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ある日、森の中、カイブツに出会ったぁ~!!

スケイルメイルの左上腕に大火傷の傷から血が滴り腰鎧の左側は太股辺りまで火傷を負いと出血をし立ち木の根元に座り込み寄り掛かる事が精一杯の中年の冒険者ビルヌがいた。


「くそっ!なんだ?あのカイブツは?あんなに速く連続で中位級魔法を放てるものなのか?あれはドワーフの工房のミスリル製の盾だぞ!それを粉々に吹き飛ばすほどの中位級魔法なんてあり得るか?」


徒党仲間は逃げ切れただろうか?

仲間を逃がす為にカイブツに投擲ナイフを投げ惹き付け徒党仲間とは反対方向の森の深部に走った


突然の襲撃だった

ビルヌと徒党仲間達が大きなフォレストボアを仕留め解体を始めようとした時に火球魔法(フレイムボール)がフォレストボアの側にいた大盾戦士に撃ち込まれた

背後から火球を撃ち込まれ吹き飛ばされて怪我を負った大盾戦士を連れて狩人職の仲間が帰還魔法を使い街に逃げた


「俺が惹き付ける!森の外に逃げろ!」


ビルヌが叫び投擲ナイフを敵に向かって投げつける


「すまない!」


魔力がつき掛けていた槍盾騎士が他の魔道師や治癒回復師を連れて森の外側へ向かって逃げていった


少しでも時間を稼ぐ為にビルヌはカイブツに距離を開けすぎ無い様に木々を盾に逃げた

しかし森の中の開けた場所に出てしまい木々まで全力で走らなければならなくなり木々に辿りつく前に火球魔法がビルヌを連続で襲った!

ビルヌは咄嗟にミスリル製の盾で防げた

次々に火球が盾に直撃してくる

両腕で盾を支え踏ん張るビルヌ

突然ビルヌの左側の地面に火球が着弾した

外したと思うと火球が曲がりビルヌの左側面を直撃し更に激しく連続で火球が盾に直撃し続け盾が粉々に吹き飛ぶ!

ヘルムも壊れビルヌも森の深部へ吹き飛ばされた

そこでビルヌは意識を手放した


小鳥がビルヌの頬の上を跳ねてビルヌを軽くつつく

ビルヌが起き上がると小鳥は翔び去った

(新人冒険者達に森に立ち入るなとギルドからの通達はアイツの警戒だったのか)

ビルヌは意識が戻ると現在の所持品と自分の装備品、怪我の様子を点検した

左側面の火傷が酷い

幸い頭部の怪我は大した事は無い

左腕と左太股の火傷も早めに手当てをしなければ火傷が侵食していくだろう

左腰のポーションポケットも吹き飛ばされた

ポーションさえあれば応急措置程度は出来たものの

少し休めば『拠点帰還』が使えるくらいは魔力が回復出来るが奴が追って来ている


(これでは俺はただの的だな。何か残って無いか)


ビルヌは右腰の荷物袋(ストレージ)に右手を突っ込む

森に入って7日調理済みの食糧も無くなり食糧を現地調達していた

ストレージの中に入っていたのは折れたミスリルの剣と投擲ナイフ5本と生野菜の切れ端と武具の手入れ道具といつから入っていたのか解らない切り残った半分ほどの的藁と歩いた場所が記入される自動書記魔法が掛けられた地図だけ


「くッ俺もここまでか?アイツ達とミスリルまで登れたんだがな。食い物でも残っていれば魔力回復も少しは早まるんだがな。はぁ、はぁ、くっ!くそっ立ち上がれねぇ。左足も使い物にならなくなったみたいだ。こんな事なら金つぎ込んで高級なお店に行っとけば良かった。『拠点帰還(ホームリターン)』!まだダメかあのカイブツの事をギルドに報告しないと奴は魔族でも魔物でもなく〘人族の人間〙だと伝えなければ」


ビルヌの後ろから小枝を踏み折る音が聴こえた

緊張が走る!

ビルヌの背筋に冷たい戦慄が走り上がる!

寄り掛かる立ち木の右側から後ろをゆっくりと覗き見る!


