貴女達はだーれ?
いつもの美味しい朝御飯を久し振りに皆で食べる
やっぱり街で食べるご飯は最高に美味しい!
ふと見るとカツヤ君とジーク君達も朝御飯を食べに来ていた
二人のテーブルの上には幾つかの器やお皿が置いてあった
器やお皿には何も入っていなかった
取り敢えずアタシは朝ごはんを皆で楽しくお喋りをして楽しく過ごした
ふと見るとカツヤ君とジーク君達はご飯を食べ終わっていた
ユッタリと寛いで楽しそうにお喋りしていた
二人のテーブルの上にはさっきあった器とお皿はなかった
料理を食べ終わったあとの器とお皿だったのかも知れなかった
でも器もお皿はも汚れていなかった気がしたのは気のせいだったのかも知れない
酒場の店員のお姉さん達がカートにカツヤ君とジーク君のテーブルにあった器とお皿に料理を乗せて運んでいく
その後ろにもカートに樽が二樽づつ乗ったカートが列を作ってカツヤ君達のテーブルに向かって行く
カートがテーブルに到着するとカツヤ君達は荷物袋をテーブルに置くと次々に料理の入っている器やお皿や中身はわからないけどカートに乗せてある樽を入れていく
「あー!その手があったんだ!りかちゃん皆!そうだよ!アレだよ!」
「「「「えっ?アレ!そっか!」」」」
「荷物袋に料理とか飲み物を入れて置けば野外でも美味しい料理と飲み物を楽しめる!私達もお皿や樽を買いに行こう!」
「「「「あれはそう言う事なんだ!朝市まだやってたよね?急いで行こう!」」」」
「ここにお代置いていきますごちそう様でしたー!」
「「「「ごちそう様でしたー!」」」」
あたし達はカツヤ君達に貰ったヒントに買い物に向かった。
カツヤ君とジーク君達はいつものあたし達にいいヒントを出してくれる
二人は秘密にはしない
二人は良いことは直接的には教えてくれないけど皆に伝わるように便利な事は示して教えてくれる
あたし達が冒険者を続けて行けるのも二人のヒントのお陰
今日もまたとてもいいヒントを貰った野外のキャンプの食事がめちゃくちゃグレードアップすると思う
ありがとうございます優しい魔王様と優しい魔王陛下様!
でもこれは皆には内緒です
(大好きだよカツヤ君)
あたし達は露店商に向かって走って行った
「やっぱり皆ストレージの罠は人を見たりして気がつくんだな。ジーク」
「そうだな。俺達も飯食べてて思ったからな俺達が人の役にたったなカツヤ」
選ばれた人々だけのクローズドネットのゲームではゲームの情報は内のプレイヤーからしか手に入らない
情報不足で頭打ちになるプレイヤーも出て来る
ならばプレイヤー同士で情報の遣り取りをする他に無い
直接的に情報のやり取りを行えば軋轢を起こしかねない
ならばプレイヤーに目に見える形で大勢に情報を開示する他に無い
そのためのこのデモンストレーション
会話を続け二人は器やお皿や樽を次々と荷物袋に収納していく
「朝飯を出掛けるまで毎日多めに作って貰えばニ~三日分の余裕が出る筈だから昼飯と夜も多めに頼んで作って貰っているぞ」
「ナイス多めに用意するのは大事だな。足りない事程悔やむ事が辛いストレージ容量また大きくなってるよな?階級が上がったからか?レベルアップしたからか?ジーク」
「んーレベルアップじゃねえか?ちょこちょこストレージの内容量が増えました!ってアナウンス入るからな一定レベルまで上がると増えるんじゃねえ?カツヤ」
「ストレージの内容量増やす為にはレベルアップが不可欠か・・・タイムアップまでやることが多くて足早に動かなきゃいけないなって!パーティーメンバーの募集も出さなきゃ!ジーク」
「あー!そうだった!パーティーメンバーの募集は依頼受け付けだったっけ?カツヤ」
「ああ!荷物袋に早く入れて依頼受け付けにいくぞ!ジーク」
二人は急ぎカートの上の樽などを手分けして入れていく
「そんなに急がれて如何なされたのですか旦那様?」
カツヤは不意に掛けられた声に振り向いた
燃えるような紅い長い髪に色白でスラリとスリムだが必要な筋肉があり美しい女性らしいボディーライン。装備品や後ろ腰に左右から抜き持てる様に背負われた二振りのメイス両腰に下げてある杖で魔法使いか魔導師だと判る
「エッーと、カツヤの知り合いか?後ろの美人さん」
「エッーと、ジークの知り合いじゃないのか?ジークの後ろにも美人さんがいるぞ?」
ジークが振り向く燃えているような紅い短く切り揃えられた髪に頭には鉢金を巻き背中に大きな弓と矢筒を背負い着物の下には長袖の鎖帷子を着込み鎖帷子の下の大きく開いた胸元は体のラインに沿った胸当を着込んで形の良い双丘を強調している
両腰に短剣と長刀を下げて袈裟懸けにかけた革太めのベルトにはズラリと投擲用のナイフが収納されている
越巻の様に太いベルトにも様々な色の細長い瓶と投擲ナイフが抜き出ししやすくベルトの至る所に左右斜めに傾け差し込まれている
盗賊職か狩人職だと判る
忍者村のくの一さんの着る着物に似た衣服の裾がとても短く太股と網タイツの境目の〘絶対領域〙が眩しく目に入る
辺りにいた男性達は少し前屈みになった!
