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入院して現代医療スゲェってなった話。

作者: 櫻井入文

 どうも、櫻井です。


 先月、開腹手術を受けるために七泊八日で入院してきました。


 病名とかはね、特に闘病記とかを記すつもりはないので書きませんが、ちょっと臓器やら二キロ弱あった筋腫やらを摘出したりしました。


 摘出したブツをみた親族は黒歴史になっているようで、『あんなものを……』とか『痛かっただろうに……』と、現在進行系で腫物扱いですが、その優しさを摘出する前に欲しかったね!


 ま。

 そんな私情は置いておきまして。


 大きな病気といえば肺炎くらいにしかなったことが無い自分が、七泊八日の入院。


 しかも!


 今、世界中を悩ませている『コの字のクソ』。略してコクソのために面会禁止、外出禁止という過酷な条件で生活改善をはかれる予定がない行ったきり入院で感じたアレコレを忘備録として残しておこうと思います。



 面会禁止=患者本人と会えないだけで、着替えなどのやり取りは、看護師を介して行える。

 又、ある条件下であれば一日十五分程度は直接面会も可能。


 外出禁止=病棟(フロア)内ならば好きに出歩いて構わない。一日一回ならデイルームの自販機まで出てもいい。但し、戻ってくる時に扉を開けてもらわないといけない煩わしさはあるので、出た際にペットボトル等はまとめ買いすることをオススメします。




 入院すると決まると、『入院される方へ』といった冊子が渡されます。


 病棟内の施設や病室の説明、Wi-Fiの繋ぎ方など、その病院にあった内容の説明書です。

 そこに書かれている内容と重複して、入院に必要な物といったプリントも渡されると思います。こちらは、患者さんの病名に沿ってオーソドックスな物品以外に必要な物が細かく記されている内容です。


 これらは、入院に必要な初期装備。


 七泊八日とはいえ、人生初の開腹手術で付添人もなしという過酷環境。一度入ったら出れない、補給物資も期待出来ない状態ということは、初回持ち込みでどれだけ快適環境を構築出来るかが勝負!


 と、几帳面なA型は限られたインベントリを最適化するためググる先生に質問することにしました。


 直近の入院経験者の方々の体験談をナナメ読みすると『ふりかけ』とか『マジックハンド』とか『霧吹き』とか持ち込んで良かったものやよく利用した物の名前が色々出てくる。

 そこで、登場回数が多い品名をピックアップし持ち込むことにしました。


 霧吹きについては、使用用途が人によって違いイマイチ不明瞭で分からなかったのですが


・水分を取るのに使う。

・カーテンに吹きかけて乾燥予防。


 の、二点のよう。


 カーテンに吹きかけるとか、自分の家でもしないだろう大迷惑行為では?


 え、そんなに頻繁にカーテン洗濯するの? 


 うちがものぐさでやらない家庭なだけ?


 カビ生えそうだし、布目に埃が吸着しそうで自分なら出来ないなぁ。


 と、いうことで。

 霧吹きを乾燥対策のために使うのは、自分的には無しの方向で。


 ってか、素直にUSBから電源取れるペットボトル加湿器を持ち込むべきだと思いますよ。


 このペットボトル加湿器、入院していた病院のナースステーションにも置かれていたのでアリだと思います。


 ま。私は、乾燥対策としては固く絞ったタオルをベッドの縁に掛けて乾かすという古典的な方法を選びました。


 他にもコーヒーフィルターを蛇腹折して水を貯めたコップに差して花弁みたいに広げるとか色々方法はあるので乾燥予防、対策は自分にあった方法でどうぞ。


 話は戻ります。


 この入院に必要な物の中に病院側からの提案でアメニティーの申込書が入っています。


 これは、申し込んでも申し込まなくてもどちらでもいいもので、数日借りて、途中解約とかも出来ます。

 正直、荷物の軽減がはかれると思って自分は借りたんですが、さほど変わらなかったです。


 自分は、五日間借りたのですが金額としては二千円弱でした。


 多分、お泊りセットを新しく買い揃えたとしても似たような金額か少し安いくらいだと思うので出費を抑えたい方はお泊りセットを持ち込まれた方がいいと思います。





 ◆入院当日に必要な物


 シャワーなど入浴があるはずですので

 この日からアメニティーを借りない場合


・自前の寝間着

・替えの下着

・歯ブラシ、歯磨き粉

・ボディーソープ、シャンプー、リンス


 が、必要です。


 他、入院中に記入する清潔チェックシートだったかそんなような名前の用紙を渡されます。

 大小排泄、着替え、シャワーといった項目に正の字で回数を記録するので筆記用具が必要です。



 ◆手術当日(一月二十五日)