そこにいたのはつぶらな瞳をしたふわふわした体毛の薄い桃色の兎の魔物だった。

この魔物はヒールラビットと言い怪我をした生き物を癒してくれる森の治癒師と言われる希少な大人しい魔物だ

特に女性の魔物使い(テイマー)に人気の魔物


ヒールラビットが一跳び一跳び警戒しつつビルヌに近寄って来た

ビルヌの左足をスピスピと匂っている

ヒールラビットは血溜まりに据わりビルヌの左側で柔らかな温かさを放つ

次第に左足の感覚が戻り初め痛みが走る


「クァッ!うぐっ、ヒールラビットの治癒は痛みが走るってこれかグッ!んっ!」


ビルヌはヒールラビットを驚かさない様に歯を食い縛り声を殺して我慢する

徐々に痛みが弱まり滴り流れ出ていた血も止まり大きな火傷も痛みが退いて行く


「はぁ、はぁ、はぁありがとうなお前に助けて貰えるなんてな。これでも食うか?俺の荷物袋はまぁまぁな高級品だから新鮮だぞ?」


切れ端の葉物野菜を千切ってヒールラビットの口元に右手で与えようとする

ヒールラビットはスピスピと葉物野菜の匂いを嗅ぐと

葉物野菜を食べてくれた


「フフ、俺に着いてくるか?魔物使いじゃあ無い俺には着いてこないか。フフ、こんな時なのに魔物を撫でて俺は緊張感が無いな?魔物を可愛いと思うとはな。魔物使い達が魔物を可愛がる気持ちが少しは解った」


怪我からの出血がほぼ止まり動かなかった左手を握って見る

全力では握れないが拳を握れるまで回復した


「これならもうすぐ『拠点帰還』は使えるかな。ん?おい、ああ、まだ食べたいのか。少し待ってろ」


左足の太股の上にヒールラビットが上がりビルヌを見上げ葉物野菜を催促しているようだ

荷物袋から先ほどより大きめに葉物野菜を千切って取り出しヒールラビットに与える

ヒールラビットは警戒もせずに葉物野菜を食べている


命の瀬戸際で一時の安らぎを味わえた

だがここはカイブツの狩りの領域(テリトリー)

もう少しで帰還魔法を使える

早くこの場から逃げなくてはならない

ヒールラビットが葉物野菜を半分ほど食べた時に範囲魔法に触れた感覚がビルヌの身体を走った


「くそっ奴か!ほら、お前は逃げろ俺達を襲ったカイブツが来ちまう!」


ビルヌがヒールラビットを太股からおろすがヒールラビットはまた太股の上に乗って来る

ヒールラビットはビルヌの怪我を治そうとしている

回復できているか解らない不発で終わっても魔力は消費する

ビルヌの後ろに魔法が着弾する!

咄嗟にヒールラビットを抱き庇う

立ち木のお陰で防げた!

間髪を入れずに次々と火球魔法(フレイムボール)が着弾する!


「お前、着いてくるか?くそっ早い!不発しても知らないぞ!『拠点帰還(ホームリターン)』!」


立ち木は抉れ燃え倒れる

辺りの木の葉や枯れ枝なども燃える

カイブツがゆっくりと歩いて近付き燃え倒れた立ち木の前に周り込み立ち木に寄り掛かる燃えているモノに火球魔法を更に撃ち込む!

カイブツが燃えているモノを確認すると寄り掛かるモノは燃える断ち切られた的藁だった

カイブツは剣を鞘に納めるとフードを被り直し舌打ちをして立ち去った






カツヤとジークは城に呼ばれて来ていた



謁見の間にカツヤとジークが教えられた通りに頭を下げて座っているとトテトテと歩いてきた


「ん~?だ~れ?」


声にカツヤとジークが顔を上げると目の前に小さな可愛い男の子が右手の人差し指を口に咥えて立っていた

((あら、可愛い!))