この二人は新人研修の時には居なかった
これほどの目立つ美人さんは忘れようがない
となれば新人冒険者ではない
装備品からも上位者である事は理解出来る
ただ見覚えは二人共にあるような気がしていた
何処かであっている
何かカツヤとジークはこの二人の女性に強く惹かれる
カツヤとジークは許嫁達と初めてあった日のような既視感を強く感じる
カツヤとジークはお互いを見ると大きく頷き同じ質問を二人の女性にぶつける!
「「すみません失礼かもしれませんが貴女方はどなたですか?」」
二人の女性達が顔を見合せ口元に手を添えて驚いている
カツヤとジークは同じ思いがした
(うん、可愛い)
(あら、可愛い)
「あら、お逢い出来た喜びであたくしつい失念しておりました。申し訳ありませんわ旦那様。あたくしミーア・バルデュエムと申します。こちらは妹のリーア・バルデュエムと言います。姉妹ですわ。お父様とフィル叔父様の強いお薦めで妻になりに参りました。あたくしは多くの攻撃魔法と多くの様々な回復魔法を共に極めた特殊魔導職『大賢者』を修めております。妹のリーアは索敵、隠密行動、暗殺、遠距離、多種多様の広範囲攻撃を得意とする忍びの最高位職『大頭目』を修めております。不束な嫁でありますが暫くは許嫁と言う事でお側に居させて頂きます。どうぞお見知り置きをご主人様よろしくお願い致します」
二人の礼の仕草は高位の貴族の令嬢の行う作法と仕草だった
カツヤとジークは頭が真っ白になった
帝国の守護神や貴族との関わりは先ず無い
貴族に知られる程の功績も立ててはいない
カツヤとジークの思考が止まりかける。
やがてカツヤとジークは考える事をやめた。
周りにいた女性冒険者達や酒場の女性店員達も頭が思考を停止した!
一部の男性冒険者達も思考をを停止させた!
カツヤとジークと話をしている女性冒険者達が自身の証したジョブは最高位職
「魔導を極めし者『大賢者』」と「影に潜み影にと共に表れ影に消える忍びの中の忍び『大頭目』」
だと証した!
つまり最高位冒険者である事を証した
更にカツヤとジーク二人の許嫁だと酒場の賑わいの中で証した!
「「あたくし達が正式な許嫁よ!勝てると思うならかかってらっしゃい!」」
と強く知らしめて牽制をしているのだ!
「エッーと、お父さんて誰デスカ?」
「エッーとおじさんってどなたデスカ?」
カツヤもジークも神谷克哉として神谷昌也としても嫁も許嫁はいるが親同士が見合いをすっ飛ばしてこんな美人さん達の嫁を送り届けに来たのは初めての事で二人の思考速度を伊地知るしく低下させた!
ミーアはにこやかな笑顔で答える
「あたくし達の父は竜王バルデュエムですわ旦那様」
「叔父様はお父様を手足の如く自在に駆り生ける伝説の竜殺しであり竜騎士であり大魔大戦では数多の大魔怪物を魔導騎士で屠り魔導騎士を自在に操る繰り手の無敵無敗の魔装騎士であり大戦を終結に導いた帝国の最強の守護神と吟われるウィルフィルム・アレクセイ・アウル伯爵叔父様ですわ。辺境伯と帝国貴族界隈では呼ばれております。ご主人様」
カツヤとジークは心辺りがなかった!
更に動揺が広がる!
ここでは不味い!
貴族の知り合いにも心辺りはない!
皇位継承権のある人物かもしれないが思い当たらない
取り敢えず彼女達を連れて宿で詳しい話を聴く必要がある!
面識の無い人からの押し付け嫁の可能性がある!
ゲームを利用して二人に許嫁を押し付けて来た可能性もあるからだ!
