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トリックスターの本懐（３）

　ハルカのプレイヤーは誰なのか。調べがつかないわけではないが、公開情報ではないので一手間かかる。ここはその手間を省いておく。

　ムルシエラゴの攻撃でバラ撒かれた粉末ディスプレが、街から見てちょうどハルカのいる方向に散乱しているので、ハルカの姿をマイのEnScapeから粉末ディスプレでの投影に切り替えることにする。

　その方が面白いからだ。

　もちろん、ただ面白いからメイジが満足するだけでなく、せっかくリソースを割いて実行するショーなのだから多くの人に目撃される方がいい。沢山の人から目撃される方がアクションに対するリターンが大きい。

　というか、面白い。

　しかしハルカの全身を立体描画するとなるとリソースが大量に必要となるので、粉末ディスプレを平面の投影スクリーンのように扱って、そこに平面に描いたハルカを映し出すことにする。それだけで処理能力のリソースを三〇％節約できる。平面投影は閲覧者の方向を変えると破綻するし、裏側のムルシエラゴから見ても背面となって矛盾するが、ハルカは街の外に出現しているので、街に住んでいるほとんどの者達はこの混乱の最中、長くても数分程度の短い出現時間中に別の角度から見るほど移動できない。

　こうして、フェアリーステップの街の外、事故で拡散した粉末ディスプレに投影する形で、誰からでも見ることのできる巨大な少女の姿が出現することになった。EnScapeが消滅しても姿を消さないのだから、驚く者も多いだろう。いいじゃないか。