。


 建築用素材を作ったところで、俺はこれをどう扱えば良いのかという話。


「家を作ろうにもどうやって? ただ積んで行けばいいのかこれは?」


 建築家じゃないからなぁ……そして、全くそっち関連の知識が無いのも問題だ。

 これがクラフト系のゲームであれば、この石レンガをブロック化して積んで行けばそれで良いのだろうけど。


 錬金術。

 それは中間素材作りに適した職業と言う事なのかもしれない。やはり、しっかりとしたモノを作ろうと思えば、特化した生産職が必要と言う事なのだろう。

 ただ、この素材を作る事もまた大変だからな……どちらが良いとは一概には言えないのだが。


「ソロプレイヤーな俺の場合、こういった物を量産出来た方が良いわな」


 最終的には無茶苦茶な物が出来たとしても、今の状況よりはマシな訳で。

 とりあえず、この石レンガを大量に作っては使って、防壁でも築き上げておくとしよう。あとは、これを使ってトラップを作るのもありだな。


「あ、加工が可能なら球体を作るのもありか。蔦と合わせてボーラとかも作れるし」


 狩猟道具を作っておくのは重要だからな。まぁ、投擲のスキルがないから自前の能力で何とかしないといけないけども、ボーラなどであればただの石を投げるよりはマシのはず。


 なんだろう。これは物を作るのが楽しくなって来たぞ! っと、そう言えば、これ錬金術のスキルを上げるにはどうしたら良いんだろう? やっぱりスキルポイントが必要だよな。そして、スキルポイントを上げるには……もしかしてレベルを上げる必要性があるのではないだろうか。


「これは完全に何かと戦えってフラグですかねぇ……」


 レベリングといえば動物やモンスターとの戦闘だからな。

 他の方法とは言え、こんな場所にゲームみたいなお使いクエストとかあるはずもないしな。


 先ずはあの憎たらしいうさぎからかなぁ? 出来ればトラップに引っ掛かってくれていれば楽なんだけど。とりあえず、後でトラップを見に行くとして、今はこの錬金術を楽しむとしよう。

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