カツヤとジークの両親は共に人を驚かせるサプライズが大好きな人達ばかりだ!!
神谷の大人達は中身が子供な人達の集団でもある!!
有り得ない話しでもない!
「「ここでの話しはなんだし二人共取り敢えず宿で詳しく話してくれないかな?」」
女性冒険者の二人はニンマリと喜んでいるようだ!
頬を染めて両手で二人共に頬を押さえている!
カツヤとジークは二人の女性の仕草で気が付いた!
女性を朝から宿に誘ってしまってしまった!
しかも沢山の人達が注目している中でだ!
「あ、あ、あの変な意味は無いから!」
「ああ!変な事をするとかじゃ無いから!」
「「そういった事でもあたくし達は一向に構いません。旦那様とご主人様はお若いのでお盛んでしょうからお二人様の嫁として参りましたので一向に構いません!今ここでとご所望であれば急ぎ脱ぎ…」」
「「ワァー!!ダメダメー!やっぱり宿で詳しく話そう!」」
カツヤとジークは冒険者ギルドの酒場を出てミーアとリーアという女性冒険者達を宿に足早に連れて行った
カツヤ達四人はとんでもない嵐を巻き起こして去って行った
冒険者ギルドと酒場は大騒ぎになった!
「オイィィィイ!なんじゃあの美人さん達は!」
「ヌガー!なんじゃオイィィィイ!」
「あの二人に許嫁だとォォォオ!」
「二人が大人になっていくだとォォォオ!」
「何ィィィイ!イヤァァァァァア!」
「まだそれはダメダメァァァァア!」
「それはダメだァァァァア!」
「俺達を置いて大人になるなんてェェェエ!」
「許すマジィィィイ!」
血涙を流す男冒険者達
「あ、俺ここ教えて貰ったから応援するゥゥゥウ!」
「なんじゃそれェェェエ!」
「え?スラムに迷い込んだ時にお姉さんがお説教の前にくれた大人のムフフなお店の場所の地図」
「ぬぁあんだあとぅぉぉぉお!」
「ヨォォォォオコォォォォオセェェェエ!」
「だが断る!」
「ぬぁあんだあとぅぉぉぉお!」
地図を持った男冒険者は脱兎の如く走り酒場から逃げた!
「「「「「ムァァァアテェェェエ!」」」」
追い掛けていく男冒険者達
「貴族の囲い込みかァァァァア!」
「ぬぁあんだあとぅぉぉぉお!」
「イヤァァァァァア!」
「魔王様がァァァァア!」
「魔王陛下様がァァァァア!」
発狂する冒険者ギルドの受け付けと買い取り受け付け
因みに酒場の女性店員さんはなんとか耐えている!
「デリアス!!至急ギルドマスターを引き連れて登城し事の全てを国王陛下にお伝えなさい!!貴方は『盾の魔王様と剣の魔王陛下』の二人とは懇意にしていたでしょう?貴方が適任です!受け付け監理者として命じます!お行きなさい!」
「ハイッ!緊急時ですので口頭で申し上げます!ギルドマスターに緊急時専用通信魔法玉を使用許可を申請します!」
「許可します!」
受け付け監理者はネックレスに下げてあるペンダントヘッドを外してデリアスに渡す
デリアスはカウンターにある小さな扉の鍵を回す
「緊急時専用通信魔法玉!使用承認ッ!」
扉の中から台座の上に黒いクッションが置かれクッションの上には女性の両掌に乗る程の大きさの薄紫の透明な良く磨かれた玉が置いてある台座は音もなくスライドして手前に出て来る
デリアスが台座の両端の小さな玉を握り魔力を込める
中心の魔法玉がうっすらと光を灯す
魔法玉にベッドルームらしい映像が映る
部屋は以外と綺麗に整頓されており男の一人暮らしの雑然差が見当たらない清潔な部屋であった。
デリアスには見覚えのある部屋の景色だ。
「マスター!ギルドマスター!至急ギルドへお越し下さい!もしくは起きて登城の支度をして下さい!マスター!これは緊急時専用の魔法玉での通信です!私受け付け業務担当者デリアスです!ギルドマスター!」
「アフゥなんだいなんだい騒がしいねえ?おや、デリアスじゃないかい?おはようさん朝からどうしたんだぃ?ハアァワハフゥ」
通信に出たのは素肌を着物の一枚で前を隠しただけのけだるそうに欠伸をして目を右手で擦るるーまるくだった!
