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第一章 正義の底辺冒険者と呪いの剣

 時は正午。

 場所は人里離れたとある森の奥。


「なるほど、ここが新たに発見された洞窟か」


 と、言ってくるのは輝く金の長髪と、どこか陰湿そうな碧眼を持った青年。

 絢爛豪華なローブに、紅玉の杖をもった彼こそは勇者の末裔――エミール・ザ・ブレイブ七世だ。


 勇者の末裔とは、かつて魔王を倒した伝説の勇者 『ミア・シルヴァリア』の血族。

 全員が人智を超えた戦闘能力を持ち、あらゆる面で畏怖を集める存在のことを言う。

 そんな中でもエミールの才能は凄まじい。


 なんせ、世界中で一二を争う力を持つ勇者と言われているのだから。

 最近で言えば、数百の魔物を一撃で倒した記録まで残っている。


 さらに、彼がもつ権力も凄まじいもので、王ですら口出しできないほどなのだ。

 さて、そんな彼は冒険者達の先頭に立ち、洞窟の先へ手を翳しながら続けてくる。


「いいか貴様等! この俺様の手を煩わせないよう、出てくる魔物は事前に排除しておけ! もしも一匹でも、この俺様の元まで通せば……どうなるかわかっているな!?」


 直後。

 冒険者達は洞窟の奥へと進みだす。


「アルくん、あたし達も一緒に行こ?」


 と、言ってくるのは、アルと同期の冒険者のユウナだ。

 アルはそんな彼女へと言う。


「うん、僕でよければ一緒に行かせてもらうよ……頼りないかもしれないけど」


「頼りなくなんてないよ! この前だって、おばあさんが落とした財布を、朝から晩までずっと探してたでしょ? あたし、アルくんのそういうところすごく尊敬してるんだよ」


「あはは……あれのせいで、洞窟探索のミーティングに遅れて怒られちゃったけどね」


 と、アルが言った。

 その時。


「おい、貴様等! 何をサボっている! 働く気がないなら死ぬか? 俺様を誰だと思っている? あの勇者ミアの末裔――エミール様だぞ!」


 と、アルとユウナの方へ近づいて来るのはエミールだ。

 彼はニヤニヤと、アルとユウナへ言葉を続けてくる。


「何だかんだ俺様と貴様等の付き合いは長いからなぁ。俺様が持っている権力は知っているだろう? 俺様がその気になればアルぅ……貴様などすぐに殺せるんだ。もちろん、犯人が誰かなどわからないようになぁ」


 と、近くの岩へと手を翳すエミール。

 彼はニヤニヤと笑いながら、まるで何かを押しつぶすように、その手の平を閉じる。

 すると、岩が粉々――どころか、消滅したのだ。


(っ……エミールの魔法は光魔法だ。いったいどういう使い方をしたら、岩をあんな風に消し去れるんだ。それに今の魔法、詠唱すらしてない……たったワンアクションで、あんな強力な魔法を発動させるなんて)


 悔しいが、エミールがその気になれば、本当にアルなどすぐに殺せるのだ。

 と、アルがそんなことを考えたその時。


「エミールさんはどうして、アルくんにばかりそんなに酷いことを言うの!?」


 アルを庇う様に言ってくれるのはユウナだ。

 するとエミールは、ユウナのその行動と言動が気に障ったに違いない。

 彼は舌を鳴らした後、ユウナへと言う。


「生意気だな、女。貴様にも俺の権力を教えてやろうか? 俺様はかつて魔王を倒した勇者の末裔――エミール・ザ・ブレイブ七世様だぞ! その気になればそうだな……貴様の身体を自由にすることも――」


 と、エミールはユウナの胸へと手を伸ばす。

 アルはそんなエミールの腕を掴んで止め、彼へと続ける。


「エミール。僕達はあなたの命令通り、洞窟の探索をする。だから、安全を確保するまで、あなたはここで待っていればいい」


「庇ったつもりか?」


 と、アルの手を払った後、冷ややかな視線とともに言ってくるエミール。

 アルはユウナの手を引きつつ、そんなエミールへと言うのだった。


「いや、自分達の役目をまっとうしようと思っただけだ」


さて……これは毎回、言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス星5までの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

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