プロローグっぽいなにか
新作あーっぷ! 本日は6話ぐらいアップしまーす! 時間は11時スタート・12時・15時・16時・18時・19時辺りです(`・ω・´)ゞ
ボッチ? 陰キャ? それの何が悪い。
人には得手不得手、合う合わないというモノがある。だというのに、一つの枠に固めて「ああしろ、こうしろ」と言うのは、其れこそ間違っているのではないか?
沢山の人の中に居れば気分が悪くなり吐き気を催したり、頭痛を起こしてしまうなんて人も居る。それで倒れてしまうなんて事もある。
それは甘えだ? 鍛え方が足りない? そんなもの、鍛えたところで如何にか出来るモノじゃないだろう。それこそ、ゴキブリの群れや毛虫の群れが居る中で生活しろと言われ出来るのか? いや、それだけなら生理的嫌悪感だけだから、生活できるなんて言い出す者もあらわれそうだ。
とにかく、無理な事を如何にかしろと言われても無理なんだよ。
そう、高らかに演説したい気持ちに襲われるが、正直そんな事をしても自分の立場が良くなる訳でもないし、そんな事を行えば自爆特攻と変わらない。演説中に気を失ってしまうのが落ちだ。
思わず「はぁ……」とため息が出る。
手には修学旅行のしおり。いわゆるあれだ……仲のいい人でグループを作ってね☆ というやつ。……そんなグループなんていらないから、一人で行動させてくれ! と言いたい。
とは言えルールはルールだからと、纏まって行動するようになんて言われてしまう始末。いやいやそれなら修学旅行なんて行きませんと言いたいが、積立金がもったいないからなんて先生にも家族にも言われてしまう。
イベント事なんて大っ嫌いだ。こういった行事は大抵逃げ道がない。
病気にでもなる事が出来れば良いが、たいていそう言う時に限って体調は良好。まるで悪魔がほほ笑んでいるかのように感じる。
友達なんていらない。彼女なんてなおさらだ。なんて事を口にすると、大抵言われるのが「強がるなよ」なんてセリフ。
いや、強がってないんだが? 寧ろ体調を悪くする原因になるから出来れば、誰にも! 近づいて欲しくない。というか、学校自体来たくないんだよ。だというのに、義務教育だから、高校卒業は必須だからと、親が無理やりに……いや、最低限の教育が必要なのはわかるが、別に学校じゃなくても良いだろうなんて思うのは、俺が子供だからだろうか?
周囲を見渡す。
あっちでもこっちでも、修学旅行の自由時間は何処に行く? なんて楽しそうに会話をしている。うん、でも俺の目には良いのか悪いのか、何が楽しいのか分からない。
そう思った瞬間に全ての興味が無くなり、ぼーっと窓の外に流れる雲を見つめてみた。あんなふうに漂えたらいいのに……と思いながら。
そんな時、突如として声を掛けて来た奴がいた。
「おいおい、また窓の外を見てやがるな。何が楽しいんだか……」
そう俺に話掛けて来たのはクラスメイトA。とりあえず俺の中ではA君と呼んでいる。
「A君、何の用だ?」
「えー君じゃない。●●●だって言ってるだろう……それはわざとなのか? それとも本気で覚えてないのか?」
本当に覚えている訳がないだろう。というか名前覚えられないんだよ。
大抵全員がアルファベット君か五十音君だ。女子もまたしかり。
「お前……本当に大丈夫か? そんなんだと社会に出た後大変だぞ?」
「さてね。とりあえずご用事は?」
「お前まだ班決まって無いだろ……どうするんだ?」
「行かない。もしくは単独行動の許可を貰う」
単独行動に関しては許可なんて下りないだろうけどな。でも、心と体の平穏を保つには最低条件なんだよ。
俺が許容できる人数なんて多くて三~四人と、確実にグループ行動は許容量オーバーだからな。だから、思いっきり人数を減らすか、単独で行動させてくれと言いたい。
てか、なんでA君は俺に声を掛けてくるのだろうか? 俺は此奴に何かした覚えも、何かして貰った記憶もないぞ。
「はぁ……まぁ良い。もしあれなら俺達のグループに名前だけ所属しておけ。単独行動は……お前が体調壊してどこかで休んでいるとでも言えば何とでもなるだろ」
本当にわからん。なんでこうも構ってくるんだろうか。こいつとの接点は何もないはずなのに。だがまぁ良い。どうせ此奴にも何か考えが有っての行動だろう。であれば、お互い利用し合うと考えればそれでいいはずだ。
それに恐らくだが、既に皆纏まっている処を見ると、こうして声を掛けて来たって事はグループの人数が足らないという状態なんだろうな。
「了解。枠埋めが必要だからっていうんなら、名前は勝手に使って貰ってどうぞ」
「おう。丁度一枠足らなかったからな。利用させてもらうよ」
「利用させてもらう」そう言いながら微妙な笑みを見せつつ手を振って立ち去って行くA君。
本当に何がしたいのやら……まぁ、奴は俺の事を少し理解しているのか、ある程度の距離感を保ってくれている。なので随分とやり取りは他の人よりも楽なのだが……如何せん、奴の周りには割と人が集まって来るからな。
もし全員で押し寄せてこようモノなら……。
思わずブルりと寒気を覚えた。もしそんな事にでもなれば、悪夢の再来待ったなしだ。
頭痛を起こして、吐き気が同時発動する。そのダブルアタックで視界が真っ白になった後、地面へと突っ伏してしまい、そこから……うん、そんな状況は一度だけで良い。
「なぁ、これ本当に行かないといけないのかな」
流れる雲に向かって聞いてみても、返事など返ってくるはずがない。
本当に、何故皆群れたがるのか、そして群れから外れた存在を異質として扱うのか……救いなのは、此処ではそれでイジメに発展していない事だろうか。
いや、ある意味空気的な扱いを受けているから、見る人が見ればイジメだと捉えるかもしれないが。正直、俺からしてみれば現状が一番快適ではある。
感覚の差異。それを理解しろとは言わないけどさ。一方的に認めないって空気は何とかしてほしいよ。特に親や先生方。
そんな事を考えていた修学旅行数日前の準備期間。
まさかまさか、修学旅行中にとんでもない事件に巻き込まれるなんて、この時は欠片も思っていなかった。
うん、正直問題がある主人公設定でハーレムにもっていこうとすると……ハードルを上げていく。
主人公がこうなった理由は作中にその内出てきますが、主人公は多くの人に囲まれるとパニックを起こすタイプです。頭痛を起こしたり、嘔吐をしたり、立ち眩みを起こしたり、気絶したり……うん、これ本当にどうやって人と関わらせていけるんだ? しかも碌に名前すら覚えないしな。