 手術着に着替えます。翌日までそのままです。

 翌日の着替えを想定して肌着、下着など目につく場所に準備しておきましょう。


 自分の足で手術室に歩いて入って、自ら手術台に横になるという注文の多い料理店体験。


 麻酔については、何かの「お薬入れますねー」と、看護師さんが言って点滴に注射器で別の薬を注入し、鼻の中にパッと市販薬のアリナミンを飲んだ時のような匂いが広がったと思ったら意識を失ったみたいです。

 医龍の荒瀬が居たよ……


 麻酔から覚める時、看護師さんたちの起こし方がなかなかスパルタなので最悪な気分ですが、そこは乗り越えるしかないです。


 大体、こんな感じ。


・何人もの看護師さんに何度も名前を呼ばれてうるさくて、もう少し寝かせてくれと思いながら起きる。


・目を開けるとドラマのように一斉に顔を覗き込まれているシチュエーションにビビる。


・絶対二度寝させないマンたちにより嫌でも覚醒させられる。


・全身麻酔で挿管していると喉のコンディションは最悪。


・ずっと同じ姿勢だった影響からか背中と腰が凄まじく痛い。


・マウスピースしていると早く取らせろ思う。


・痛み止めについては私はニ種類を三時間間隔で入れてもらっていました。効きやすい、効きにくいもあるみたいなんですがどちらも6時間間隔らしいので種類を変えてショートカットしてもらっていたみたいです。


・手術中の出血量にもよりますが、貧血にならないように点滴を外す前に鉄分の注射がある場合があります。


・点滴の管とか心電図モニターとか酸素マスクとか何かいっぱい付いています。足も血栓を作らせないようにとなんか付いてます。順に取り外して貰えますが点滴と心電図は翌日迄お友達です。


・尿道バルーンの管を固定するテープが臀部に貼られていたのですが、見事に爛れたので肌の弱い人は消炎クリームなどを事前に用意しておいたほうがいいかもしれません。


 この日は、まだ水分を取ることは出来ません。


 挿管の影響で喉はイガイガするし、咳き込めばお腹の傷は痛いし、背中も腰も兎に角、体中が痛いです。



 ◆術後一日目(一月二十六日)


 尿道バルーンと点滴の管が抜かれるので下着、肌着を用意。手術着から着替えるのでアメニティーを借りない場合は寝間着も。

 これは手術前に出しておくと看護師さんが作業しやすいです。


 寝間着は自前でもいいし、この日からアメニティーを使用してもいいでしょう。

 入院した日にアメニティーの利用について確認されるので事前の開始予定日をこの日にしておくと午前中に持ってきてくれます。


・採血有り。


 歩行訓練開始

 まだバルーン抜けたばかりなのでトイレに行く、行けるを目的とし無理はしない。


 ってか、腹切って色々出して閉じた次の日に歩けるって現代医療スゲェ!


 介助して貰いながらも起き上がって歩いた時、クララが立ったところじゃねぇ……って自分の体に慄きました。


 午後になると水分を取ることが許されます。

 ペットボトルにキャップ型のストローを付けておくと便利。みたいなのをよく見かけましたが、挿管を舐めちゃイケねぇ。

 吸う力がないです。呼吸も弱っているのか、手術前まで平気で付けていた不織布のマスクが息苦しくて死にかけます()。


 ここで霧吹き登場なのかな。と、思ったりするのですが、自分は百均で買ったワンプッシュで五CCだか一〇CCの滴がでるブツを使いました。

 油を適量ワンプッシュでフライパンに。みたいなパッケージに惹かれて買ったのですが、吸い込む、吸い上げる力がないためコレで口の中に水滴を適当に入れて口の中を潤す方法を取りました。

