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システムは与えるスキルを間違えたと嘆くが良い!

 女子による錬金ストップが入ってしまった為に、実験はいったん中止と言う事に。

 しかしそれではやる事が……とおもったので、レシピをパラパラと確認してみる。特にモンスター素材を使ったレシピに面白い物は無いかな? って考えちゃったしね。あの巨大火柱を見た事で。


「ふむ……なるほど。やっぱり羽根は矢を作るのが良さそう? 蹄は……なるほど、これは面白いモノが作れるかもしれないな」

「……もっちー戦場」

「役目をスズメに奪われちゃったものね……自分の出来る事を考えたら錬金術だったってのは分かるけど」

「スズメと言う割にはサイズが大きいけどなぁ」


 戦場? そんなの分かっている。分かっているからこそ効果的なアイテムを作るのがお仕事のハズ! と、暇になった自分をなぐさめt……違う。皆の手助けになる様にと考えているんだよ。

 そして、手助けになりそうなレシピを幾つか発見出来たと言っても良いと思う。


「まずは鉄は……持ってきてないから、とりあえず石材と蹄を入れて……」


 錬金鍋でゴロゴロとかき混ぜて融合させる。これで特殊な石材を作り上げる。

 そしてそこから、台へとその石材を移動させて、これまた杖でコンコンと叩きながら変形させていく。


「よし! 鏃の完成。後はこれと木材に羽根を使って……矢の完成!」


 思わず、てってれーと言いたくなる様な出来だと思う。

 ただ、先ほどの火柱事件の事も有るのでしっかりとこの矢を鑑定しておく。


――――――――――――――

 石の矢(低品質・火属性)


 特徴:微・延焼


 鏃を錬金製の石材で作った事により、刺さった相手を微妙に燃やす事が出来る様になった矢。ちょこっとだけ威力がアップした感じかな。

 風属性の羽根を使っているので、飛距離と命中率に補正が入るよ! さぁどんどん射貫いて行こう!


 あ、勿論だけど、この矢を使って魔法矢を使う時に水属性とかは使用しないように! 理由は分かるよね? 分からない訳ないか(^_-)-☆

――――――――――――――


 お? 毒が少ない。余計な一言が入ってはいるけど。


「とりあえず、レシピ通りのモノが作れたッて感じかな。これは夏目さんに使って貰うとして……ちょっとだけ改造をしてみようかな」

「おお、望月ありがとー! これでファイアショットとか使ったら楽しい事になりそうだよ」

「使い方やタイミングは任せるよ。シュンメーとスズメ狩りをしたら素材は幾らでも手に入るしね」

「どうでも良いのだけど、改造は大丈夫なのかしら? 延焼筒みたいな事にはならないのよね?」

「それは問題無いよ。ちょっと俺用に変化させるだけだから」


 そう言いながら、再び錬金台へと向かう。

 そしてコンコンと木材を叩いて調整。その後は同じ手順でアイテムを作って行く。


――――――――――――――

 石のダーツ(低品質・火属性)


 特徴:微・延焼


 石の矢を投擲用に改造したモノ。な、なんてことを考えるの! こんなアイテム私の想定外なんだけど((((;゜Д゜))))

 弓を使わずに矢と同じ効果……あぁでも、飛距離は落ちているかな。でも効果やアイテムのそのものの威力は同じで……君! ちょっとズルいわよ!!

――――――――――――――


 ずるいと言われてしまった。

 でもなぁ、現代の遊びを知っている身からすれば、投擲のスキルを手に入れた時点で思いつくアイテムだよね。

 そもそも、戦力外通告になっていた状態だからね。少しでもその状況を解消しようとおもったら、こういった道具を作るのは当然かと。おあつらえ向きに、システムからは投擲のスキルを承った訳だし? と、珍しく逆に毒ってみる。……まぁ、聞こえていないと思うけどね。


「なるほど! 投擲のスキルがあるなら、その道具を作るのはありだよね!」

「……ありよりのあり」

「なるほど。確かにそれなら事故は起きないわね。で、それは使えそうなのかしら?」


 ふむ。確かに作ったは良いけど使えないのでは話にならない。

 そもそも鑑定にある様に飛距離自体は弓より低いし、多分だけど攻撃力に掛かる全ての情報を計算したら、威力も弓よりは劣ると思う。

 ただ、それでも投擲の方が優れている点は有るんだよね。


「そしたら、お披露目と行こうかな」


 狙うのは少し逸れてしまっているシュンメー。

 先ほどまでは夏目さんが弓矢で攻撃をして、こちら側へと呼びこんでいた存在だ。ただ、ダーツの距離的には少し射程外かな。

 という事で、呼び込み自体は今まで通り夏目さんにお願いするとして、俺のやる事は単純だったりする。


「そしたら行くよ。新しい矢は後で試すとして、此処は普通に魔法矢で呼び込み開始っと」


 夏目さんが〝アクアショット〟でシュンメーを射貫く。するとシュンメーはプギャー! と怒り狂ったかのように此方へと向かって突撃を開始。


「属性の相性は同じだから良くも悪くもないんだけど……ダーツのお試しだからね」


 という訳で、シュンメーの顔面に向かって〝クイックスロー〟でダーツを連続で放っていく。


 そう、弓矢よりもダーツの良い点。それは連射が可能と言う事なんだよね。更に言うと、〝クイックスロー〟はスキルだから利き手とかはほとんど関係ない。両手で投擲する事が可能だったりするんだよ。

