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新しい場所で狩りをするよ

 冬川さんが面白い狩りを発見した。本当にこれは、発想の転換と言うか柔軟過ぎるというか……いや、これはもはや冬川さんらしいと言った方が良いかもしれない。


「……ちゅー太、挑発」

「ちぅ!」


 地精霊のネズミだけど、どうやら名前を付けたらしい。これまたネーミングセンスも……うん、これは人それぞれだから口にするのは止めよう。


 ただその、ちゅー太だけど新しく手にした力をフルで活用している。


 まず、ちゅー太は変身をしてモグラっぽい姿に。そしてモグラの姿で地面に小さな穴を掘る。そこから、ネズミの姿に戻った後、穴から顔をだして「ちぅちぅ」と可愛らしく? 鳴いている。どうやらこの鳴き声が挑発らしい。

 そしてその挑発は誰に? という話なんだけど、それは空を飛ぶ鳥に対して。

 挑発を受けた鳥はネズミの姿を見ると、何やらブチ切れたのか一気に急降下。ネズミもまた、穴からお尻だけだして尻尾でぺんぺんと挑発。……なんだかチュートリアルウサギを思い出すような光景だなぁと思ったのは内緒。


 ここからが面白い事になる。


 急降下した鳥は、ネズミを捕らえた! と歓喜するかと思いきや……残念な事に、ネズミは精霊だ。捕まるはずもなく、逆に鳥は捕らえられる形になってしまう。


「穴に顔を突っ込んで顔が抜け出せなくなる間抜けな鳥……これ、何匹目だ?」

「一応、顔を突っ込んだ後にちゅー太が穴を狭めているみたいなのよね。そりゃ、顔も挟まった状態になるわよ」

「……とりあえず叩く」


 嵌った鳥をサモンブックでポカポカと叩く冬川さんだが、そんな光景を見てなのか約一名が少し落ち込んでいたりする。


「わ、私が弓で何とかするつもりだったんだけどなぁ」


 乾いた笑いを浮かべつつ、上空を見上げているのが夏目さんだ。

 彼女は鳥は私がやるんだ! って意気込んでいたからなぁ。そりゃ、こんな嵌め技コンボをみたら遠い目にもなるよね。


 俺はそんな夏目さんに対して掛けられる言葉など持っていない。春野さんだけが「まぁまぁ……」と気落ちしている夏目さんに話しかけている状態なんだよね。


 ただ、そんな俺達の事などお構いなしに、次から次へと鳥を嵌めて行く冬川さんとチュー太。……何というか、経験値がぽこぽこと此方にも入って来るので、なんだか寄生している気分にもなってくる。



 因みに、そんな鳥の姿は鷹に似ている。実に獰猛な見た目だよね。急降下している時も目が爛々と輝いていたし。

 で、そんな鷹に似た鳥の鑑定結果なんだけど。


――――――――――――――――――

 バトルスパロウ


 特徴:ソコソコ速く飛ぶ


 小型の鳥型モンスターだよ! バトルと名がついているだけあって直ぐに攻撃を仕掛けて来る子。

 ただ、喧嘩っ早い為に、意外とレベルが高い子もいるかも? 雑魚と思うなかれ。

――――――――――――――――――


 ……鷹っぽいとおもったらスズメかい! てか、随分とデカいスズメだな!!

 いやまぁ、モンスターだからそう言うモノなのかな? となると、鷹のモンスターとかが出たら相当大きいのかも。ちょっと怖いなぁ。

 とりあえず、女子達にもこの鑑定結果を共有しておく。うん、スズメなの? って驚いたけど、当然の反応だよね。


「と、とりあえずあのスズメは冬川さんに任せて、こっちはこっちで適当に何か狩ろうか」

「そうね。えっと、猛獣系は厳しそうよね。となると……あの馬とかはどうかしら。少し遠くだけど牛もいるわよ」

「牛はちょっと手を出しにくいかな。アレに手を出したら猛獣まで反応するかも」


 牛と猛獣……この場合は虎っぽい奴なんだけど、それの距離が少し近すぎる。

 だからもし牛を攻撃して牛が暴れ出したら、虎も行動を開始すると思うんだよね。ただ、その行動が牛を襲うだけだったら良いけど、俺達の方にまで来たら少し面倒臭い。

 なので現状はあの牛を狙うのは無しかな。……牛乳とかそういった意味で確保したい気持ちはあるけど。


「馬も足として確保したい気もするけど、テイマーじゃないし、それ系のスキルも無いからなぁ……」

「……馬刺し」

「タレが無いわよ? というよりも、モンスターだったら肉を確保出来るとは限らないわよ」

「……むぅ」


 因みに。

 スズメもモンスターだから、当然だけど討伐すると光の粒になって消えていく。そして消えた場所にドロップ品が落ちるんだけど……残念な事に肉関連が無い。


「スズメのドロップは羽根と魔石が殆どか」

「羽根は矢に使えそうかしら? 羽毛布団とかには……ちょっと使いにくそうね」

「錬金用アイテムにも使えるかな? ちょっと試してみないと分からないけど」


 スズメがドロップした品物の鑑定結果はこちら。


――――――――――――――――――

 戦雀の魔石(低品質)