 自分的には凄い有能で、夜に水が飲みたいわけじゃないけどちょっと口を潤したい時とか大活躍でした。

 自信を持ってオススメします。


 バルーンと共に点滴も抜けたので、痛み止めは経口に。

 六時間間隔を開ける必要性もあるのでしょうが、何時に飲んだのか確認されるのでイチイチ覚えているのが面倒で個包装のセロファンにマジックで何時何分と飲んだ時間を書いておく方法を取りました。

 曖昧な記憶を辿られるより確実だろうな、と。


 あと、薬の入った紙袋の裏にも『飲んだ時間→次に飲める時間』を書いておきました。


 筆記用具大事です。絶対持っていきましょう。



 ◆術後二日目(一月二十七日)


 本格的に歩行訓練開始。


 痛み止めは、6時間なら6時間〜7時間間隔で休みなしに飲み続け、痛みを抑えることを最優先とし歩くことを一番の目的にと言われました。


 ここで新たな頭角をあらわすのが『靴べら』。反りの少ない直線的な『靴べら』を選んで持っていったのですが、これが大正解だったと思います。

 靴を履くときだけでなく、行儀は悪いですが寝たままベッド脇の壁にある照明スイッチをオン・オフするのに役立ちました。

 お腹痛いですからね。ほんの五センチ一〇センチが動けないんですよ。起き上がれば手が届くけれど、起き上がるのが重労働な時は、物臭ですが靴べらで失礼させて頂きました。

 入院生活の一番のMVPだったのではないかと思っています。


 そして、

 現代医療すごくて二日目で歩幅は狭いものの補助具無しで独歩出来ます。


・再び鉄分来ます()今度は血管にダイレクトアタックです。

 私は、退院するまで毎日打たれ続けました。



 ◆術後三日目(一月二十八日)


・尿検査と採血

・シャワー浴びれるよ

・傷口のガーゼ取れるよ


 三日前に腹掻っ捌いたのに、シャワー浴びちゃえます。

 体を洗う時、傷口のテープは優しく撫でるように注意したりと気は遣いますが、普通に髪洗ってサッパリ出来ちゃいます。


 ここまで来ると現代医療について感覚が麻痺してくるというか、日進月歩って言葉が本当に胸に響くというか。


 傷口を覆っていたガーゼが取れたら中から細かくテーピングテープみたいなので止められた傷口出てきてビックリ。

 このテープ、自然に剥がれてきたら取ってしまっていいそうで開腹手術の傷跡と転んで擦り剥いた傷の処置が同列の扱いのような錯覚を覚えました。


 術後三日目にもなると、歩行訓練も病室から外へ出てフロアをウロウロし始めます。


 疲れたらベッドに戻る感じでフラフラと探検開始です。


 コインランドリーを見つけました。


 洗濯・乾燥共に二百円。

 この辺りの金額は、地域差とかはないと思います。

 三日間分の着替えを用意して、三日目に前二日分の衣服を洗濯・乾燥とすれば効率いいかな?


 などと考えながら歩いていると、ますますアメニティーの存在価値が薄らいで行きます。


 まぁ、ちょっと特殊な環境での入院となったからね。

 アメニティー借りる選択をした事は、後悔してないんだからね。


 食事は、全粥から普通食に。


 この辺りで気付くのは、食事に必要なのは『ふりかけ』やない『マヨネーズ』や……ということ。


 食事、私は薄味が好きなので病人食でも十分美味しく頂けてるのですが、おかずに時折ヤバイのが混じっているのでマヨネーズが欲しくなります。


 最初に当たった時、


「どうしたのシェフ。昨日のシェフは、どこに行ったの? 」


 と、青い鳥で吠えてました。


 それと、朝食で『箸で割れないだし巻き卵』に初遭遇し、衝撃を与えられる事となります。この箸で割れないシリーズは、翌日には『箸で割れない煮魚』、翌々日には『箸で割れないオムレツ』と『シェフ不在のおかず』を交えロシアンルーレットが開催される事になるのですが、そのような事態になるなど当時の私は露とも思わなかったのでした。



 ◆術後四日目(一月二十九日)


 補助具として使っていた点滴台なしでウロウロ。


 健康な人に比べたら歩く速度は遅いのですが、初めてフロアを一周した時は二一八歩掛かった歩数が、一八六歩、一五〇歩と縮んでいったので数値として回復していると感じられました。


