トリックスターの本懐(6)
アルサ・デ・ムルシエラゴとその登場者のムルシエラゴは、緊急用に切り替えたフェアリーステップへの狙撃行動を再開した。
いまだ長距離射撃であるため、緊急用の攻撃目標へ効率無視で狙撃をしてゆく。遠くから砲撃を行うこととなり、地中へ入射角度の関係で各箇所への射撃時間も長く、一箇所へ集まる熱量も多くなった。
自動で行っている狙撃と同時に、ムルシエラゴはパジャッソの現在位置を探る。
あいつは敵だ。
ゲームとかなんとか言い出した時の態度がおかしかった。なにか隠してやがる。
死ねと呼びかけたからには殺す。
あたしを売って、あんなものを出しやがった。
通信を追って場所を特定するのは難しくない。パジャッソが用意したツールだが、特別な隠蔽まではしていないことは確認している。
数秒でパジャッソの現在位置が判明した。
光学センサーをそちらに向け、望遠で拡大する。
窓から顔を出してこちらを見ているのがわかる。
いや、こちらではない。少女を見ているようだ。
少女の姿を見て、何やら恍惚とした表情をしている。
あたしを売った上に、無視までしやがる。
目を掛けてやっているのだから、あたしから目を離すな。
「ちっ」
ムルシエラゴの苛つきが増大し、舌打ちが出る。