 特徴:風属性


 モンスターの体内に精製される石。魔力の塊と言っても良い物だよ! って、この説明はもう良いかな? 良いよね。

 当然だけど、口に含むなってのは……何度も言わなくても良いよね(^_-)-☆

――――――――――――――――――


 なるほどなるほど。特徴に属性が書かれているのか。

 あ、そういえば爪鼠も毒蜘蛛も、魔石の再鑑定をしてなかったな……特徴の項目が増えているから、鑑定しなおさないといけないのに。

 ゴーレムに関しては……魔石のドロップは無かったからなぁ。というか、コアを手に入れただけで他は何もなかったんだよな。多分だけど、あのコアの中に魔石がある気がするけどね。


 ま、今はその事は良いとして。次の鑑定をしておこう。


――――――――――――――――――

 戦雀の羽根(低品質)


 特徴:風属性


 羽根だよ。うん、見て解るよね。

 考えているだろうけど、矢の素材にはぴったりだからね! これで矢の性能を上げようね(`・ω・´)b

 あ、後は錬金の素材にもなるよ。というか魔物素材は全て錬金術で使えるから。レシピをしっかりと確認するように!(^^♪

――――――――――――――――――


 うんまぁ、予想通りと言えば予想通りの鑑定結果だよね。


「魔石も羽根も、どちらも風属性が付いているみたい」

「へぇ……そうなると、矢の飛距離とか命中補正が上がったりする?」

「作ってみないと分からないけど、多分あるんじゃないかな」


 モンスターの羽根だからね。きっと性能もかなり良いはず。ただ、少し気になるのは低品質って事なんだけどね。これって俺達のレベルとかが関係しているのかなぁ? どうなんだろう。



 ともあれ、ある程度狩りはこれで安定しそうだね。


「馬の方も何とかなるかな」

「地面を走りにくい状況にしておいたから、後は七海に弓で馬を射貫いて貰えば良いわね」

「お! 私の出番か!」

「七海。出番と分かったら直ぐ元気になるんだから」


 馬狩りに関しても何だか上手く行く気配がする。うんうん、これは良い感じでパーティーが回っているよ。


 ……って、ふと思ったんだけど。これ、俺の仕事が何も無い? ちょーっと手持ち豚さん……じゃなくて、手持無沙汰なんだけど。

 これはあれか? 猛獣が攻めて来た時の為に待機していろって事なのかな。とりあえず、焼夷筒やバブルボム(毒)の準備だけはしておこうかな。


「あれ? 望月君どうしたの? 竹筒をくるくる回したりして」

「いや、こう猛獣がこっちに来たりしないか見張っているんだけどね」

「あー……確かにこの場所だと何時襲ってくるか分からないもんね」

「そうそう。だからいつでも投擲出来る様にってね」


 春野さんに見られて突っ込まれてしまった。

 咄嗟に対猛獣用だって言ったけど、なんか信じて貰えたよ。うん、決して暇だから猛獣対策をして居る訳じゃない。猛獣対策をして居るから暇なんだ! って事で押し通そう。

 実際に猛獣は警戒しないといけないしね。さっきから偶に、虎とかライオンっぽいのがちらっとこっちを見たりしているし。

 今のところ襲ってくる気配はないけどね。何がトリガーになるか分からないから、しっかりと睨んでおく必要があるかな。

ブックマークや評価などなど、ありがとうございますm(_ _"m)




役目を奪われる七海ちゃんは涙目です。はい、絶対に(^ω^)ペロペロとかしないように!

そしてマイペースな何時もの雪ちゃん。気にせず雀を狩っていっております。


景君は……まぁ、そんな事もあるでしょう。錬金術師ですからねぇ。本来なら戦闘は微妙な職なので。普通に考えたら春野さんよりも、戦闘に関しては置いてけぼりになるのが基本なんですよね。ある意味、今までがおかしかった。

ただレベル差が狭まったので、そのおかしさが解消されたと言った感じでしょうか。ま、それでも色々と出来る事は有るのですけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] よし!さあもっちーこのレシピだ(・∀・)つ媚y ぽちり間違えたお(´・ω・`)
[一言] ハーレムとは?(`;・ω・´) 頑張れもっちー前途遼遠にしてゴールは(下手すると永遠に)見えない 作者さんはどうやってこの無理ゲーを片づけるのか? ・・・・・・・片付くんだよね? もっち…
[一言] 涙目な七海ちゃん(^ω^)ペロペロ そういえば魔石のフレーバーにレベル不足だから加工出来ないよ〜の煽りが無くなってるなぁって思ったりする
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