 この頃になると、退院を意識し始めるので『履いて来た靴を履いて病院を出る』を考え、履いて来た靴であるイージートーンを試しに履いて歩こうとしたら、NGKの老婆か、つかまり立ちから卒業した一歳児みたいな歩き方になったので体幹鍛える系高機能スニーカー恐るべしってなりました。


 ベッドの背中を起こす機能を使わないと起き上がれなかったのが、コツを掴んだのか以前よりベッドを起こさなくても起きれる様に変化。


 入院中必要であろうと一日一本計算で持ち込んだペットボトル八本が尽きそうと感じ、デイルームにある自販機まで買いに出る。

 この時、一日一回くらいなら出てもいいよと教えられるのだが、もう退院なんでもっと早く教えて欲しかったです。


 ◆術後五日目(一月三〇日)


 イージートーンとバレエシューズ(小中学校の上履き)を交互に履き替えながらフロアをグルグル。


 食事の速度も上がって、問題なく日常に戻れそう。


 それまで座る姿勢が辛くて五分と保たなかったのが、なんだか普通に座れるように。


 明日で退院のため荷物整理。


 ◆術後六日目(一月三十一日)


 退院当日です。

 午前十一時までに退室してください。とあり、病室を出る際は忘れ物が無いかを看護師さんと確認します。

 看護師さんに慌ただしい時間を聞くと八時から九時は交代の時間に当たると教えてくれたので、一〇時頃に設定。

 荷物は昨日まとめ終わっているので、最後まで使う物として出していた物をサッと手提げカバンに収納して準備完了。


 自分の足で歩いて退院しました。


 現代医療スゲェ。






 ◇入院するにあたって、持っていって良かったもの。あったら良かったもの。


・小物入れのカゴ。

 散らかるのが嫌な人には必須アイテム。


・Sカン(大)

 カゴをベッドの縁やテレビ台の横に装着するのに必要。サイズが分からず(小)を持っていったらベッドの縁の方が太くて掛けれなかったので(大)をオススメします。


・靴べら

 直線的なものの方が良いです。

 部屋の明かりのスイッチとか押せます。


・ドロップタイプのプッシュボトル

 口の中を湿らせる程度の水分補給に最適。


・筆記用具

 意外と書く場面はあります。看護師さんに借りることも出来ると思いますが持参した方が気兼ね無く使えます。

 シャープ、消しゴム、ボールペン、カラーマーカー、マジックと一揃持っていきましたがカラーマーカーは要らなかったですね。



 食について


・マヨネーズ

 シェフが行方不明になった時のおかずにかけると幸せになると思う。


 ◇特に必要は無かったけど、あると便利かもね。と、思ったもの


・USBポート付延長コード(短め)

 USB加湿器使うなら必要かもね。

 私は終始個室だったので他の病室の広さが分からないのですが、ベッド周り(テレビ台)って物を置けるスペースが本当に限られていてアレコレ置けないので、延長コードとかいるのかなぁ? と、言うのが正直な感想。

 USBポートから電源取らないといけないもの持ち込む人は必須。


・ハンガー


 備え付けは一つなので、コートかけたら終わり。みたいな。

 これは季節に左右されるかな。



 ◇要らなかったもの


・のど飴

 乾燥するから〜というのをよく見かけたので持っていったのですが、持ち込んだ袋入りアソートから食べたのは二粒のみ。

 元々飴をなめるといった習慣が無い人というのもあるかもですが、要らないです。

 もし、気になるようでしたらコンパクトに箱に入った薬用のど飴をオススメします。サイズ的にも邪魔にならないので。


・ふりかけ

 封すら切りませんでした。


・ペットボトル用ストロー

 吸い上げる力が無い。(個人差あるかも? )



 ◆◆◆


 自分の忘備録を兼ねての内容です。


 これから入院される方の持ち物取捨選択の役に立てばと思い上げました。


 病院によって事情は変わって来ると思います。


 皆様、どうかご安全に。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 参考になりました、ありがとうございます(〃∇〃)! [一言] ……現代医療、進歩凄い! お腹切って、そんなに早く、'歩いて'退院出来るとは!Σ(・∀・;) シャワーも、もうokなるのですか…
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