「あ、あのるーまるくさんおはようございます!ギルドマスターは近くにいらっしゃいますか?いらっしゃいましたら至急起こして登城の支度を済ませて置いて下さい!直ぐに登城専用馬車で迎えに参りますのでよろしくお願いいたします!早朝お休みの所すみませんでした!」
デリアスは魔法玉に送り込んでいた魔力を停めカウンターの中に魔法玉を収納して扉を閉めて鍵をかけた
受け付け業務管理者に鍵を渡す
「緊急時専用通信魔法玉の収納所の鍵を確かに返却致しました!」
「確かに返却されました!ではデリアス、ギルドマスターを登城用馬車にて送迎致しなさい!登城送迎馬車専用魔法手綱です!」
「ハイッ!確かに受け取りました!お引き受け致します!デリアス、ギルドマスターの緊急時登城送迎に行って参ります!」
「登城用送迎馬車発信準備!!毛並みの良い馬を四頭急ぎ繋げー!」
「デリアス御者台座乗車!足元ヨシ!専用魔法手綱接続以上なし!!信号緑!馬車待機場扉開放確認!!デリアス行きます!!」
「登城用送迎馬車発信!!」
受け付け業務管理者とデリアスの掛け声と共に四頭立ての馬車が冒険者ギルド横の馬車待機場から走り出た!
「ハフゥ、とうとうバレちまったねぇ。まぁいいやさね。ねぇ、アンタ。ふふ可愛い顔してすやすや子供みたいな顔して眠ってる。可愛いねぇ、ずっとこうしていたいけど仕方ないねえ。アタイの可愛いゼル?プニプニぽんぽこお腹の可愛いゼル。朝だよ起きな迎えが来るよ。登城だってさ。緊急時専用の通信魔法玉での通信だよ。起きなアタイの可愛いゼルちゃん」
るーまるくはゼルの頬に優しくキスをする。
「んー、もう朝か?フアー!るー、うがい水をくれ」
「ハイよ」
「ん、ありがとう。で、緊急時専用の通信?要件はなんだって?グチュグチュグチュアガッゴボアガッゴボッ、ペッ!るー、顔と歯あー全身に清潔清掃魔法をかけてくれ。」
「ハイよ。キレイキレイになーれ清潔清掃魔法!ハイ綺麗になったねえゼルちゃん」
「人前でそれ止めろよ?一応ギルドマスターだから威厳がいるんだからな?」
「ハイハイ♪判ってるサネ。二人の時以外はいわないよぉ。はいハイ着替えた着替えた!お迎えが来るよ」
「ったく、朝くらいゆっくりさせろってんだ。あー!るー、魔王組みの二人が銀級に昇級したから拠点帰還を勇者候補組達の昇級者達を集めて一緒に教えてやってくれ。」
「ハイよ。でもアンタの見立て通り勇者候補達や勇者徒党候補達は昇級試験合格者が多いねぇ」
「言った通りだっただろ?」
「こうなると判ってたのかい?」
「そんな気がしたって程度だったけどな。あの頃みたいな直感が少しだが戻って来た感じがしたのさ」
「アンタの直感は頼りになってたからね疑う余地は無いね」
「靴下取ってくれ。ありがとう。良し、どうだ?決まっているか?」
「待ちな。これで良し。いい男だねえ!惚れ直したよ!」
「そうか?ならこれ受け取ってくれ。華も色気もないがるー俺はお前と添い遂げたい。大して稼ぎの無いギルドマスターなんてやっている狐人で冒険者稼業でヘマしちまって狐人の誇りの尾と片方の耳をなくした半端もんだがお前を愛している気持ちは誰にも負けない自信はある。こんな半端者の狐人はダメか?」
るーまるくの両目に涙が浮かび次々と溢れて零れ流れ落ちる
「馬鹿!アンタが半端者な訳無いじゃないかい!アタイ達をドラゴンから守ってくれた勲章だよ!アンタからの求愛は凄く嬉しかった!この求婚もちろんハイよって言わせて貰うよ!アタイの可愛いゼルちゃん愛してるよ!離さないからね!覚悟おし!」
るーまるくは前を隠していた着物を落としてゼルを抱き締めた。
「ハイ覚悟を決めて求婚しました。首周りが判らなかったから調節出来る首輪にしてみたんだがどうだ?苦しく無いか?」
「フフ、子狐のネックレスヘッドかい?可愛いねぇ」
「だろ?」
「早くこんな可愛い子狐が欲しくなるじゃないか?そうだね暫くは寝かさないから覚悟をしなよ?」
「お手柔らかに」
二人はしっかりと抱き合い口付けをした
玄関口のドアノックが聞こえてきた
「おや、もうお迎えが来たのかい。続きは帰って来てからだね!それじゃアンタ行ってらっしゃい」
「ああ!るー行ってくる昇級者達を頼むな!」
もう一度二人は軽く口付けをしてギルドマスターは家を出て行った。