 ただ、一応利き手かそうじゃないかで腕の力が違うから、多少威力に差は出るかもしれないけど。速射性と命中率はスキルによる補正が入るからね。利き手じゃなくても問題ないんだ。


 ドスドスドスドスと、シュンメーの顔面へダーツが突き刺さって行く。それはもう気持ちが良くなってしまう勢いで。


「うわぁ……命中率100%?」

「属性効果は相殺されてるみたいだけど、ダーツの威力ははいっているみたいね」


 顔面にダーツが刺さる度、微妙にシュンメーは怯んで行く。そして刺さる数が増えれば増えるほど、シュンメーの足は低下していて……。


「……これ、私が望月と一緒に矢を放ったら完封できるじゃん」


 そう呟いた夏目さんが、キリキリと弓を引きながら狙いを定め始めた。


「狙い目は……首か、胸か……アクアショットだから、傷ついた顔面もありかもね!」


 そう言いながら夏目さんが放った〝アクアショット〟は、真っ直ぐシュンメーへと向かって行った。

 そしてシュンメーの顔面へと水の魔法矢が襲い掛かる。


「あ……」

「ありゃ……これ、やっちゃった?」

「……七海あうと」

「勿体ないわね」


 夏目さんが何をしたのか。

 シュンメー自体は七海さんの一撃が上手く刺さり討伐する事に成功した。それは上出来と言っても良いと思う。

 ただ……悲しい事に、俺が作ったダーツ達もまた被害を受けてしまったんだよね。


「あちゃー……ダーツが折れたりしてるね。何本かは更に奥へと刺さったみたいだけど、この奥へと押されたダーツももう破棄しないといけないって感じだね」

「え、エリカ。私のライフはもう無いよ?」

「折角望月君が使える道具が出来たって言うのに……仲間に破壊されたら浮かばれないわよね」

「桔梗? わざとじゃないからね?」

「……鏃の部分がボロボロ」


 それは石の鏃と言える部分が火属性だからかな。アクアショットを受けた事でダメージが入っちゃったんだろうね。まぁ、良い検証になったんじゃないかなって俺としては思うけど。


「とりあえず、レベリングのついでに素材を大量にゲットして貰えば問題無いから。アイテムは消耗品。使えば壊れる物って事で、どんどん作って行くから素材をどんどん集めて貰って良いかな?」

「望月! よし、私に任せて!!」


 夏目さんがやる気MAXと言った感じになってる。うんうん、これで使えるアイテムを沢山作る事が出来そうだね。


 あ、そう言えばネズミやクモの素材だとどんな属性のモノが出来るんだろう? ネズミも魔石以外のドロップ品が有ったはず。……殆どが魔石だったけどね。

 クモの場合はまだ一体しか倒してないから使うのは勿体ないかな。とりあえず取っておくのがベストかも。


「それにしても、望月君の戦力がまた上がったわね」

「道具作りが本懐だからね。魔法はあくまで補助だから」


 足手まといにはなるつもりは無いからね。とりあえず、これで当分の間は自前の戦力をゲットって事になるのかな。

ブックマークに評価などなど、いつもありがとうございますm(_ _"m)



システム的には、錬金術師に投擲と言うのは〝回復ポーションなどを味方に投げる〟程度にしか考えていなかったという裏があったり。

舐めるな! という話ですね。えぇ、現代における遊戯等を考えれば……ダーツ以外にもいろいろありますよ? って話ですね。


という事で、システムの誤算第2弾と言った感じでしょうか。ざまぁ! とは少し違いますし、そもそもそんな風には景君も思っていませんが、鑑定を見て少しだけ嬉しくなったようです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今まで散々システムに好き勝手煽られ、馬鹿にされ続けて来ましたからねぇ… これくらいの意趣返しは余裕で許されるでしょう
[良い点] 今回の話のダーツを見てなるほどと思いました!錬金術師だから物作りが本業なのだからそれを活用するのが王道ですよね。ポーション投げしてもガラスの破片とかで良くて出血最悪失明とかなりそうだなと考…
[良い点] 人類と言えば投擲だろうに、システムよ……w
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