まだ四~五歳くらいのつぶらな緑色の瞳の小さな男の子


「俺達は王様に呼ばれて来た冒険者のカツヤとジークって言うんだ」

「冒険者さん?」

「そう冒険者だよ」

「武器は?剣は?」

「ああ、剣は外の騎士さんに預けているよ」

「そなの?」

「王様に会うから危ない物は預けないと行けないんだ知らなかったの?」

「ここに来る人騎士さんとか兵隊さんしか持って来ないんだもん冒険者さんの武器は見たことないんだもん」

「そっか、ここにいるって事は王子様かな?」


男の子は首を横に振る


「違うのか?ありゃ、貴族の子供なのかなカツヤ?」

「かも知れない。連れて来られておいていかれたのかな?」

「しまったな、ちょっと廊下に誰か、いないか。」

「ん~?どしたの?」

「あ~、お父さんとお母さんとここに来たのかな?」


男の子は首を横に振る


「ジーク、まずいなこの子を誰か来るまで俺達で護るぞ」

「カツヤ?」

「多分王様に会いに来て挨拶のあとにこの子は忘れられて置いて行かれたみたいだ」

「マジか!子供を忘れる親が居るのかよ」

「こう言う所だ。知り合いと会ってそのまま話しながら出ていったのならあり得る。チィジイチャンに俺も置いて行かれたことがある」

「あー、なんか聞いた小さくなったカツヤを忘れて隣の部屋で知り合いと呑んでてあずみママから雷を落とされたって言う奴な」

「それだ。暫くすれば誰か来るだろう。それまで側にいて上げよう。この子が知らない人だと言ったらこの子を引き渡さない。良いか?」

「ああ!一応範囲索敵探知掛けとくか?カツヤ」

「ああ!そうしよう。」

「「範囲(フィールド)索敵探知(エネミーサーチ)範囲(フィールド)敵対探索(エネミーライブラリー)!」」

「ジーク盾を」

「カツヤフィストナックルガードを」


ジークは盾を左腕に装着しグリップを握る

カツヤは分厚い鋼鉄製の長手袋のような防具を両腕に装着する全体が見渡せる真ん中ではなく謁見の間の角へ移動し男の子を角側に立たせカツヤとジークで壁になるべく位置取りをする


「ここで遊ぶ?」


男の子の問い掛けに


「そうだよ。君の知っている人が来るまでここで遊ぼうね」

「ここなら知っている人が来たら直ぐに見渡せるからな」

「うん!ここで遊ぶ!」


カツヤとジークは男の子と暫く遊び腰に装着している新しく買った小型の道具箱(アイテムストレージ)からおやつのお菓子を男の子と食べた


どのくらい時間がたったのか解らないが玉座の左側の扉から若いエルフの男性達が兵隊達と入って来た。

カツヤとジークは警戒をする。


すると男の子が


「爺や!」


と言い走って行った


「おお、エルブレス様!お探ししました!扉の外に椅子があったのでもしやと思いましたが。お一人でこちらに来られていたのですね?」

「うん!褒めて!」

「エルブレス様!褒めてではありませぬ。これは、めっ!ですぞ」

「え~どして?」

「どして?ではありませぬ。部屋付きとメイドが部屋を出たあとに足場台を扉まで引き摺り運んで上がってドアノブを開けて勝手にお部屋を出られましたな?」

「うんうん!」


「お着替えをするためにお部屋に戻られたのですよ?お着替えが終わってこちらに来られるのですよ?」


「ほら、お外で遊んでないから汚れてないよ?」

「汚れてなくてもですぞ?エルブレス様は王様なのです。普段着とお着替えをなさってからこちらにお出ましするのです。爺は数十年申しておりますぞ」


「ブ~!」

「エルブレス様!ブ~はダメですぞ!ブ~は!」

「ブ~!」

「あーよい、アガス近衛隊長。エルブレス様を着替えにお連れしろ」

「はっ!宰相閣下」

「ブ~!」

「エルブレス様!ブ~はダメですぞ!」

「カツヤとジークー!あとでね!」


男の子がメイドに抱えられ連れて行かれた


「なぁ、ジーク今、王様って言わなかった?」

「あぁ、カツヤ今確かに王様って言ったぞ?」

あれ?エルブレス君は幾つだったかな?

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